第3話
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アルバート・ハイスインツ・フォン・クランバルグ・ラルファルグ
現在のレベル :182
次レベルまで :193682
職業 :糸師
性別 :男
HP :1309
MP :17948
身体能力 :1523
魔力 :18591
魔法属性 :無属性
固有スキル :経験値10000倍 鋼糸
斬糸 粘糸 糸
魔法 :衝撃波 身体強化
ソナー ステータス閲覧
スキル :偽装 剣術 弓術 槍術
棒術 短刀術
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これが俺のステータスだ。一番上のクソ長いのが俺の正式な名前だ。何でも「フォン」は貴族家としての名前で、最後の「ラルファルグ」は俺が住んでいる王国の名前でもあるらしい…が俺自体、自分の正式名がステータスを見ない限り思い出せないし関わりのある人間は専らアルバートかアルと呼ぶから覚えてなくても支障はない…と、思う……多分。
各種数値が4歳児には思えないことになっているがこれは俺の固有スキル「経験値10000倍」と幼い頃からの訓練、特に魔法関係は赤ん坊の頃から鍛えていたからとんでもない事になっている。
ステータス欄にある「職業」はこの世界に産まれた瞬間から与えられる、一種の才能のようなものだがこれがまたとんでもなく当たり外れがでかいらしく、有名な当たり処では「勇者」や「剣聖」や「賢者」等で外れと言われているのは「農家」や「漁師」、「狩人」等といった職業だ。
理由としては強力なステータスにスキルや魔法、技がなければ対抗できない魔物が跋扈していること、この世界ではいわゆるエルフやドワーフ、獣人といった人とは違う種族が多数存在しており全員が仲良く共存できているかといえば勿論例外はあるものの、そうでもないため侵略や防衛においての戦力が常に求められていること、さらに「農家」等は「勇者」や「賢者」と違い「職業」として才能を与えられなくても知識や技術があれば十分にやっていけるだろうという思想が存在しているためでもある。
因みに「職業」は産まれた瞬間にまず教会によって専用の魔道具で鑑定され、親族に伝えられる場合が多い。特に貴族は100%鑑定されるらしい。
なんでもこの世界では「女神教」という宗教がとんでもない権力を持っているらしいがそこら辺は興味がないためよく分からない。
話を戻すがこの世界でステータスにおける「職業」は一生を左右するものといってもいい程の影響力がある。
俺も最初は「勇者」や「剣聖」みたいなありきたりではあるが強い職業になりてーなーと思っていた……だが、俺のは「糸師」という全くの無名で誰も知らない職業だった。
最初は裁縫系統の「職業」かとも思ったが、おれのレベルが100を越えるまでは何の変哲もないただの糸を出すことしか出来なかった。
これは俺の推測に過ぎないが、親父やレリア姉以外の兄姉にはそこで家族としても貴族としても見放されたのだと思う。
俺自身も「経験値10000倍」というチートがなければアウリスへの復讐を誓っていただろう。
まあ、嫌がる俺を無理やり転生させた恨みを流すにはもう少し時間がかかりそうだが……
(ん?)
俺のすぐ傍の茂みから気配がしてそこから現れたのは……
「グギャアァ!!」
「ギャガアァァ!」
魔物であるゴブリンだった。
ゴブリンは数ある魔物の中でもポピュラーな存在であり種類も豊富で勿論、戦闘力もその種に応じてピンキリである、が、この「裏山」には弱い魔物しか生存できないように管理されているため
「グギッ?ギャギャギャ」
「ゲッゲッゲッ」
「ギヒィヒヒィ」
「グゲゲゲ」
何故か不快に感じる笑いをあげている所を見ると、どうやらまだ幼い俺を今日のご馳走に決めたらしい。
「んー、俺じゃなければ腹も満たせたんだろうが…… お前らも運が無いなぁ。」
「グギッ…?!」
「ギャゲッ…!!?」
「ギヒッ…?」
「グゲ…?!」
俺に襲い掛かろうとした瞬間、身体がそのままの体勢で固定され、次の瞬間には……
ズッ……ボトッ!ドチャチャッ!
……文字通りバラバラの凄惨としか言い様のない死体になった。
(うーん…[斬糸]はやりすぎたか? でも殴り殺したら匂いが付くし、返り血が付いたらシルハに怒られる…っつーかそもそも言い訳が思い付かねぇしなぁ……)
何故今こんなことに頭を悩ませいるかというと俺は基本、武器を携帯していない…というのも大概の魔物や動物は俺の身一つで事足りるためなのと、武器の所持を親父に実質的に認められていないためである。面と向かって言われたことはない(というかまともな会話をしたことがない)が、「糸師」なんてどうしようもない「職業」を授かった無能な俺は戦う必要も力もないため武器なんて持たなくてもいいという考えなのだろう。
魔物の死体は、武器防具や魔道具、アイテムなどの素材になることが多いため騎士、兵士や冒険者はきっちり解体していくが俺にとっては宝の持ち腐れだし、家の人間にそんな物を持ってるのがバレたら厄介な事になるため放置一択である。因みに余談だが、魔物の肉は種によって味が変わるし特殊な調理が求められるが食べる事は可能で美味しいものも多いため、愛好家から種によってはとんでもない高値をつけられることもあるらしい。
(さてと、時間もねぇしそろそろ「隠れ家」に行くとすっか……)
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