第7話 ボーダーライン

 あれから四日。

 初日での一件はとりあえず落着を迎えたらしい。

 というか、朱音がそれとなく話題に出せば。そこいらにある、強度と硬度を持つ代物に、音もなく雅美が手を伸ばすのだ。口を開く前に、頭が割られる方がずっと早い気がして、朱音は身震いをしながら口を噤んだ。


 目立ったトラブルもなく、アスガルドへの航路は順調に進んでいる。

 明日には、浮島へとたどり着くだろう。


 飛空艇での生活は、思いのほか快適であり。カミラ達との過酷な船旅と比べると、雲泥の差である。

 必要な施設が完備されているのは勿論の事、そこまで大きくはないがトレーニングルームまで付いており、機器も最新のものとなれば言う事がない。何より食事が美味いのが素晴らしい。旬の食材を使った、贅沢で繊細な料理の数々を、朱音は存分に楽しんだ。


 残念な点を上げるとすれば、殺風景な食事風景である。

 この四日間、朱音と雅美はわざわざルームサービスを頼んで部屋での食事を徹底していた。主に雅美がだが。


 どうやら、アスガルドに着く前に、朱音にテーブルマナーを叩きこむのが目的らしい。本人の知らぬ間に場を整えていたようで、毎度決まった時間に食事が部屋へと運び込まれる。

 最初は目前の食事に釣られて大人しくしていた朱音も、二日が過ぎ三日も経てば飽きが来たのだろうか。文句も増えた。


「せっかくダイニングとかカフェがあるのにさー」

「お肉はそのつど、一口ずつ切るって言ったよね? というか、一切れが半分とか大きすぎッ」

「この肉小さくない? むしろ一口でもいけ……いったぁあああ!!!」


 朱音のぼやきなどまるで無視。いや、返事の代わりに指示棒が朱音の頭の上に落ちてくる。

 見るからに高そうな品であり頑丈なのだろう、何度振り下ろしてもびくともしない、特注品だろうか。だとしたら、雅美が持てば凶器にしかならないではないか、と朱音がそこまで考えた所でキラリと銀色に輝く指示棒が迫る。


「今失礼な事思ったでしょ!」


 いたい、いたい!!


 朱音は堪らず、傍らに立つ人物の陰に逃げ込んだ。

 指示棒を握りしめた雅美と、背に隠れる朱音に挟まれた不遇の人は。シルフィードへの乗船時、朱音の受付を担当したリサ=ウィルソンである。

 食事の乗ったサービスワゴンをひいて、彼女が現れた時には心底驚いた。受付嬢に限らず、ウェイトレスまでこなすリサを、呑気に感心していた朱音だが。実は全く他人事ではなかった。


「私の知る事など、そう多くはありませんが。何かお手伝い出来ればと思いまして」


 と、彼女は言った。無知な朱音を気遣って、アスガルドについて色々と教授するとの提案に。

 断る理由もなく、むしろ有り難いと快諾した。面倒な仕事だろうに、彼女は嫌そうな顔一つせず、懇切丁寧に教えてくれる。何より、リサが居れば雅美の教鞭という名の暴力が多少なりとも和らぐかもと、期待していた朱音だが。


 始めの内は猫を被っていた雅美も、リサの人柄故か繕うのを止めたらしく。今では指示棒で叩くのにも遠慮がない。


 困り顔で苦笑をもらすあたり、リサにも随分と慣れが染みついてしまったようだ。

 とはいえ、彼女も戸惑いがなかったわけではない。見た目だけは小柄で可憐そうな雅美に、こんな激しい一面があるとは夢にも思わなかっただろう。


 マナーの講義が終われば、今度はリサの基本授業が始まる。アスガルドの成り立ちや、島内の大まかな区画と仕組み。学院での過ごし方などを簡単に説明してくれる。その話の中で、彼女がアスガルドの卒業生である事も分かった。


「ようは普通に過ごせば問題ないわけだし! 余裕、余裕ー!」


 能天気に笑う幼馴染に、雅美は胡乱気な視線を送る。そもそも、憂いがないなら、このような時間や手間をかけないだろうに。

 朱音の性格を熟知している雅美は、不安を募らせるものの。とりあえず、ヘラヘラしている呑気な奴の頬を思いっきり抓っておいた。

 




 当初、抱いていた筈の恐怖心をすっかり忘れ去ったまま。下船の日が明日に迫った晩、雅美はせっかくだからと、朱音にある誘いを持ちかけた。


 いつもより二時間程早く設定した目覚ましが、役目を果たそうと待つ中。主の布団がもぞりと動いた。

 そして、眠たげな表情と共に寝巻姿の雅美が顔をだすと、小さなあくびを一つ零す。少しの間微睡んでいたものの、布団の心地よさに負ける前に、雅美はそこから這い出した。目覚ましへと手を伸ばすのも忘れない。


 防音が施されているとはいえ、不用意な音を出すには些かはばかられる時間である。アラームを切りながら、雅美は時間を確認する。針はもう少しで四時を指し示そうと、時間を刻み続けている。

 ふと視線を向けた窓には、張り付くように濃い闇が広がっていた。


「寒ッ……日が出てないとこんなに冷え込むんだ」


 夜明けまで、まだしばらく余裕がありそうだと、思考を巡らせていた雅美だが肌寒さから腕を擦った。

 ブランケットを被ると、籠った熱がじんわりと広がっていく。


 リサから聞いた話のなかで、シルフィードから見れるという一つの景色に興味を惹かれた。


「朱音はもう起きてるかな」


 日の出を見ようと提案したのは、昨日夕食を共にしていた時だ。障害物のない、文字通り雲と海からなる朝焼けの光景など早々拝める機会はないだろう。

 「えぇ~、めんどくさいなぁ」と、何とも嫌そうな顔つきをした朱音だが。構わず時間を指定してくる雅美にたいし、押し切られる形で頷いていた。


 見逃しては、せっかくの朝起きも無駄になってしまう。

 雅美はパタパタと急いた足音を響かせながら、洗面所へと向かっていった。



「寒くないの?」


 自身を迎えに来たのであろう、煌々とした廊下に立つ幼馴染を見下ろしながら朱音は眉をよせる。思わず、挨拶よりも先にそんな言葉がでた。

 身支度を整えた雅美は、洋服の上から再びブランケットを羽織っている。ワンピースの生地はひらひらと薄く、防寒性があるようには見えなかった。


「汗臭い」

「突然の悪口ッ」


 心配をよそに悪態を吐かれた朱音といえば、雅美以上に寒そうな恰好をしている。

 とはいえ、簡素なTシャツを着た朱音の頬は上気しており。日課のトレーニングをこなしていた身体は、大分温まっているせいか、ちっとも寒くなさそうだった。


「まだ時間あるし、シャワー浴びてきなよ」

「後で浴びるからいいよ。まだ途中だし」

「いや、私が良くないから。せっかく綺麗なものを見に行くのに、臭気で台無しされちゃ嫌だもん」

「臭気って……もうちょっと別の言い方ってものが」

「失礼しまーす」

「聞けよ!」


 ぶつぶつと文句を言う朱音の脇を抜け、勝手知ったるといった様子で雅美は部屋の奥へと引っ込んでいく。慣れているのか、特に気にした風もなく受け入れた朱音も後に続いた。

 部屋について早々に、遠慮もなくベットに寝転ぶ雅美に何か言いたげな視線を向けつつ。ほどなく、朱音はシャワールームの扉に手をかけた。


「ほら、早く入って。 そこまで余裕がある訳じゃないんだから」

「いちいちうるさいなぁ」

「何か言った?」

「はいはい、分かりましたよ」

「はいは一回」

「へぇい」


 気だるげな返事と共に、パタリと扉を閉める音が室内に響く。

 次いで、壁越しに鈍い水音が聞こえ始めると、雅美は欠伸を一つ零す。


 退屈さも手伝ってか、睡魔は早く訪れた。うとうとし始めた頃合いで、後ろ髪を引かれつつ雅美はベットから降りる。そして、手持ち無沙汰と眠気を誤魔化すように、目につく場所から掃除を始めるのであった。




 船内の明るさと比べて、光源の少ないデッキは未だ仄暗さが占めている。

 すらりと伸びる、デッキを囲む手すりに身を預け、雅美は吹き抜ける強い風を全身で受け止めた。冷気を纏った風は、身体の端々から熱を奪いつつも、どこか清々しい気持ちにさせられる。


 彼女の視線は、先ほどから細身の腕時計と水平線の向こうを行ったり来たりと忙しない。薄明な空の兆しは、既に夜の帳に零れ始めており、間近に迫った太陽の存在を告げていた。


 夜明けは近い。


「もうちょっとで夜明けだね」


 朱音の思いと、雅美の声が重なる。最初は乗り気ではなかった朱音も、その弾んだ声に満更でもない気持ちになっていた。

 一年前までは、よくこうして雅美に連れ出されていたと、懐かしい気持ちになる。

 

「ねぇ、朱音……」


 空と船とを隔てる境界線に立ちながら、彼女は幼馴染に問いかけた。


「何でそんな遠い所にいるのかな?」


 振り返った先には、デッキの中央付近から全く動こうとしない朱音の姿がある。


「私の事は気にしないでくれたまえ」


 数メートルほどの距離を空けたまま、朱音は右手を上げて答えた。勿論、雅美が納得する訳もないのは、その顔を見れば一目瞭然である。

 またこうやって、二人で過ごす機会に恵まれた事は嬉しい。が、ここへ来て、朱音はある事に気が付いた。というより、再認識したと言うべきか。


 地に足が付かない乗り物が、非常に苦手であるということをだ。船に慣れるのも苦労を要したが、空の上というだけでその比ではない。食事マナーやリサの講義で、室内にこもりがちであったのと。足繁く通っていた場所がトレーニングルーム一択ともなると、外の景色を見る機会はあまりない。今思うと、無意識に避けていた気さえする。


 飛空艇内の快適さですっかりと失念していたが、ここは天空の最果て、見上げる雲が眼下に流れる場所だ。肩を並べて朝日を待つには、雅美が立っている所は少々刺激が強すぎる。


「気にしないでくれたまえ、じゃないでしょ。 ほら、早くこっちに来てってば」

「わぁ、引っ張るなって!安全地帯……じゃなくて、私はベンチに座ってゆっくり観賞する派なのだよッ」

「さっきから口調変じゃない……というか安全地帯って」

 

 雅美が袖を引けば、往生際の悪い朱音は抵抗を強めた。怖いと口に出すような素直さがない割に、ぽろっと口を滑らせるあたりが朱音らしい。

 勿論、それを聞き流す雅美ではない。


「え、もしかして怖いの?」

「バ、バカじゃねーの! 怖くなんてねーし!」


 きょとんとした顔で尋ねてくる雅美に、思わず啖呵を切ってしまう朱音だが。明かに動揺を隠せない様子に、胡乱気な目を向けられた。


「なに恥ずかしがってるのよ。怖いなら、そう言えばいいのに」

「私はこんな事でビビる女じゃねー!」


 雅美の気遣いに、余計に引っ込みがつかなくなったのか。「見てろよ!」と息巻くと、朱音はズンズンと手すりの方へと歩み寄った。

 ギリギリまで近づくと、踏ん反りかえって水平線の向こうを睨みつける。


 しかし、とことこと後を追い、顔を覗き込んだ雅美は、酷く呆れた顔つきをした。


「大丈夫?」

「余裕だ!」


 何割増しか、顔色を悪くした朱音だが、一丁前に返事だけは威勢がいい。

 それ以上突っ込むまいと、雅美が諦めたように視線を放りかけた時。


 一筋の光芒が二人を照らす。


 朱音と雅美は、感嘆し息をのむ。この時ばかりは、内にあった恐怖心さえ忘れ去っていた。

 雲の切れ間から伸びる薄明光線と共に、一瞬にして暗闇はオレンジと青からなる美しい光景に姿を変えた。遮る物のない視界に広がる、この壮大な自然の在り様は、決して人の手では作り出せないだろう。


「凄くきれい」


 溜息と共に、零れた小さな声に誘われて、朱音は傍に立つ雅美を見た。

 美しい物を愛でる彼女の目は、朝日を反射していつも以上に煌めいている。


 不意に、あの日海上で見上げた天上都市が脳裏をかすめた。


(あの時……私も同じような目をしていたのかな)


 朱音は、夜明けの空へと向きなおる。美しく力強い太陽よりも、朝焼けの中である筈もない虚城を探してしまう。

 煌々とした都市の姿が、記憶の中から鮮明に浮上してくる。


『魅入られるな。アレは人の手に余る代物だ』


 同時に、カミラの言葉が耳の奥で蘇る。幻聴というには、いやにハッキリとした声だった。

 あの時も、都市に意識を奪われかけた朱音を、カミラは碇を落とすようにして現実に抑え込んだ。それだけ、彼女の発する雰囲気は重々しい拘束力がある。

 

『際限のない欲望の火を抱かせ、いずれその身を焦がし魂まで燃やし尽くす』


 それは恐ろしい事だと、頭では分かっている。しかし、朱音の視線は未だ不確かな幻を追い求めているようだった。

 記憶の中のカミラがこちらを見ると、深紅の瞳をねめつけるように鋭く尖らせる。


「ッ!?」


 途端、ぐらりと視界が歪んだ。

 ドクドクと太鼓のような脈動が、こめかみの内側に響く度に、ぐにゃりと視界が波打つ。そして、一際大きな渦が景色を巻き込み捻じれさせると、ブツリと千切れて何かが変わった。

 無理やり引っぺがされた視神経が、随分と見当違いな場所に通されたような。例えようもない不快感。そして、沼に身を沈めたような圧迫からぐっと身体が硬直した。


(クソッ、どうして急にッ……)


 意図しない状況に、朱音は混乱する。見えないモノに目を凝らした、それだけだった筈だ。

 

 捻じれた空間の強張りが段々と強くなり、軋んだ音を立てる。制御不能な外力によって、空中に小さな亀裂が一面に走り始めた。

 ひやりと、背筋に冷たいものが流れる。


 隣にいる雅美は、きっと気付いていない。未だあの眼差しで、明るい空の先を見ている。


(まずい……ダメだ、ダメだッ……)


 ボーダーライン。誰に教わった訳でもなく、それは本能的に悟った。踏み越えてはいけない領分だと。

 亀裂の向こう側にある、強烈な意識が蠢いているのがわかる。けれど、こちらの空気はどこまでも凪いでいた。微塵の揺らぎすらなく、それが余計に不安と不気味さを煽り立てる。


 ピシピシと、ひび割れは徐々に広がっていく。均衡が瓦解していく様に、焦りと恐怖が膨らんだ。

 そして、それは歪みの中心部に目を向けた時、弾けるようにして全身に流れだしたのが分かった。絞る様に、ひゅうとか細い音が喉から零れ、金縛りにでもあったように指先一つ動かせない。本能的に、朱音は呼吸を止めていた。


 ひび割れた隙間から覗いていたのは、対の目玉だ。瞳の虹彩部分は人と比べると小さく、瞳孔は猫科の動物のように細長い。

 淀んだ金色の瞳は、ギョロギョロと忙しなく動き回っている。亀裂を埋めるように、一つまた一つと増える目玉達もまた一様に同じ動きを繰り返していた。


 まるで、何かを探しているように……


(落ち着け……立ち位置を見失うな)


 己の存在を潜めるように、朱音はきつく目を閉じながらぐっと息を呑みこんだ。

 足裏の感覚を探り、今度は落とし込む様にしてそこに意識を集中させる。


 その間も、視線の振れ幅が小さくなっている気がする。面から点へ、目当てのモノに焦点をあてつつあるのだろうか。


 意識を囚われてはいけない。恐怖に縛られてはいけない。

 思えば思う程、意識は歪みの奥へと吸い寄せられていく。


「……ッ!? アッツ!!」


 その時、左腕が焼けるような痛みに襲われた。突然の痛みに、目を剥いた朱音は反射的に左腕を抱えるように引き上げる。

 手首に巻かれたブレスレッドの赤石が、薄く発光しているように見えた。


(何だ、これ……模様?いや、文字か)


 中央には、見た事もない何かの文字が浮かび上がっている。先ほどのような鋭い痛みはもう感じないが、石からは確かな熱量が感じ取れた。


(お守りと言っていたけど……)


 王都へと向かう船旅の前に、カミラはこのブレスレットを朱音に渡した。『決して外してはいけないよ』と、そう言いながらかたく結び目を絞ったのを思い出す。

 霞んだ光が弱くなるにつれて、文字も徐々に薄くなっていく。光と文字が消えたあと、残ったのは硬質で冷ややかな石の感触だけだった。 


 不意に、右手が暖かなものに包まれる。不思議と、驚きよりも安堵が勝った。


「朱音、大丈夫?」


 その声に、心もとなかった足場の感覚がすっと安定する。ブレスレットから顔を上げると、心配げな雅美が此方を覗きこんでいた。

 彼女の背後には、ただただ美しい朝焼けの情景が広がっている。亀裂も、あのおぞましい異形の目玉はどこにもいない。まるで空へと溶けこんでしまったように、跡形もなく消え去っていた。


「……え、あ、雅美?」


 掠れた声だった。朱音自身、自分の喉から出たのかと思わず疑ってしまう。

 益々、雅美の表情は雲っていく。


「酷い汗……部屋に帰りましょ、少し休んだ方がいいわ」


 汗で張り付いた髪を横に流しながら、雅美は朱音の額に手を当てる。朱音の身体が熱いのか、触れた指先は冷たく心地が良い。


「平気……」

「なわけないでしょ。こんなになってまで強がらなくていいから」


 「行こう」と、雅美は幼子を扱うみたいに、朱音の手を引いた。その拍子に、大丈夫と出かけた声は半端に引っ込んでしまう。


「ごめん」


 と、朱音は代わりに、謝罪の言葉を口にする。


「太陽は無くならないでしょ。またいつでも見られるわ」


 雅美は優しくそう返した。朱音は一瞬、気まずげな顔をしたが、少しだけ頷いてみせる。

 自分の手を握ったまま、少し先を行く雅美の姿に罪悪感が胸をもたげた。楽しみにしていたであろう時間を台無しにしてしまった事と。


(いっそ、全部吐き出してしまえば楽になるのかな)


 彼女に言えない秘密が、また一つ増えてしまったことに。


 雅美に悟られないよう、朱音は小さく息を吐く。

 足取りが重い。部屋に帰りたくないという思いがそうさせているのだろう。


 部屋に戻れば、泥のような眠りが待っている事が分かっているからだ。アレをみた後は決まってそうなる。

 そして、逃れられない悪夢がやってくるのだ。


(……私はまた、あの人を助けられないのか)


 不意に、青白い顔で熱を失っていく女性と、暖かな手の幼馴染が重なって見えてしまい。


(似てない。似てなんかいるもんか)


 心の内で、何度も何度も反芻し。不安を紛らわすように、朱音は頭を振った。


 そんな自分を、雅美がそっと窺い見ていた事にも気付かぬまま……

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