第21話、其のメイド……和菓子屋も巻き込む

ルームウェアの方は、ゴムひもが間に合いました。

赤や青や緑、様々な色のものが売り出され、あっという間に広まっていきます。

最初は、本当に室内専用として着られていたようですが、次第に買い物やお隣に行く程度はそのまま出るようになり、抵抗感なく着られるようになっていきました。

子供はまったく平気ですが、男性は多少抵抗があったようです。


特に、女性用に関しては、スポーツブラもセットということもあり、2着3着と持つようになります。

和装と違って、胸を協調できるのも大きな特徴です。


ピーラーもものすごい勢いで売れていきます。

なんといっても楽ですからね。


道場の食事も親子丼・かつ丼・鳥そぼろ丼。肉野菜炒めにレバニラ炒め、みんな好評です。

ちょっと面倒ですけど、餃子とシュウマイも作りました。

オイスターソースやコンソメとかあれば、もっとレパートリーが広がるんですけど、ないものは仕方ありません。

それでも、既存の魚料理とあわせて、一か月は重ならないメニューができました。


こんなもんかなと思いましたが、考えてみたら生乳があるんですからバターだって作れます。

絞った生乳を一日くらい寝かせておくとクリームと牛乳に分離します。

このクリームだけを掬い取って、シェイク!ひたすらシェイクするとバターができます。


このバターを使ってステーキを焼いたり、クレープを焼きます。

ヒラメのバター焼きや、ほうれん草バターもいいですよね。


あとは、クリームに砂糖を入れてホイップします。

うん、これは誰かにレシピを譲って作らせた方が楽ちんですね。

八百肉さんの2軒隣が和菓子屋さんで、羊羹とか饅頭とかを扱っています。

そこにクレープとプリンを持ち込みます。


「な、なんですかこの味は!」


「作って売りたいですよね、ねっ」


交渉成立です。

いえ、決して押し付けたわけじゃないですよ。


プリンは翌日から販売開始。

売り文句は「マルコ監修、とろける極上のプリン」だそうです。


ルームウェアや八百肉さんの関係で、女性の間では”マルコ”ブランドというものが通用しているらしいです。


なぜか、試食もしていないのに100個作ったプリンが30分で完売したそうです。

当然、ここも増員されて、翌日には300個売り出したのですが、開店前から長い行列ができていました。


三日後にはクレープを販売します。

イチゴとナシとモモのクレープです。


購入は、どちらか片方だけで5個以内という制限を設けたにもかかわらず、あっという間に完売です。

道場の分は、別枠で20個づつ作ってもらいますからうちは問題ありません。


ところがです。

領主とかいう人から、お呼び出しがかかってしまったそうです。


「えっ、私もですか……」


近江屋さんと八百肉さん、それから和菓子の亀吉さんと私もだそうです。

面倒ごとしか思い浮かびません。

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