第23話、そのメイド……町の要壁を急造する
団長さんと納品の打合せです。
団員の靴のサイズも近江屋さんが計っています。
「
「特に決まっているわけではありませんが、冒険者からの情報では、そろそろ魔物が増えてきているので、一か月以内だろうと見ています」
「どんな感じで対応しているんですか?」
「先生の指示で、迎え撃つだけですよ」
「北から来るんですよね。
だったら、岩山のところに壁を作って塞いじゃえば…」
「以前、土の壁や木の壁を作ったこともあるんですが、あっという間に崩されました」
「だったら、鉄の1mくらいの厚さで壁を作れば…」
「それなら大丈夫でしょうが、それだけの鉄をつくるとなると、とんでもなく費用と時間が…」
帰って先生と相談します。
「本当にそんな壁が作れるのか?」
「多分、できます。
それと、こんな武器はいかがでしょう。
壁の上から全員で放てば、結構倒せると思うのですが」
事前に試作しておいたスリングショットを先生に見せます。
「こんなもので、魔物を倒せるというのか?」
「表で試してみますね」
先生と外に出て、30mほど先に板を立てかけます。
1cmの鉄球を放つと、簡単に厚さ1cmの板を打ち抜きました。
「急所に当たらないと、一撃では難しいと思いますが、倒れればほかの魔物に踏みつぶされると思うのですが」
「ああ、こんなもので、これほどの威力とは思わなんだ。
よし、弾は職人に作らせるから、マルコは道具を…、そうだな100丁用意できるか」
「はい、近江屋さんにも応援してもらいますので」
鉄製のスリングショットを100作り、ゴムと革の加工は近江屋さんにお願いします。
「承知しました。
兵団への差し入れと違って、直接魔物暴走の対策になるものですからね。
最優先で対応しますよ」
私は、山に出向き、とれるだけの金属を収集します。
壁は3cmの鉄板を両側に設置して、間にアルミを充填する事にします。
馬車が通れるだけの通路を作って、岩戸式に引き戸で閉められるよう工夫します。
こうして、高さ5m。幅1m、長さ30mの要壁が完成しました。
上部は、人が乗って落ちないように手すりも作ります。
仕上げは職人さんにお願いして、表面をさび止めで灰色に塗ってもらいます。
「本当に鉄の壁を作ってしまうとはな…」
「鉄がそんなに集まらなかったので、内側は少しやわらかいアルミですけどね」
「これで十分じゃよ」
子供たちを集めて、小石を拾ってきてもらい、スリングショットの試射に使います。
おかげで、林の木がボロボロです。
冒険者さんに、魔物相手に試してもらいましたが、スリングショットが多くの魔物に通用することも確認してもらいました。
さあ、魔物暴走の対策は万全です。
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