第19話、其のメイド…唐揚げ店をプロデュースする

八百肉さんで唐揚げとじゃが丸フライを商品化することになりました。

お店の奥にキッチンを設けて、大き目のフライヤーを設置します。

ハンバーガー屋さんでポテトを揚げているイメージです。


熱源は魔石を燃料にして、魔道具屋さんに加工をお願いします。

フライヤーは2種類にして、片方は低温の160度。

こっちはジャガイモ専用です。

もう片方は170度で、こっちは唐揚げ用です。


両方に油切も設けて、揚げ終わったものをそのまま載せられるようにしてあります。


ジャガイモはピーラーで皮を剥いて、先に下ゆでしておきます。

さあ、準備が整いました。

シュワッと音を立てて、次々に揚げていきます。

実食! うん、出来は上々です。

マヨネーズは私が納品することにしました。


この日は試食のみにして、翌日から売り出します。

お客さんがハフハフいいながら食べてくれます。




クマウマの肉ですが、やっぱり獣臭さがありますので、牛丼……いえ馬丼に……クマ丼かな、にします。

玉ねぎと糸こんにゃくニンニクとショウガを入れてひたすら煮込みます。

味付けは醤油とミリンだけです。


道場のみんなもウメーと気に入ってくれました。


「この肉は?」


「クマウマに遭遇してしまいましたので、何とか倒しました」


「け、ケガは!」


「わき腹をちょっとやられてしまいました…」


「治療は?」


「冒険者組合で治してもらいましたから、もう大丈夫ですよ」


「うーむ、やっぱりちゃんと稽古しないといかんな。すまん、わしの手落ちだ」


「それで、自分でも火力不足だって気づいて、刺殺専用の剣を作ってみたんですが…

これなんですがどうでしょうか」


先生にフェンシングの剣を見てもらいます。


「ほう、面白い作りじゃな。

じゃが、長いほうはどちらかといえばムチのようじゃな。

これは、道場の裏の木に的を書いて練習すればいいじゃろう。

これとは別に、基本的な訓練もやるからな」


「はい。よろしくお願いします」


翌日から、大五郎と一緒に初歩の稽古が始まります。

剣の握り方から、足さばき。

防御から攻撃に移行する時の型などです。

午後は裏の木相手に、2mの剣を使ってみます。


ヒュンヒュンとムチのようにしならせて木に打ち込みます。


今日の夕食は、八百肉さんの唐揚げとポテトです。


「出来合いの総菜とは考えたな」


「ええ。少人数の家庭では、揚げ物って面倒ですから、人気みたいですよ」


「おれ、毎日これでいいっす」


「それじゃあ栄養が偏りますから、明日はちゃんと作りますよ」


夜になって近江屋さんに顔を出します。

八百肉さんで、ピーラーも一緒に売ったほうが効果的だからです。

そのあたりの調整をしていたら、妙子さんがルームウェアの試作品を持ってきてくれました。

「忍」入りのロングTシャツもあります。

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