第42話、其のメイド……大和に着く

相模の町は、魔都市大江戸に大江戸に隣接しているだけあって、猛者が多いようです。

それだけに、ステンレス鋼の剣は飛ぶように売れ、オーダーメイドの注文もたくさんいただきました。


チタンのフルアーマーはいうに及ばず、大金槌や両手剣、大楯、大鎌、ロングソード、ファルシオンなどです。


「相模は森や林が多いんで、戦闘でも使えるような斧が欲しいんだけど作れないか。

普通の薪割に使うようなものじゃなく、藪も切り開いていけるようなのがあると助かるんだけど」


私の頭の中には軍用の斧ってイメージもありましたから、結構簡単に作ることができました。

刃渡り50cmで厚さ15mm。幅9cmで携帯用の革ホルダー付きです。

革ホルダーは丸子屋にお願いしたところ、ベルトに通すタイプのものを作ってくれました。


「こんな感じでいかがでしょう」


「おお、これだよ。

イメージにぴったりだ」


これが、話題になってしまい、冒険者以外からも希望が多く、丸子屋の販売にしてほしいと要望されました。

でも、ステンレス鋼は私しか作れません。


仕方なく、丸子屋では鉄製のものを、デザインを変えて販売することにし、ステンレス製のものは、冒険者組合で販売してもらいます。

こうなってくると、ホルダーの製作が間に合いません。仕方なく、ホルダーは丸子屋で別売りにします。

まさか、こんなものがヒットするとは思いませんでした。


冒険者組合では、右の腰に斧を吊るのがブームになっています。



武器を作る間に、面接も行います。

相模では何人かの魔法使いと回復役がいました。

その中で一人、長介さんという魔法使いがメンバーに加わることになりました。

長介さんにはジュラルミンの杖と簡易鎧を装備してもらいます。


こうして、相模での人探しも終えて、次の町に向かいます。


問題は例の追手です。

30人で囲まれたら厳しいです。


「じゃあ、大和の町まで用心棒を雇ったらどうですか。

10人くらいなら、冒険者組合に依頼を出せばすぐに集まりますよ」


「そうね、一日で金貨1枚出せば集まるかしら」


組合長に相談して、大和の町まで20名の護衛を頼みます。

さすがに、この状況で手を出してくる相手はなく、無事に大和の町に到着しました。

大和には先生の紹介してくれた道場があり、そこにご挨拶に行きます。

大和猛という先生で、そのまま大和道場です。


「おお、やっと来られましたね」


「遅くなりました。行く先々で武具の注文をいただきまして、つい長居してしまいました。

武見先生からもよろしくと言付かっております」


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