第6話、其のメイド…無人島に到着する

私たちがその島に着いたのは翌日の昼頃でした。


「さあ着いた。遠浅で回りはサンゴ礁になってるからこっからは歩きだよ」


「はい」


私が靴を脱ごうとしたら、アマンダさんにそのままでいいといわれ、アマンダさんに胸をつかまれました。

腕じゃなく胸です…


「これでいい。水と一体になる感じで、水の上に足をのせてごらん」


「えっ、はい…」


いわれた通り水に足をのせると、なんと立つことができました。


「大丈夫だね。じゃ行こう」


「はい、クジラさんありがとうね」


ブヲッ、クジラは軽く潮を吹き上げます。



その島は、江ノ島くらいの大きさで、たくさんのヤシの木が生えています。

中心付近の周囲から見えない位置に、かわいらしい小さな小屋が建てられていました。


「何もないところだけど、ここでしばらく暮らしてもらうよ」


「アマンダさん、ありがとうございます」


アマンダさんは黒髪セミロングで、後ろで無造作に束ねています。

膝までのパンツで胸にはさらしを巻いていました。


「お腹すいたろう、ちょっと待ってな」


そういうと、アマンダさんは上に向けて手を上げ、指先から水を迸らせると、コンッと二つヤシの実が落ちてきます。

その先っちょをカットして、ヤシの実で作った器に注いでくれました。

それからヤシの実を二つに割って、木のスプーンと一緒に渡してくれます。


「何もないところだけど、これだけのヤシがあるから食糧には困らないよ」


「ありがとうございます」


ルイージ様は美味しそうにヤシのジュースを飲んでいます。

ほんのりと甘酸っぱくて美味しいです。

実の部分は、ゼリーとヨーグルトの中間のような触感で、これも美味しいです。


「午後からは鍛錬だよ。その恰好じゃ暑いから、下着だけでやったらいい」


ルイージ様はパンイチでやってもらいます。

私もメイド服とブラウスを脱いでブラとドロワーズになります。

ふと見ると、左右の胸に六芒星型のあざができています。


「これは…」


「右のは、たぶんリュウさんが記したものだね。

赤いだろう。これは火の刻印だよ。

左の青いのは、さっき私が記した水の刻印さ。

普通は、魔法を覚えたときに浮き出るんだけど、マルコには魔法をゆっくり覚えてる時間がないからね。

私たちの魔法を流し込んで、体に覚えさせたのさ。

その魔法を使う練習と体術が課題だよ」


「はい。でも火と水の魔法…、ふつうは一系統しか使えないんじゃないんですか」


「そんなことはないさ。

私だって水と風の魔法を使ってるんだからね」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る