第2話

 俺の名前は山城龍也、昔ちょっとやんちゃしていたバカで色々ツイてなかった日の帰り、轢かれそうになっていた少女を助けて自分は死んでしまったそんな人間だ。                   

 まあ、その事については後悔してないし今さらほじくりかえしても仕方ないので忘れることにしよう。                  


 取り敢えず今、俺は端的にいって物凄く暇している。少し前『管理神』と名乗るふざけた奴に無理やり転生させられ、絶賛赤ん坊時代からやり直し中なのだが、いかんせん出来ることが少なくとても暇をしてるというわけだ。

 

 只、やることが全く無いわけでもなくどうやら俺が転生したこの世界では魔法やモンスターのいる、ファンタジー味の強い世界らしいので魔法を使うための訓練(手探り)をしている所だ。


 俺は目下の所、自分の魔力を鍛え上げている。自分の中に不思議な力の塊があってそれをこねくりまわしているのだが赤ん坊の身体では、すぐに体力がきれてしまうし、睡魔に全くといっていいほど抗えないし、結果が出ているのかどうかは分からない。           


 だが、家族関係については日々のベビーベッドからの観察で大体把握している。   

 

 どうやら俺の産まれた家は大層な貴族家らしく、父のルアンドロは毎日、何人かいる愛人の女を部屋に呼び込んでは「仲良く」しているということを、メイドが言っていた。

 地位を嵩にきる性格らしく、周りに当たり散らしていて、尊敬できる父親とは言い難く俺の母親も地位の向上目当てに口説き落としたのではないかと噂されている。               

 

 母のリディアはまた大層な貴族家の出身らしく有名な回復魔法の使い手で、国のあちこちを廻って傷ついた兵士や民を癒しているらしく、俺を幼い頃に父に預けたきり、顔を見たことがない。       


 他にも、長男のルバンは、武に長けているらしいが齢14にして酒、女、賭博の味を占めており好き勝手していて、使用人達から領内の将来を心配されている                 


 長女のリシルも、やはり問題児で礼儀作法の勉強や社交ダンス等の勉強をやらされてはいるものの専らサボっては男を取っ替え引っ替え遊んでいると聞く。


 次女のレリアは、比較的にまともらしくあまり感情を表に出さないものの、よく使用人を気遣ったり、俺と遊んでくれたりする心の優しい姉だ


 とまぁ俺の家族関係はこんなところだ。ちなみに今名前を挙げだ兄妹と俺は腹違いらしい、これまた話好きのメイド達がいっていた。

 

 俺の新しい名前はアルバートだ。下の名前は長ったらしくて覚えてない。

 父からは何故か仮にも息子である俺を路傍の石ころを見るような目で見る。理由はわからないが、あんなに冷たい目は前世でも見たことがなかった。

 長男のルバンと長女のリシルは俺に興味がないらしく、数える程しか会ってない。

 次女のレリアぐらいしかこの家族は、構ってくれる人間がいないという放置っぷり

 母親とはそもそも会えないし。


 そして、肝心の俺は冒頭で語ったように魔力を鍛え、睡眠、食事、排泄、所々で泣いており

魔力の鍛練と思考以外は普通の赤ん坊である


 「アル~おねえちゃんとあそぼー」


 姉のレリアの声だ。今日のレッスンが終わったらしい。

 レリアは3歳で歳に似合わず落ち着いているが暇があれば俺のところに来て構ってくれるので、唯一家族との交流ができるため嬉しいのだが俺がシスコンになりそうでそこがたった一つの悩み処である。


 「アル、きょうもおりこうにしてた?」

 「あぅあん(勿論)」

 「アルおねえちゃんきょうはね」


 こんな風にどんな一日だったかとか、そんなことを話してくれる。この時間が生まれ変わってからの俺の一番の楽しみになっている。他に話してくれるとしたらメイドがたまにしてくれるだけだしなぁ。

 そんな姉一人やメイド達位しか構ってくれないがまあまあ平和な日が続き4年位たった頃-






 「坊っちゃまー!! アルバート坊っちゃまー!!!」

 (ヤベェ、こっちに来た!!)


  俺が今、なにをしているかというとお付きのメイドであるシルハから絶賛逃亡中である。理由は単純にレッスンや勉強より外に出たいだけなのだが…。

 シルハには悪いことをしたと思っているんだが、学生ならわかってもらえると思うけど勉強というだけで心身共に拒否反応が出てしまうんだ。

 シルハはおれのお付きとして身の回りのことを一通りやってくれており、俺にとっては優しい姉や母親のようなものだ。

 レリア姉とも仲良くしており微笑ましい光景をよく見る。相変わらず父や他の兄弟とは関わりがないのでそこでの仲は良く知らないが。

 前述した通り普段はとても優しいがサボりに対してはとても厳しいんだ。


 「もう、アルバートお坊ちゃまったら訓練ならあんなに喜んでやるのにお勉強はなんでああも嫌がるのかしら……?

 坊っちゃまー!!今、戻ってくれましたら課題を五倍で済ませてあげますよー!!」


 (いやぁ終わんない終わんない、五倍は終わんないっすよぉシルハさん…只でさえやってると眠っちゃうからろくに進まねーってのに)

 (今バレたらシャレんなんねーから、このままバックレて裏山にいっちまおう) 

 

 裏山ってのはうちの屋敷の裏手をずっといったとこにある、結構デカイ山で動物も魔物も出るが弱い奴しかいないから、専らおれの秘密の遊び場になっている、なんなら隠れ家まで造っていて中々に居心地がよくなっている。

 

 「さーてと、着いたな。そんじゃステータス」

 

 この世界にはステータスという妙にゲーム臭いが、自分の能力を簡単に見れる便利な魔法があって、誰でも使えるが他人のステータスを見ようとすると別の「鑑定」という魔法か専用の魔道具が必要になってくる。まあ、ステータスは個人情報の塊だから相当の事情がないと見せる必要性もないんだが。

因みに偽装スキルがあれば偽装も可能だ。

 そんな感じがステータスというもので俺のがこちらだ。





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 アルバート・ハイスインツ・フォン・クランバルグ・ラルファルグ


現在のレベル  :182

次レベルまで  :193682

職業       :糸師

性別       :男

年齢       :4歳

HP       :1309

MP     :17948

身体能力     :1523

魔力 :18591

魔法属性     :無属性

固有スキル    :経験値10000倍 鋼糸 

         斬糸 粘糸 糸      

魔法    :衝撃波 身体強化 魔弾

         ソナー ステータス閲覧

スキル      :偽装 剣術 弓術 槍術

         棒術 短刀術


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