童話や絵本を題材にした作品は数あれど、作者が思考と発想の翼を自由気ままに広げ、ついに成層圏に到達した結果、書かれるに至ったような桃太郎が、かつてあったであろうか。
ややネタバレ感がありますが、作品の雰囲気を感じ取っていただくため、概略的に記載させていただいております。
おばあさんと桃との出会いは、まさかホラーなのか?と思わせる絶妙な言葉選び。
いきなりのシュールで凄惨な場面に度肝を抜かれる。「おばあさん、あんた……!」と、10人中3人は叫ばずにはいられまい。私はその中の一人になった。
そして旅立ち、突然割り込む閑話、ついに揃うお供たち……。
無茶苦茶感があるのに、ちゃんと桃太郎の話の流れからは外れてないのが。
絵本も童話も、昔は残酷な描写が多く、時代の流れからマイルド表現になったと言われているが、これは、そういう意味では、原点に回帰したと言えるかもしれない。いろいろ、違うけど。