第2話 ワンチーム
登場人物
同棲7ヶ月目。
「ねぇ浩輔。知ってる? 結婚してる男の人の約80パーセントが、奥さんに隠れてオナニーしてるんだって」
奈々未が、俺が暇つぶしに買っていた雑誌を手に話しかけてきた。
「いきなり何をぶっこんでくるんだよ」
俺の渋面をよそに奈々未は雑誌をさらに読みふけっている。
「でも、そんなに有り余ってるなら、奥さんともっとすればいいのにね」
「いや、それは違うぞ、奈々未」
「何が?」
「スポーツでいえば、セックスというのはいわば団体競技だ。団体競技というのはチームプレイが鉄則だ。いたずらに個人プレイに走るのではなく、時には自分(の気持ちいいこと)を抑えて、相手のために尽くす。それが相互に作用したとき、チームは(快楽の)頂点へと達するんだ。それこそが『ワン フォー オール』の精神、まさにワンチームだ!」
奈々未が首を傾げているが、俺は構わず畳みかける。
「それに対して、オナニーとは個人競技といえる。それは自分の持てる限りの(主に手の)技を駆使し、思い描く最高の状況(シチュ)と、最高のタイミングで、一気にスパートをかける! そこに待っているのは、自分だけで達成した満足感なんだ!」
ふうぅ。俺は大きく息をついて奈々未の肩に手を置いた。
「……ということで、今日は俺たちも男女混合エキストリーム競技でワンチームしないか?」
奈々未は黙って立ち上がり、そのまま寝室へと歩いていく。
寝室のドアの前で立ち止まると、俺のほうを振り返った。
「あたし今日生理なの。それじゃ個人戦がんばってね、おやすみ」
ピシャリと寝室のドアが閉められた。
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