第38話、其のメイド……武器を売りさばく

丸子屋さんにタコ焼き器を納めます。

ついでに、クマ肉を醤油とみりんで煮込んでドンブリを作ります。

ニンニクとショウガを利かせたやつです。


「へえ、クセのあるクマ肉も、こうやって食べると食えますね」


「肉が固いので、よく煮込まないとダメですけどね」




簡易鎧のフィッティング会場には、暇なときに作ったステンレスの剣を並べてあります。

一本、金貨5枚。

鉄の剣とほぼ同額です。


「これ、鉄の剣だよね」


「いいえ、ステンレスといって、鉄よりも硬くて錆びにくいんですよ」


「ふうん、まあ鉄の剣だと思って買っとくか」


「まいど~」


ごごになって、その人が駆け込んできました。


「も、もう一本、……いやもう二本もらっとく!」


「よかったですか。

少し先調子にしてあるので、振りやすいと思いますけど」


「いいなんてもんじゃないよ。

切れ味が違うし、なにより丈夫だよ。

ヨロイトカゲに遭遇したんだけど、鉄の剣じゃ歯が立たないのに、こいつはズバッと切れるんだ」


「おいおい、マジかよ」


ステンレスの剣があっという間に売り切れました。

その噂を聞きつけて組合長がやってきました。


「なあ、注文には応じてくれるのか」


「いいですよ」


「金貨50枚出すから、フルアーマーと両手剣を作ってくれないか」


「金貨50枚でしたら、本当に特別なのを作ってさしあげますよ」


組合長に、チタンのフルアーマーとステンレスの両手剣、おまけでジュラルミンの大盾を作ってあげました。


「おお、なんでフルアーマーなのに、こんなに軽いんだ。

これで、鉄よりも堅いとは……

その分、両手剣はズッシリ来るがこれならドラゴンにも挑めそうだぞ」


「熱には強いですから、大丈夫だと思いますよ」


またこれを聞きつけて、特級の冒険者がフルアーマーを注文してきます。

その人たちが武勇伝を聞かせて宣伝してくれるものですから、ひっきりなしです。


ある日のこと、女性の冒険者がフルアーマーの注文に来ました。


「母ちゃん、この人……」


「そうね。

亜理紗さんでしたか、魔王討伐に興味ありませんか」


「私はどちらかといえば補助魔法が得意なんですが、メンバーが怪我をしてパーティーが解散になったんです。

単独で活動しようと思ってアーマーの注文に来たんですけど、魔王なんてとても手に負えないですよ」


「ちょうど補助系のメンバーを探してたんです。

手を貸していただけませんか」


「補助系でいいなら……、じゃあ、フルアーマーじゃなくて簡易鎧をお願いしていいですか」


当然、無料で簡易鎧を作らせてもらいます。

それと、チタン製のレイピアを進呈します。


「こんなに軽いレイピアなんて見たことありません」


「組合長の鎧と同じチタンという素材ですよ」

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