第29話、其のメイド……平塚へ行く

「先生、パーティーメンバーとは何人くらいで、どういう人がよいのでしょうか」


「人数は特に決めなくてもよいが、回復系と攻撃系の魔法使い、それに補助魔法を使うものはほしいところだな。

アタッカーはオオガミ大五郎と一樹がおるから、そこまで気にする必要はないじゃろう」


「わかりました。今までありがとうございました」


「おいおい、助かったのはわし等の方じゃよ。

食事の支度から、繕い物までやらせてしまい、申し訳なく思ってる」


「そんな、当然のことですから」


「魔王討伐の前に、もう一度ここに来い。

メンバーの連携とか最後の調整をしようではないか」


「はい、よろしくお願いします」




こうして、私たちは戸塚を後にして、平塚に向かいます。

途中のジサワは、海が近いこともあって、気性の荒い町なのでパスです。


平塚までは約25km8時間くらいです。


大五郎もこのあたりの魔物は倒せるようになっています。

大五郎の装備は、ジュラルミンの簡易鎧と籠手。ステンレスの日本刀です。


松の並木道を進むと、出没するのはイノシシやオオカミ。魔物ではゴブリンやオークが中心です。

時々、クマウマなども出てきますが、私たちの敵ではありません。


平塚の手前で、シャガミ川が行く手をさえぎります。

ここは渡し船を使います。


川を渡ればもう平塚です。

まずは冒険者組合で、町へ移動した登録を済ませます。

実は、この数年の間に私は甲種になっています。

組合登録は10歳からなのですが、大五郎は魔物暴走での実績が評価されて登録済みなのです。


「ようこそ平塚へ、マルコ様と大五郎様ですね。

戸塚の組合から連絡は受けていますので、後で組合長に面会してくださいね」


「あら、何か御用が?」


「どうしても譲ってほしいものがあるみたいですよ」


「承知いたしました」


「今回、移動中に常時依頼対象などは討伐されていませんか?」


「あっ、クマウマを4頭討伐しています。

ほかにも買取をお願いしたいので、倉庫の方へいって出しますね」


「クマウマ4頭ですか。では、大五郎さんは丙種から乙種に昇格ですね。

組合員証を更新しておきますから、倉庫の方へどうぞ」


カウンターを回って倉庫にいきます。


「おうおう、クマウマ4頭たあ、すげえな。

ここへ出してくんな」


「はい。

それと、オークやイノシシもあるんですけど、出していいですか?」


「おう、どんどん……って、どんだけ狩ってきたんだよ」


「手あたり次第……ですね」


オーク6頭にイノシシ20頭、オオカミが10頭に、ゴブリンの魔石が24個です。

肉のとれるモンスターは残るんですけど、ゴブリンなどはエフェクトを残して消滅してしまうので、魔石を買取してもらいます。

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