第2話 ちっごランド

 昔昔の大昔、そのまた昔の太古の時代、無限の暗黒空間が突然大爆発ビックバンを起こして宇宙が誕生しました。ドッカーンってね。

 そしてそのあまりの大きな衝撃波によって、無数の異次元空間が生まれました。

 後に地球と呼ばれる小さな星ブループラネットにも異空間に兄弟星レインボープラネットが生まれました。その星は地球の百個以上の大きさがありましたが、無限の宇宙から見たら小さなそっくりの双子星でした。

 そのレインボープラネットの大きな海の端っこに四つの小さな島があります。

 ちっごランドはその四つの島の一番南の島にできました。

 ちっごランドは人間世界のパラレルワールドなので、地形、山や川、海の形はそっくりで、その後、同じような場所に街もでき、発展しています。

 でも違うところもあります。同じような形の地形も、大きさは人間世界の百倍以上あります。

 進化の過程も少し違っていました。地球の海岸に生命の起源ミトコンドリアがたくさん発生した頃、ちっごランドの海岸では、小さな植物の種がひとつ生まれました。

 そして地球で生き物が繁殖と滅亡を繰り返して大進化している頃、ちっごランドでは、その植物の種が芽を出して数億年かけて高さ千メートルほどの一本の巨大な木に成長しました。

 この~木なんの木、気になる木~♪ とか歌う人間なんか全然いない頃の大昔のことです。

 ある日、巨大な木は無数の種を空中に放出し始めました。そしてそのふわふわとした無数の種は風に乗ってちっごランド中に広がりました。

 数億年の後、ちっごランドのあちらこちらにはその木々が育ち林や森ができました。

 さらに多くの時が経ったある日、木々達はちっごランド中で同時に葉っぱから清浄な空気と水蒸気を放出し始めました。大気と大地は数億年かけて大循環し、ちっごランドは清浄な環境になりました。

 そして清浄な環境の中、ある日突然、ちっごランド中のその緑の木々はたくさんの実を付け始めました。その実は赤や青、虹色の様々な色をした大小の実でした。


 人間世界とちっごランドの一番違うところ …生命はこの植物から生まれ始めたことです。

 大きな赤い実からはでっかいモンスターや怪物が、小さな黄色や青い実からは小さな生き物や他の種類の植物の種が生まれたのです。

 そしてたくさんの種類の最初の生き物たちは、ちっごランドのとても清浄な環境の中で健康に育ち、数千年、数万年を生きる長命な生き物になりました。

 やがて生まれた生命の種(しゅ)は、自分たちの方法で仲間を増やしていきました。木の実から生まれるのは最初だけ、その後からは人間世界の地球と同じで、勝手に繁殖していいわけです。

 同じ種を何度も生み出すのは大変だし、面倒だし、創作意欲がわかないわ。

 後は勝手にやってねって生命を生み出した木々が言ったとかいわないとか。


 生命を生み出した木々は後に“生命の樹”と呼ばれるようになりました。

 ちっごランドの生き物たちはあんまりにも長生きなので、だいたいみんなしゃべることができるようになります。後はテレパシーとか魔法とか…

 人間の住む地球では人間種が支配していますが、ちっごランドでは巨大なモンスターから小さな生き物まで、歌う花や植物がいたり、怒りんぼの岩があったり、おーい!大丈夫かー!!っていうくらい生命の樹は様々な生き物を生み出してきました。

 健康で長生きの生き物ばかりなので、死の恐怖があんまりありません。だから人間世界の短命な人間のように心が狭量ではなく、だいたいおおらかな性格で、楽しい事が大好きです。でも、争いもケンカもあるのです。自分たちの種(しゅ)を守って生きて行かなければならないので。


 説明が長くなりましたね。 えー!!単なる説明だったのか―!って。いえいえ世の中、説明が大事なんですよ。だって、これから未知の国ちっごランドに行くわけですから、皆さんも楽しい旅行に行く時には旅行会社の人に説明を聞いたり、ネットで調べたり、それと同じなんですよ♪


 ということで今夜の話は、そんなちっごランドに住むでっかいナマズ族の物語です。単純で楽しい事ばかり考えるちっごランドの住人の中では珍しく、現状を変えたいと悩む若きナマズの王のお話です。

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