第17話、其のメイド…ルームウェアを提案する

食事が終わった後で、ソロバンとペン先を作ります。

今日近江屋さんで見たかぎり、計算は暗算で、筆記具は筆でした。

ペン軸はアルミでペン先は金で作ります。

それと安価で提供できる竹ペンも作っておきます。


次は妙子さんに見せるルームウェアです。

レギンスとスポーツブラ。短パンにロングTシャツを作ります。


朝食は簡単に目玉焼きと味噌汁、焼きのりにお新香です。


夕べ作った黒のレギンスとロングTシャツを着て近江屋さんに出かけます。




「それ、楽そうでいいですね」


「着るのも簡単なんですよ」


「これって胸のところに大きく漢字で白く一文字書いたら、カッコよくありませんか?」


「いいですね。やりましょうか。

私のは、忍でお願いします」


「武士の武もいいですね。

じゃあ、一式お預かりして服飾組合に提案してきますから」


それから、定吉さんに持参した一式を見せます。


「このソロバンはいいですね。

商人なら絶対欲しがりますよ。

ペンも使いやすいし…

で、このピーラーは何に使うんでしょう」


「野菜の皮むきに使います。

ニンジンを持ってきましたから試してみてください」


「こんなもので、本当に皮が…

シュッて…これは!」


「便利でしょ」


「これなら、小さい子供でも台所の手伝いができますよね」


どうやらピーラーも喜んでもらえたようです。


帰りに八百肉さんでトリモモ肉を3kg買って帰ります。


「今日はトリの照り焼きかい」


「いいえ、唐揚げです」


「なんだい唐揚げってのは」


「うーん、夕方作って持ってきますよ」


「おっ、うれしいね。じゃ少しおまけだ」


八百肉さんは、旦那さんが肉専門で、奥さんが八百屋さんです。

新じゃがを3kg買って帰ります。


道場に帰って、トリ肉をショウガ・ニンニク醤油に漬け込んでおきます。

新じゃがは、ピーラーで皮を剥いて軽く塩ゆでしておきます。


味がしみこむ間、河原で鉱石を集めます。

鉄、アルミ、金、チタン。


と、クマウマに出くわしてしまいました。

クマウマというのは、上半身がクマで、ケンタウロスのように下半身がウマの魔物です。

走るのが早く、凶暴なため、出現すると被害も大きいそうです。


河原では足場が悪いので、平らなところに移動するとクマウマも追ってきました。

トンファーを取り出して高速移動しますが、その速度に追いついてきます。

一撃は何とかトンファーで防ぎますが、3mほど弾き飛ばされてしまいました。

木に叩きつけられ、爪を振りかざしてきます。

かろうじて体を捻りましたが、脇腹に激痛が走ります。


もうダメかなと思った時です。


-高速移動には、まだありますよ-


どこからともなく聞こえてきました。

不思議と、その言葉の意味が理解できました。

高速移動の重ね掛けです。


その瞬間、視界がグニャリと歪み、世界がスローになります。

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