破壊された常識の破片が眼球を傷つけひん曲がった世界が醜く歪み粉砕された砂時計が宙を舞うと足元から全てが崩れた。
第2話。籠に篭められた九官鳥はその強靭な腕力で鉄格子を断ち切り愛する海亀の元へと毅然と走り去る。
第2話。籠に篭められた九官鳥はその強靭な腕力で鉄格子を断ち切り愛する海亀の元へと毅然と走り去る。
結果から言えば、タイムリープは成功したらしい。
いま、僕は幼なじみと、帰路についている。あと数メートル先で、彼女が轢かれるはずなのだ。
あれが夢でなければ、僕は未来から戻ってきたことになる。
ドラえもんのタイムマシンを使ったときのように、僕が二人いるなんて状況ではなく、未来の僕が、過去の僕にすり替わったという状況かもしれない。
タイムワープと、タイムリープ。
タイムワープが完全に崩壊技術だと考えると、タイムリープはあり得てくる気がするから不思議だ。
よくは知らないが、タイムパラドックスやらは少しくらい消化されているのではないだろうか。
いや、こんなことになってしまった以上、タイムワープもあり得ないとは言えないが。
もしかするとあの紙袋の男も、タイムワープをして未来から来たのかもしれない。
あれが未来の僕で、過去を変えにきたとか、とてつもなくありがちな展開だし。
紙袋を被っているのは、顔を隠すためとか。ありがち。
こういうのってだいたいはあと時間旅行者があと一人いたりして、その人が未来の僕の知り合いだったり、やっぱり僕だったりするものだ。
まぁとにかく、アレが夢だとしても現実だとしても、幼なじみが生き返ったというか、助かったのは同じことであるのだから、安心するべきだろう。
僕は幼なじみを助けるために紙袋の男と握手を交わしたのだから。
*
またもや結果から言えば、幼なじみを助けることはできた。
答えを知っているテストを解くのが簡単なように、未来を知っていれば道の選択も簡単だ。
幼なじみが鼻歌を歌った瞬間に、僕が立ち止ってみせる。
すると彼女もつられて止まって、僕らのすぐ目の前を車が通過した。
あっけない。描写の必要もないほどに簡単だった。
彼女を助ける子とができた。満足感と安心感を覚えた。心の底から、良かったと。
若干おかしなテンションになりながらも普通に幼なじみと別れたあと、僕は家の風呂場で考えた。
この力はもう一度使えるのかどうか。
たとえば一昨日やった小テストの点数を改ざんできるし、たとえば幼なじみに告白してみて、振られたら過去に戻るなんていう、世界中の誰もが羨むことだってできるのだ。
とにかくどうやればいいのか、試行錯誤してみることにする。
できなければできないでいい。
できるのなら儲けもの。
最終的には、幼なじみを何度も助けるだけで良いのだ。
ただ、今はだめだ。自分でも舞い上がっているのがわかる。
もう少し時間を……そうだな、本当ならば僕があの紙袋に会うことになる時間までは待って、様子を見よう。
何も異常がなければ、また時計を戻す。
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