EPISODE41:「心臓」
そして戦いは続く。
カイは使っている九支刀を使い怪物を攻めたてる。そのチカラは……
「えい」
気の抜けたような声と共に放たれたのは剣の一閃……否、九閃。これがこの九支刀のチカラ――攻撃の多重化。一度斬れば九の斬撃が、二度殴れば十八の打撃となる。しかもこれといったコストも必要ないシンプルなチカラ。だからこそ悪友もよく使っていた。
だが――
「GAAAAAA!」
相対する怪物もさるもの。四本腕の武器全てを大盾にして防ぎ切る。最初はこの怪物、全部違う武器で戦っていたのだが、カイに対抗する為か武器を絞り始めた。更に火、氷、雷を口から放つブレス攻撃が可能で最初は放って塩をカイに送る結果になっていたが、時間が経つにつれ効かないのが分かったのかそれらを混ぜ合わせた破壊エネルギーとして放つようになった。時間が経つにつれ学習して強くなっている。
(どうするかな。倒し方)
それでも倒せない事はない。確かに再生力は高いがそういう敵は圧倒的火力で殲滅すればいい。だが今回はそうはいかない。
(何かしら残っていないとな……)
この怪物は今回の異変の首謀者が融合して誕生したもの。犯人消失では流石に収まらない。
「面倒だな……」
溜息を吐く。それと同時に倒し方を思考する。
(このまま斬り刻む……は駄目そう)
再生力が高いので悪手。
(打撃と貫通も似たような物。というか物理全般は駄目)
正解である。
(かと言って特殊攻撃は効きにくい)
実は先程火や氷、風、雷等の特殊攻撃をしてみたカイ。その結果はあまり芳しくなく有効打にならなかった。
(こういう敵の対処法としては――)
思考、思考、思考。そして……
「
数多の敵と戦って来た事から導き出されたのは再生力の高い相手への突破法の一つ。
「フウ」
息を吐き【ミメーシス】を消す。そして身を屈め獲物を狙う肉食獣のような四つん這いになる。
「
友人の名前を呟き――そのままカイは怪物へと飛びかかる。彼女のチカラを速度全振りにした加速。
それに怪物は――迎撃を選択。四本腕に両刃剣を瞬間的に装備する。……もしこの時、防御のために大盾を選択していれば結末は違ったかもしれない。思考回路が単純になっているので無理だったかもしれないが。
「GAAAAAA!!!!!!」
咆哮と共に放たれるのはビーム。直線軌道な為避けるのは容易い。だがそのまま頭部を動かしカイの動きを追う。それでも避けられるが……
「GA!」
エネルギーを散弾状にして放つ。少し掠るもカイはそのまま進む。
「GAAAA!!!!」
当たらない事に業を煮やしのか両刃剣がカイに向けて放たれる。それらを避け続けるカイ。そして間合いが近づく……
「ッ」
足場がぐらついたのか態勢が崩れるカイ。その隙を狙い怪物は両刃剣で突きを放つ。その攻撃はカイの心臓の位置に直撃するも……
――ガキン!
「!?」
カイの体で止まった。しかも響いたのは有り得ない金属音。怪物の動きが止まる。それに彼は口元を歪め笑う。
「ご愁傷様。生憎と自前の心臓は前に無くしていてね」
その言葉と同時にカイは怪物の懐に潜り込み貫き手を叩きこむ。これも
★★★
この心臓こそがカイの
【血絆十戒 デカログス】。二つの
その特性は『継承』。相手の残った
昔のカイは戦いの才能がないと師匠(?)から酷評されたものの、今では幾人もの戦闘技巧者を合わせた戦闘力を持っている。だからこそ今では
異世界の様々な
一つ目がステータス補正。普通(?)というかほぼ全ての
二つ目が能力の特性である『継承』。そもそも
三つ目が脆弱性。チカラを何も
四つ目が
五つ目が外部リソース。第一形態では精神力と血液が必要となる。これは【デカログス】自体が、戦友がよく使っていた『血液の武器化』と先人達から代々引き継がれた『継承武装』が混ざり合い生まれたためこうなったとカイは分析している。だからこそカイは友人達(異性)から吸血したり肉類を沢山食べて補っている。余談だが、第二形態ではそれに加えある物が必要となる。これに関しては
だが、これらの欠点を全て克服しているからこそ今のカイがある。
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