9.テスト結果と計画

「で、テストはどうだった」

心なしか元気がなさそうなギャルちゃんに巫女くんが声をかける。内容はもちろんテストのことだ。


「教えてもらった生物基礎は悪くなかったんだけど、化学基礎がヤバかった……三十一点」

「三十一点って赤点なの? 教えて巫女くん博士」

「残念ながら学士です。学校によるんじゃないか。私の高校では平均点の半分以下が赤点だったな。数Bの平均点が二十三点とかだった時あったけど、三十点が赤点だったらみんな赤点になるし」

「平均点は六十八点だったけど、ウチの学校は赤点は三十点だから、ギリギリセーフ!」

本当にギリギリじゃないかという三人の視線がギャルちゃんに突き刺さり、ギャルちゃんはあわてて得意教科の話を始めた。


「でも音楽は八十四点だったし、国語も六十ニ点だったよ」

「おお、凄いね。いや音楽の話」

国語は胸を張るほどではないだろうが、化学基礎に比べたら随分と良い。


「音楽が一番点数良かった。理系科目は大体点数低かった。つらい」

「まあ赤点がないなら上出来だよね。ともかく、期末試験お疲れ様」

「やー疲れた! ね、じゃあもう夏休みの話していい?」

「いいよ」

ギャルちゃんは今度こそ計画を立てることが許され、先程と一転して上機嫌に話し始めた。


「夏休みならどこ行く? やっぱり車で行けるとこかな」

「海とか」

「海いいね」

三人は賛成したが、地雷ちゃんは「焼けるな……」と小声で呟いたのでやめておく。


「入らなくていいなら、夜の海はどう」

巫女くんが提案する。夜の海は泳ぐと死ぬかも知れないので入らない方がいいが、ドライブしたり花火をしたりするには丁度いいだろう。今度は四人とも賛成したので、そこでいいかと話題は収束する。


「県の下の方に行こう。帰りは温泉寄って」

「温泉もいいね」

何でも大賛成な友人を微笑ましく見ていたお嬢に、一つの懸念が浮かぶ。


「あんまり夜遅くになると、両親に心配かけるかも……」

「誰とどこに行くか、何時に行って何時に帰るかちゃんと説明すれば多分大丈夫だよ。一応確認してみたら」

その場で携帯電話を掛けて確認を取るお嬢。

今年の夏の行き先は夜の海で決まりそうだった。

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