第5章 2013年 その2 白いクレマチス
「寒のクレマチス」
寒の空に見たき望月なほ七日 冬の鈴蘭もどきも待つか
冬のため変異させたる鉄線花 寒の日々こそ鈴蘭めかす
冬の軒に蔓をめぐらすクレマチス白き花びらこれ見よと
金色に艶めく蜜柑 冬ざれし土塀にたわわ花束のごと
山茶花の
「白い建物」
手入れされ窓静かなるマンションと隣る墓苑の 然るべき石
レインボーブリッジに白き石の群れ 意匠凝らしてしみひとつなし
屋上まで高層ビルに乱れなく 心貧しきわれは悲しむ
大寒の車窓に流るる松並木 無駄なき自然の清き枝ぶり
「大寒」
大寒の十三夜月 しみじみと何もなき庭眺めてをるらん
子に詫びることのみ浮かぶ大寒の小望月照る はみだすごとく
「わが仲間 細胞たちよ今はしも死にゆく刻ぞ」引き連れ去りぬ
日あたりに烏のむくろてらてらと 見事な織りの羽根をたたみて
春を待つ笹鳴き聞きし生垣に 団欒なからむ吹雪く今宵は
「大寒の白クレマチス」
大寒より蕾開きしクレマチス
かそけくも花の生垣二週間 冬クレマチス白く 地に敷く
真白さの雪のひとひらずつ散りて 冬クレマチス春立つ日まで
冬と春 とまどひてゐる十五度の寒暖の差に人の
「冬クレマチス更なる進化」
クレマチスに大寒咲きあり 立春にはなびら舞ひ初め蕊のみ残る
花弁散り黄の雄しべ失せ ふと見ればなほ
雌蕊より白き
ふはふはとまろきが三つ それぞれに涸れし花弁の支へを受けて
時過ぎて冬クレマチスの冠毛の
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