第2章 2006年 その2


   「確信」


紅らみし木瓜ぼけのつぼみに怯えある 寒気団くるも耐へよしのげよ


わが内の不変の金剛 すべて世はこともなしとぞずしり伝ふる


長冬を忍びて咲きぬ桜花 風なき空に貼り付く豊穣


シジュウガラなり是なりと揺らす花 故無き厚情まさに我が




   「母と子」


ずつしりと重いかたまり現れた 泣きそうなままじつと抱へる


たれ故のたが悲しみか ひと日ずつ孤独に慣れむと諭し別れて


風清きさみどり頃の闇の夜をいくつ経つらむ 母無き子らは




   「一つの足場」


吐息つこう まれに慶びあるときは未来につながれ確かな獲得


わが誇るこのの子らの力業 妬むもあらむ静かに臥せよ


青銅の菩薩 面差し安寧あんねいなる 買ひ求めしは若き弟

   



   「原型」


春の夢 木瓜丸く笑む さはあれど生の原型 冬木ふゆきすがしも


わが心たれを悲しむ みな人の無限の想ひ思はるるとき


有限なるヒトの形をとりながら いだく想ひの哀れ果て無き


汝が形失はれたる 汝が想ひありてありたる惜しも懐かしも

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