第45話 意地と
勇者達と神の戦況は劣勢へと転落していた。神は力を増し、膨大な物量によってジンやリオ、ムーや巨人を追い込んでいった。
「ふぁーーーーーーーー、死ね死ね死ね死ね!!!」
ムーは強力な魔法を次々に放ち、神を打倒していったが、その肉体は戦いの中で傷ついていた。ムーは傷がついた瞬間に回復・再生を繰り返していたが、その無限なまでの魔法に肉体が崩壊を始めていた。
「神ごときが私の邪魔をするなーーーーー!滅びろ!!我が姫の大敵!!!!」
それでもムーは戦いを止めなかった。崩壊してしまった部位は無の核で補っていたが、崩壊を止めるに至っていなかった。そして、敵に対応できる許容量を超えたところで、神の数々の槍や剣に串刺しにされてしまった。
「がぁぁぁぁぁーーー!ここでーーーー、終わりなのかーーーーーー!!!!だが、だが!!これで・・・・・終わりと思うなよ!いつか、必ず・・・・貴様ら神を葬ってやるぞーーーーー!!」
ムーは叫ぶと同時に自爆した。その爆発によって多くの神が倒されたが、戦況全体には何ら寄与するものではなかった。
巨人は神からの激しい攻撃により、腕が落ち、足は斬られ、剣は折れていた。しかし、戦うことを止めていなかった。巨人は首と胴が切り離されても戦い続けていた。切り離された腕や体が動き、戦い続けていたのである。
しかし、神の集団魔法攻撃によって跡形も無く吹き飛ばされてしまった。
ムーや巨人が倒された後もジンやリオは戦い続けていた。そして、勇者も1人の神に挑んでいた。
「くそーーー!なんなんだよ!!貴様らは!!!」
勇者は神に斬りかかっていたが、魔法の障壁によって近づくことすら出来ずにいた。神の遊びによって近づけても、全ての面で神が上回っており、剣技でも全く歯が立たなかった。
「知っているでしょ?私は神よ。全ての創造主にして世界を創りし者。全知全能の神。貴方達が勝てる可能性は無いのよ。それなのに、貴方達ときたら。困ったものね」
「はぁ?!ジンが勝つって言ってんだ!!勝てるに決まっているだろうが!!」
勇者も戦況は理解していたが、それでもなお、強気に神に剣を向け言い放った。
「あらあら、そうなのね。じゃあ、貴方の前に落ちてくるものは何かしらねーー」
「ああん?」
勇者の頭には何か液体が掛かってきた。そしては同時に目の前に人の腕や足、頭や胴体などが落ちてきた。それには見覚えがあるものであった」
「ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
勇者は言葉にもならない声を発し叫んだ。それは悲しみだったか恐怖だったかはわからない。それは絶望に近いものであったと思われる。
勇者は確かめるように周りを見渡した。そして、リオ”も”同様な状態で少し離れたところにあることがわかった。
「でーーーーー?何だったかしらーーーー誰が勝つって言ったんでしたっけ?」
「うぅ、嘘だろ????嘘だって言ってくれよ・・・・・」
「はぁはははあははははぁはぁははぁあ!!!いい顔ね!!いいわ!!最高よ!!その絶望した顔を見てみたかったのよ!!これだけでも、この世界を創った甲斐があったわ!」
勇者は全てを投げうって逃げることを考えていたが、神が察したかのように言った。
「貴方に逃げる場所はないのよ。地上は既に滅ぼしたわ」
「・・・・・・・滅ぼした?」
「ええ、この世界を生きていた全ての者を破壊したわ」
「・・・・・・レイナやティアもか?」
「そうよ、彼女たちの最後は見ものだったわ。見入ってしまって貴方の接近を何度か許してしまったもの。本当に最高だったわ」
勇者には既に怒りよりも、恐れの感情しか湧かないでいた。
「・・・・・・・・・・俺も殺すのか?」
「もちろよ、でもーーー」
「・・・・・でも?」
「貴方は今回の活躍に免じて、特別待遇にしてあげるわ。ふふぅ、凄い楽しめせてもらったからね」
「はははははは」
勇者の思考は既に正常には動いていなかった。目の前の怪物が自分を褒めていることは理解したが、その後に起こることは想像できないでいた。
「それじゃあ、さようなら。哀れな勇者様」
神が勇者の額に指を当てると、勇者の頭は風船の様に破裂した。
「ふふふ、さぁーーーて次はどうしようかな。楽しくなってきたわ。ふふふ、ははははははははぁぁぁぁははははぁはは!」
そこには神の笑い声だけが響いていた。
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