企業占い師

鯨飲

企業占い師

 多くの大企業には、専属の占い師がいる。

 

 その占いを元に行動を決定することもあるのだ。

 

 私は、大手のアパレル、A社のお抱え占い師だ。

 

 今日も、社長に頼まれて、占いをする。

 

「今日、占って欲しいのは、ライバルであるB社が次に出す新商品のことなんだよ。何を出すか、先に知っておくと、こちらとしても動きやすいからね」

 

「承知しました。それでは占いを始めましょう」

 

 私は愛用している水晶を取り出した。そして、両手で水晶をこすりはじめた。

 

「おぉ、見えてきましたよ。次にB社が販売するのは、高い伸縮性を有する肌着です」

 

「ほお、なるほどなるほど。いやぁ今回も助かったよ、ありがとう。おい、開発部に伸縮性だけでなく速乾性を持つ新素材を作るように命じておけ。B社の新商品と差をつけるんだ」

 

 社長は秘書に命じた。そして、こちらを向いて、


「あなたの占いは本当によく当たるからね。助かるよ」 

 

 そう言い残し、社長は足早に私の部屋から出ていった。

 

 出ていったことを確認した私は、自身の携帯を開いた。

 

 そして、B社でも専属占い師が、占いを行っていた。タロットカードを見て、彼はこう言った。

 

「A社は、伸縮性と速乾性を兼ね備えた新素材の開発に取り組んでいますね」

 

 

 

 

 

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企業占い師 鯨飲 @yukidaruma8

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