第3章 2011年 その4 愚痴言う暇人
「相克の分析」
天に地に彼を気遣ふ人あるに 哀しみの根や母者を恨む
苦のあらば生の手触り赤々と 難に出逢へば覇気もて罵倒す
この重き病ひぞ
たれに言ふみな老ひゆけばかの秘密投げて捨つるか 墓所もなき身は
キリストのかぶりしイバラたれゆえに 苦悩あまりて神は立ちいづ
「回避行動」
見渡せど閉ざさるるのみ
夜も果てて 家族の縁かりそめに結びしものを哀れ何ゆゑ
愚かさを憎む夫なり ひたぶるに怒りき妻の謝らざる時
どうなさる薬も医師も自殺さへ逃亡も無理 ただ核の雨
「原因と心理と結果」
たまたまの脳の接続
自らを追ひ詰め試す捨て身技
母恋ふる幼なの情の癒えざりて 深く潜める脳の歪みに
姑よ母 汝が子を護れ癒すべき
これまでと叩き付けらるその先に 脳は意外の出口を示す
道無きと見えしところに思はざる綱は投げらる それを掴めと
道尽きて
自を去るはまもなくならむ太極に迎えらるらむ 静かに語りぬ
「結果の反転」
懊悩の果てに得たりし超越も たちまち墮するだだつ子の性
悟りにも癒されまじと かく深き自虐の仕組み哀れその脳
不幸をば言い訳とすや 他人の非を言い募ること普通とは言へ
「はるばると来たぬかるみ」
正しさを言い募り他を貶むる言を三十年 馬耳なる耳に
言い募る汝が
真のところ測りかねてきしその気質 幾年ともに不幸の日々を
わが欲と汝が慾かつて重なりしことありたるに 世に届かざる
叶ひたる夢もあれどと 叶はざる夢をなほ追ふ吾ぞ愚かしき
我が欲は愚かしきほど限りなく 汝が慾は小どこか卑怯に
「力関係」
父の死は母の望みのせいなりと言ふはただ 妻貶めんとして
隷属を悲しきまでに堪えたると二人ともにぞ思ひゐるかも
なにゆえのこの隷属の悲しきに段ボール箱を蹴る これでもか
隷属に甘んじ悪口に動じぬを強さと誇る 正しきやわれ
激やせの夫の診断 震災のPTSDまあそれもあり
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