第22話、其のメイド……カーン・イダクアに謁見する
「先生、領主からお呼びがかかったんですけど、どうすればいいでしょう」
「そんなもん無視しても良いが、近江屋や八百肉はそうはいくまいな。
まあ、何か言われたら断って良いぞ。
武見一馬の身内だといえば何も言えなくなるからな」
先生にそういわれ、馬車で出かけます。
近江屋さんと八百肉さんと亀吉さんはそれぞれ手土産を持ってきています。
「何か言われたら、先生の身内だからと断っていいと言われてきましたが、そういうものなんですか?」
「そうですね、領兵団はみなさん道場の出身ですから、領主よりも先生の方が顔が効くんです」
「領兵団の皆さんとは、私たちも顔なじみですからね」
「それに、
「魔物暴走ですか」
「ええ、年に一度発生する魔物暴走です。各迷宮から溢れた魔物が一斉にこちらに向かってくるんですよ」
「どれくらいの…ですか」
「毎回2000近いと聞いてます。
それを領兵団50人と道場から15人。冒険者が30人くらいですから、一人20匹くらいですか。
先生なしじゃとても対応できないらしいですよ」
そんなことを話していたら、領主カーン・イダクア様の屋敷に到着しました。
本当に皆さん、顔なじみのようで、会釈しているのがわかります。
「よく来た。わしが領主カーンじゃ」
「近江屋でございます」 「八百肉です」 「和菓子の亀吉です」
「マルコでございます」
「近江屋は、月に軍靴を50足、八百肉は毎日日替わりで50食の惣菜、亀吉はプリンとクレープを交互に50食届けるように。以上だ」
「「「そ、そんな……」」」
「代金はいただけるんですか」
「なにっ?」
「それだけの量だと、皆さん人を増やさなければならないでしょう。
適正な代金をいただけるなら、ご要望にお応えできるかと思いますが」
「領兵団は町を守るためのものだ。町民が供出するのは当然であろう」
「そのために税金を納めているんじゃないんですか」
「わしに逆らうというのか」
「武見一馬先生から、理不尽な求めに応じる必要はないといわれてきました。
私は武見先生の身内であり、今ご要望いただいた品物はどれも私が発案したものです。
私が提案したものが、皆さんの負担になるようなご要望にはお応えできません」
「小娘が舐めた口を聞きおって……
分かった、売値の半額は出そう」
「全額です」
結局、売値の八割で落ち着きました。
プリンとクレープは週一回で、惣菜は毎日です。
領兵団長と打合せしたのですが、食堂の料理長が体を壊してしまったので、そのために惣菜が必要だったようです。
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