第16話、其のメイド…クマウマに遭遇する

妙子さんは30台後半に見えるクリンとした女性でした。

茶色の巻き毛がかわいらしい。


「この方が下着を作りたいそうなんだ」


「下着ですか」


「はい」


「妙子は服飾組合にも所属していますから、大量生産にも対応できると思いますよ」


「そうなんですか。

よろしくお願いします。

一つはこのメイド服を作りたいんですけど、既製品とかってありますかね」


「メイド服でしたら、コスプレ専門のお店で入手できますよ」


「こ、コスプレの専門店があるんですか…」


「ええ。遊郭がありますから、そこので需要が…」


「なるほど…」


「下着はこれなんですけど」


「これ、ご自分で作られたんですか」


「ええ」


「いいですね。

胸帯と違って圧迫感がないし、なにより胸の形がきれいに出ていますね」


「ただ、和装だが中心のこの町だと需要はないかもしれませんね」


「でも、最近の若い人は、洋服を着たがっているんですよ。

でも、この町では売っているお店がありませんから…」



「じゃあ、部屋着とかで楽な服装を提案したら作って貰えますかね」


「大丈夫ですよ。

私はお店に出るので、普段からこの格好ですけど、買い物くらいしか出歩かない人も多いですから」


「じゃあ、サンプルを作ってきますので、見ていただいてもいいですか」


「はい、楽しみです」


厚手の黒いコットンを一反もらって帰ります。

コスプレ屋さんで、黒と水色のメイド服を購入し、ついでに、道場出入りの八百肉さんで豚バラ3kgとニンニク・ショウガ、タマネギ・長ネギ・ニンジン・キュウリを買います。


帰ったら肉をニンニクとショウガのすり下ろし醤油につけ込みます。

味がしみこむ間に、ニンジンとキュウリをスティック状に切ります。

そういえば、ピーラーあったら便利ですよね。

早速ピーラーを作ってみます。

やっぱり皮むきはピーラーがいいですよね。


お酢とタマゴとサラダ油でマヨネーズを作って置いて、鉄板で肉を焼いていきます。

ご飯は道場の新人さんが炊いてくれました。


カンカンカン


「ご飯ですよ~!」


「おお、肉だ!」 「ニンニクの香りがそそるぜ」 「腹減った」


住み込みのお弟子さんが15人いますので、私と大五郎と先生で18人。

3kgのお肉があっという間に消えていきます。


「くぅ、食い過ぎた」 「母ちゃんの味だ」 「ニンジンに付けた白いソースが絶妙でした」

「久しぶりに女の人の料理だ」 


「「「ごちそうさまでした」」」


「マルコも同じ練習生なのにすまんな」


「私、メイドですから、むしろこっちが本職なので」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る