第28話、其のメイド……議長補佐になる

さて、後任の領主だが議会制をとろうということになり、他薦で先生と定吉さんも入ってしまいました。

5人の議員の中で議長・副議長・会計・書記・総務と役割分担をすることになりましたが、なんと先生が議長に選ばれました。


「先生、おめでとうございます」


「めでたくなんかねえよ。なんで俺が……」


「実務は絶対に嫌だというから。仕方ないじゃないですか」


「あれは罠だ。ブギョーやつ、自分が議長になりたくないからって、俺に押し付けやがった……」


「だったら、実務をみんなに押し付けちゃえばいいんですよ」


「そうだな、マルコ、お前議長補佐な」


「なんでそうなるんですか」


「議長権限だ」


「職権乱用です」


「正当な権限の行使だ。

ついでに、慰労・感謝祭の実行委員長に任命する」


「セクハラです」


「なんだそりゃ」




それからが大変でした。

町の中央広場に櫓を組み、お酒や料理の手配。挨拶の順番と乾杯の音頭…


「では、議長っつうことで、何か困ったことがあったらマルコか副議長のブギョ-に言ってくれ。

じゃ、みんなご苦労さん、来年も頑張ってくれ。乾杯!」


「「「カンパーイ!」」」


なんでそこで私の名前が出てくるのかな…


まあ、町をあげての宴会ということで、抽選会だとかちょっとしたゲームとかで盛り上がりました。


ちなみに、抽選会の特賞は議長のブロンズ胸像です。

これは受けました。


当選した主婦は、漬物石にするそうです。




こうして、日常が戻ってきました。

私は、毎日の献立を考えて、繕い物をして、自分の鍛錬を続けます。

近江屋さんにはリバーシを作ってもらい、和菓子の亀吉さんにはアイスクリームを提案します。


ある日のこと、オオガミさんと大君が訪ねてきました。

武見先生とは旧知で、雷撃を使う勇者が現れたと聞いて来られたそうです。


「うちの大五郎も、勇者の助けとなるべく育ててきた。

パーティーのメンバーとして考えておいてくれ」


「大君と一緒なら心強いです。

こちらからもお願いいたします」


大神さんは数日滞在されるようで、その間大五郎と大君。それに先生の息子さん武見一樹君の三人で手合わせをしています。


やっぱり、二歳年上の一樹君が一歩とびぬけていて、大君と大五郎は同じくらいみたいです。


それからも、大君は時々訪ねてきて大五郎たちと数日過ごして帰っていきます。

いつしか時が過ぎて、大五郎も9歳になっていました。

体も大きくなり、声も太くなりました。

長めの髪は、後ろで束ねています。


「マルコよ、わしも大五郎に教えるものは教えた。

そろそろ、パーティーメンバーを探す旅に出なさい。

魔王の勢力は日増しに大きくなっておる。

決戦もそれほど先延ばしにはできないようじゃからな」

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