第13話 祝杯

 5番目の敵は今までにない程の強さを示し、多数の負傷を出すに至ったが、周辺住民も含め死者はなかった。また、勇者が身体向上系の魔法を発動できたこと、初めて勇者によって敵が打倒されたこと、などの情報は国王や貴族など国を預かる人々に安心と期待を抱かせる内容であった。勇者は今回の敵を打倒したことに対する褒美として、褒章と恩賞が授与された。また、半数の敵を打倒した祝いとして宴会が開催された。


「おやおや、本日の主役がこんなところいて良いのか?みんなお前と話したく探していたぞ。なんせ国を救う勇者なのだからな」

「ふぅぅぅ。少しは休ませてくれよー。挨拶、挨拶でくたびれたぜ」

「まぁ、そうだろうな」

「ほんとだぜ、この前の戦いから日も経っていないから、今も体はガタガタだよ。ジンの方はもう良いのか?」

「ああ、俺の方は大丈夫だ。ティアには感謝だな、国随一の回復魔法士は伊達じゃあないな」

「俺の方も完全に回復してもらいたかったよ」

「無茶苦茶な魔法を使うコールの体は流石に無理な様子だったな。それでもある程度は治してもらったんだ。感謝するべきところだろ」

「感謝はしているさぁ、体がボロボロで治しずらいのも自業自得だし。それよりも、俺の魔法の使い方を説明した時のみんなの反応だよ!」

「ルージュの方も愕然としていたからな。なんせ”気持ち”で魔法を使うんだからな。高く飛びたい、力を増したい、速く動きたい、と思うとそれぞれの身体向上系魔法が発動できるなんて笑ってしまう」

「そうだけどさぁ・・・・・」


『勇者は人知を超える馬鹿だったんだな。次回から馬鹿なやつを教える時の参考にする』

『独創的なやり方ですね。僕には真似できません』

『ぷうーークスクスクス。腹痛いーーーー。何よそれ?馬鹿じゃないのぉ」

『申し訳ありませんが、勇者様の仰っていることはよくわかりません。わかる言語でお話いただけると助かります』

『・・・・・・・・コールらしくて良いと思うよ!!」


「だぜ!!もうちょっと言い方があるだろう」

「まぁ、確かに俺達みたいな農民が魔法を覚えることは無いからな。貴族様達のやり方や考え方だけでは無理なこともあるのだろう」

「どうせ俺は馬鹿ですよーー。俺からしたら皆がどうやって魔法を使っているのか不思議だぜ。だが、これでやっと進める!」

「そうだな」

「これからもっと強くなって皆を守れるようになり。世界の敵を全て倒し、この世界を平和にしてみせる!」

「ああ、俺も協力する!」

「頼むぞ、相棒!」

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