第1話、其のメイド……凶器を準備する
状況は理解できました。
この体には、数舜前までアイリスが入っており、記憶が引き継がれています。
なんで急に女言葉になったのか……
新しい体はメイドだったんです……って、そりゃないだろ。
勇者を補佐して魔王を倒せっていうから、戦士系だと思うじゃん。
それか、賢者とかさ……
まあ、今更愚痴っても仕方ないです。
私は侯爵家メイドのマルコ。
18歳で、先日産まれた侯爵家長男のルイージ・フォントーン様専属のお世話係。
身長165cm、体重52.5kg。
髪は赤毛で目はブラウン多少きつめです。
特技は家事全般と武芸全般。
コーン
ああ、タイマーの音が……ミルクの時間です。
氷室からヤギの乳を出して魔法で温め飲ませます。
飲み終わったら背中をトントンしてゲップ……
おしめを確認して……
濡れていたので取り替えます。
幸い、クリーンの魔法があるので洗濯はありませんが、日光にあてて生地をふっくらさせる必要があります。
でも、今は夜中、ぜんまい仕掛けのタイマーをセットしてもう一度寝ます。
正直なところ、こっからかよ!……です。
今更ですけど。
昼間は乳母がきますから、まあ、全般的に楽なんですけど、私にはルイージ様をお守りするという使命がありますから、日ごろの鍛錬は続けます。
それから、装備品を作ります。
厨房からペティナイフを拝借してきましたので、革を加工してホルダーを作ります。
それから、鍛錬場に手ごろなトンファーがありましたので、これもホルダーを作り、左右の太ももに装着します。
スカートの内側にいくつかポケットを作って、フォークや針を仕込んでおきます。
これらを、遅滞なく取り出して使う訓練も怠りません。
メイドが剣を佩くわけにもいきませんので、こうした日用品で戦う工夫を凝らします。
ルイージ様の乳母車には、一本余計に鉄筋を入れてありますし、ベッドも同様です。
私のスキルには身体強化と高速移動があり、いつでも発動状態にしておけるよう、切れるとすぐに詠唱していたんですが、続けるうちに発動時間が長くなることに気づきました。
最初は3分くらいだったものが5分、10分と長くなっていくんです。
それに、繰り返すうちに口に出さなくても発動できるようになりました。
高速移動中に普通に歩いているように見せるには、ゆっくり歩くんですが、これが意外と難しいです。
手もゆっくり動かすようにして、周囲に悟られないようにしています。
幸い、侯爵家の内部には邪悪な気配はなく半年が過ぎたころ、私は奥様に呼ばれました。
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