第7話 最強の“正妻”ルッテの裁き

テナン村は小さな村落で、首都アットルムから南方に遠く離れた山岳地帯にある。

とんがり屋根の家々に心穏やかな村人達が暮らす長閑のどかな山村だ。

なだらかな山の斜面には家と同じ数だけ家畜小屋があり、周辺の草地では牛や羊や驢馬ろばなどが動物ごとに柵で分けられて飼育されている。

村の広場では若い村娘たちがニワトリの卵や野菜を籠に詰めて、近くの街に売りに行く準備をしている。

すると、その広場に隣接した宿の中から男の声が聞こえてきた。


「おい、酒がもうないぞ。早く次を持ってこないか!」


村娘の一人が窓からこっそり宿の中を覗き込むと、大きな男がテーブルの上に足を乗せて、肉の美味しいところだけをかじって、残りを投げ捨てる姿が見えた。

品がない。


「アイツ今日でもう三日目よ……」


別の村娘が後ろから一緒に覗き込んで言った。


「まだ朝だってのに、お酒でデロンデロン」


「本当にあんな男が大英雄レオ・バロウ様なの……? 本物だったらいいのにって昨日まで思ってたけど」


「どうせ嘘に決まってるわ」


そこへ一番年長の村娘も首を伸ばしてきて言った。


「もうすぐ王都から王国騎士団が来るって村長が言ってたから、本物かどうかすぐにわかるよ」


「あ、噂をすれば……」


みんなが村の入口のほうに目を向けた。


立派な軍旗と重騎兵の壮麗な隊列が、村の門の向こうにちょうど姿を現したところだった。


「大変なことにならなきゃいいけど……」


娘たちは騒ぎに巻き込まれないようにそれぞれの家の中に逃げ隠れた。


宿の中で酒を飲んでいた男は立ち上がって、窓に近づいていった。


「外が騒がしいな。何かあったのか?」


酔っ払って足元はふらつき、どこか顔つきも野暮ったいが、体格だけはがっしりとしている。

一見するとそれなりの実力を持った戦士に見えなくもない。

村人のほとんどが農業に従事しているこの村では、武器を持った男と事を構える血の気のある男衆はいなかった。

そのため王都に遣いを立てたうえで、穏便おんびんに男をもてなしていたのであった。


「はい。王国騎士団が到着したのでしょう。レオ・バロウ様をお迎えするために……」


年老いた村長がうやうやしく答えると、男の顔はさっと青ざめた。

その豹変ぶりを周囲の村人は誰一人として見逃さなかった。

村長も料理人も給仕をしていた男女も、このお尋ね者の男に詰め寄る。


「まさかというか、やはりというか、お前さんは畏れ多くもレオ・バロウ様の名をかたっておったのかな?」


村長が落ち着いた声で尋ねると、男はあっさり観念して床にあぐらをかいた。


「俺はどうなる? 死刑か? は! だったら殺してくれてかまわないぜ。冥土の土産にさんざんいい気分を味わったからよ!」


男は豪快に笑ったが、誰も一緒に笑ってくれる者はいなかった。


ドアが開く。

フルプレイトメイルを纏った威厳のある王国騎士団がずかずかと中へ入ってくる。


「レオ・バロウ様はどちらに……?」


「それはもしかしてこの男のことでしょうか? この男であれば自分は偽物だと、今さっき白状しましたよ」


村長の溜息のような言葉に、なんとも白けた沈黙が騎士たちの間に漂った。


「お前たちはこの男を見張っていろ。逃がすんじゃないぞ」


騎士団の先頭にいた騎士団長は渋い顔つきになってきびすを返した。





◇◇◇◇◇



ルッテは馬車の中で騎士団長から報告を受けた。


「そうですか。まあ、大方そんなことだろうとは思っていました……」


「とんだご足労をお掛けしました。あとは我ら騎士団のほうで処理をさせて頂きます」


「……いえ、せっかくここまで来たのですから、どんな男か顔くらいは見ておきたいと思います」


「……あのような無法者を? ルッテ様がお会いになっても仕方のないことかと思いますが」


「いいのです。ちょっとした、ほんの好奇心ですよ」


ルッテは馬車を降りた。



◇◇◇◇◇



男は宿屋の応接間に縄に縛られた状態で座り込んでいた。


「俺はもうこの世に未練はねえ。さっさと殺しやがれってんだ!」


黙って取り囲む騎士団にこれでもかと悪態をついている。


「やはり、レオ・バロウ様にはまったく似ていませんね……」


ルッテが姿を現し、男の顔を見て心底残念そうにぼやくと、男はルッテの高貴な衣装を見て不敵な笑みを浮かべた。


「じゃあ、あんたは本物のレオ・バロウを見たことがあるのかい? 貴族のお嬢さんよ」


「失礼なことを言うな! この方をどなたと思っている!」


騎士の一人が男の背中を軽く蹴った。

するとルッテはすぐに手を上げてそれを制した。


「かまいません。この男の自由に話させておやりなさい」


「し、しかし……不敬にも程が……」


「あなたの質問に答えましょう。私は本物の大英雄レオ・バロウ様を見ましたよ。なぜ、あなたは私にそんなことを聞くのですか?」


ルッテの声はどこにも飾った調子がない。

本当にただ思っていることを素直に話しているように聞こえる。

男はぶすっとした顔つきになり、しばらく心に思っていることを話そうか話すまいか迷っているように見えたが、やがて我慢しきれなくなったように口を開いた。


「大英雄なんてのは作り話だと俺は知っているのさ。少し考えればわかるだろ? いくら人間が身体を鍛えたからって、あんな巨大モンスター……巨竜ドゲラケスを一人で倒したり、海獣クラーゴンを退治したりなんてことができるわけがねーんだ。そんな簡単なことじゃねーんだよ、巨大モンスターと戦うってのは!」


「では、実際にはどうやってそれらの巨大モンスターを倒したというのです?」


「決まっているだろう? 俺たちのような名もなき傭兵たちが何百人も集まり、自分の命をゴミ屑のように捧げて、ようやく一匹の巨大モンスターを倒すのさ。それなのに貴族たちは実在すらしないたった一人の英雄が成し遂げたことにして、報償をすべて横取りしやがる。俺たち傭兵はただこき使われて、ほんのちょっとの報奨金だけもらって、また次の戦地へと向かわされる。こんな平和な村で過ごしている奴らや田舎の貴族にはわからねーだろうな。でも、それがこの国の真実の姿なんだよ。みんな中央貴族の作ったくだらないおとぎ話を信じて、大英雄を褒め称える! おかしいったらありゃしないぜ! ここに居る奴はみんなそろいもそろって大馬鹿者の集まりだ! ははは!」


男は豪快に笑って見せた。

だがその乾いた笑い声の裏にはどこかやり場のない悲哀がこもっている。


「なるほど。それはなかなか面白い意見です」


ルッテは大きく頷いた。


「村長、ちなみにこの男の飲食代は一体どのくらいでしょうか」


ルッテの質問に村長はおずおずと答えた。

素早く頭の中でそろばんを弾いているのか、目だけはせわしなく動いている。


「はい。三日分の宿泊費と、街から芸者を呼びましたので、その賃金と、それにこの男、色んなものをさんざん飲み食いしました。子豚の丸焼き、魚卵の樽詰たるづめ、鳥の骨付き肉、燻製くんせい肉の厚切り、野兎のうさぎの肉団子シチュー、ニシンの塩漬け、ウズラ卵の串焼き、テナン風薬味スープ、春野菜の盛り合わせ、根菜と茸のバター炒め、蒸し芋と木の実のサラダ、エンドウ豆のポタージュ、季節の果物、アーモンド菓子、ビスケット、ドライフルーツ、窯焼きパン、高級葡萄酒、蜂蜜種、ミントティー、あとは酔っ払って壊した皿の補償費などなど……まあ、ざっと大金貨三枚といったところでしょうか。この村でこれ以上の贅沢ぜいたくはありませんな」


「では、それと同等の労働をこれから彼にしてもらうことにしましょう。たしか、モンスターによる家畜の被害が出ていると報告を受けていたと思いますが」


「はあ、確かに今年はダークウルフの数が増えてきておりまして……街の冒険者に討伐依頼を出してはおりますが、なかなかこんな遠い村まで来てくれる者もおらず……」


ルッテはうんうんと頷くと、男の方を向き、イチイの杖を高く掲げて、何やら呪文を唱えた。

すると黒いもやのようなものがどこからともなく現れて、男の身体にとぐろのように巻き付いていった。


「な、なんだ? ひいい! 何をするつもりだ!? こりゃ何かの呪いか!?」


男は少しでも黒いもやから逃れようと、精一杯に上体を仰け反らせて、冷や汗をダラダラと流した。

しかし、縄で縛られていてはどうしたって逃れることなどできはしない。

男の顔がみるみる恐怖に歪む。

騎士団に剣で首を切り落とされるだけなら、痛みは一瞬で済むだろうが、呪いの魔法となればそうはいかないかもしれない。

何年間も死ぬことを許されぬまま、じわじわと苦痛だけを与えられ続ける恐ろしい呪いもこの世界にはあるのだ。

男はきっとその恐ろしい噂をどこかで聞いたことがあるのだろう。


「安心なさい。あなたの考えているような呪いではありませんよ。むしろその逆です」


「逆って、何が逆なんだ!?」


「ですから、これはあなたの力を高めてくれる補助魔法です。まあ、あなたにはレオ・バロウ様の百分の一程度のものしか掛けていませんが」


「補助魔法だって……!? そんな馬鹿な、お、おおお!?」


男の心臓がどくんと高く鳴った。

全身の血管が急に大きく脈打ち始めたかと思うと、口から熱い吐息が漏れて、ぞくっと肌が粟立った。

内臓が腹の底でうねるような感じがして、そこから全身に未知のエネルギーが爆発的に広がっていく。


「な、なんだ? この力は……。こんなの今まで一度も味わったことがないぞ……!」


ルッテは薄く微笑み返す。


「私のように魔術の修練を積めば細やかな補助魔法を無数に組み合わせることで人間の肉体を極限までチューニングすることができるのです。すなわち、筋肉細胞のエネルギー変換効率上昇、関節の可動域拡大、骨格強化、皮膚の全属性耐性付与、視神経処理の高速化、心肺機能の増進、血流強化と自然治癒能力上昇……などなど。私のオリジナルカクテル補助魔法、ルッテ・スペシャルのお味はいかがです?」


「ふ、ふおおおお!」


男は恍惚とした表情で天を見上げると、意識が飛ぶのを堪えるように細い呼気を歯の隙間から吐き出した。

今までに一度も味わったことのない充溢感じゅういつかんで頭が真っ白くなる。

身体が軽く感じて、宙に浮き上がりそうだ。

腕を拘束していた縄も少し力を込めただけでいともたやすくプツリと切れた。

腕だけでなく、全身の筋肉がウズウズと暴れたがっている。


「信じられないことが起きている。……なぜ俺にこんな魔法を?」


周囲の騎士が縄が切れたことに驚き、警戒して剣の柄に手を乗せる。

しかしルッテだけは身じろぎもせず悠然と構えていた。


「どうやら、あなたは傭兵をしていただけあり、戦士としての最低限の肉体は持っているようですね。これならしっかりと修業をすれば、あなたでも将来的に大型モンスターを退治できるでしょう」


「俺が大型モンスターを? まさか!」


「まだ信じられませんか?」


そう言われて、男は目をパチクリした。

まるで初めて見る身体のように自分の腕っぷしをまじまじと見つめて、手を開いたり握りしめたりした。


「あんたは一体何者なんだ? ただの貴族のお嬢様じゃないな」


「私はかつてレオ・バロウ様のサポート役を務めた魔術師であり、今は宮廷魔術師長を務めているルッテ・フィオーナです」


「え、こんな若い娘っ子が……いや、まさか……」


男は周囲の騎士達の反応を見た。

彼らは誰一人として彼女がルッテ・フィオーナ本人であることに疑義を唱えたりはしない。

そして男はただただ言葉を失い、ルッテに頭を下げた。


「なんと若々しいことか。伝説の魔術師……ルッテ・フィオーナ様! あの伝説は嘘じゃなかったのか……!」


「そろそろ、あなたの本当の名前も教えて頂けますか?」


「は、はい! 俺はダルフ! ……一匹狼の傭兵、ダルフ・ヴォーガンでございます……!」


ダルフは目を丸くしてルッテをまじまじと見上げた。


「では、ダルフ、今日から三日のうちに村の周囲に出没するダークウルフを40匹討伐しなさい。そうすれば、あなたの罪は水に流してあげましょう。村長もそれでよろしいですね?」


「は、はい……。私は異存ありません」


村長は何かに圧倒されたように、ただ従う。


「40匹だって!? そんな無茶な……!」


ダルフは慌てふためいた。

ダークウルフは動きが速く、いつも集団で行動し、一匹一匹が知能も高い。

仮にうまく数体を仕留めたとしても、他の個体はすぐに警戒してもう近づいてこない可能性もある。

一度遠くへ逃げられたら、そこから山を三つも四つも越えて追いかけていかなければならないだろう。

本来ならかなりの長期戦を覚悟しなければならない討伐依頼だ。


「決して無茶ではありませんよ。その補助魔法はあと三日は効力が消えません。今のあなたなら可能でしょう」


ルッテの澄んだすみれ色の目を見ていると、ダルフはきっとできる、とそう言わなければならない気がした。


「俺は……てっきり死刑になるものかと思っていました。なんでこんな俺にチャンスを?」


「ええ。もし私の感情が優先されるならば、あなたは間違いなく死刑になっていたでしょうね」


「な!」


「あなたは私の愛するレオ・バロウ様を嘘つき呼ばわりしたのですから。彼はこの国を守るために命を捧げた本物の英雄ですよ。その努力がすべて嘘だっただなんて、あまつさえ自分こそが大英雄レオ・バロウだと名乗り、あなたはこの小さな村で傍若無人ぼうじゃくぶじんに振る舞い、彼を愚弄ぐろうした。すぐにでも殺してやりたいくらい腹が立ちます」


ルッテの本気の殺意の波動を感じ取って、ダルフの全身に戦慄が走った。

この女魔術師を敵に回したら間違いなく自分は一瞬で消え去ることになるだろう。

そのくらい実力が違う。


ルッテはまた穏やかな目つきになった。


「……ですが、もしここにあの人が、レオ・バロウ様がいたら、きっとあの人は、もう一度あなたにチャンスを与えたはずです。だから私は彼の意志を継ぎ、生きていた頃の彼の代わりとなって、あなたを裁きます。これは私ではなく、大英雄レオ・バロウの裁きだと思いなさい」


ダルフは唇を噛んだ。

胸の奥から得体の知れない喜びと恥ずかしさが込み上げてきた。

小さな子供の頃から本物の英雄に憧れてきたはずなのに。

俺は何を間違ったのだろうか?


「先ほどのあなたの口ぶりでは、あなたを雇った貴族は、どうやらあなたの功績を正当に評価しなかったようですね。それが真実であれば、その点は同情に値します。ですが、だとしたら、なぜあなたは新しい雇い主を求めずに、善良なこの村の人々をだますことで己の虚しい気持ちを満たそうとしたのですか?」


ダルフには反論する言葉もなかった。

がくっと頭を垂れる。


「……ブルジェロア侯爵みたいな男が……この世界の貴族は、あんな奴ばかりだと俺は思ったんです。俺は……すっかり失望していました。貴族はみんな俺たちの事なんてゴミ屑程度にしか考えていないと。それに、こんなすごい魔法があることも知らなかった! だから伝説なんてみんな嘘に違いないと、俺は勝手に……勝手に一人でそう思い込んでいたんです。レオ・バロウの英雄伝説なんて絶対に不可能だと……! 俺は何もかも信じられなかった。この自分自身ですらも……」


ブルジェロア侯爵……?

ルッテはその名に反応しつつ、聞き流したふりをした。


「では、どうするのですか? ダルフ、あなたの今の考えを聞かせてください」


「は、はい。ルッテ様……三日のうちにダークウルフをどうにか40匹仕留めてみせます。こいつは俺にとって途方もない仕事ですが、とにかく俺はやってみせます。貴女様に約束します……必ず仕留めて……」


「必ず仕留めてみせる……だけではいけませんよ」


男はルッテの言葉の意味が分からず不思議そうに顔を上げた。

するとルッテは優しく微笑みかけた。


「……今度はあなたが本物の英雄におなりなさい」



◇◇◇◇◇



「しばらく、一人にしてもらえませんか?」


テナン村からの帰り道の途中にある湖に馬車がさしかかったところで、ルッテはいつになく物悲しい表情で騎士団長に言った。


「はっ」


騎士団長は何も言わずに馬車の扉を開けた。

ルッテは馬車から降りると、湖に向かってゆっくりと一人で歩き出した。


「よろしいのですか、騎士団長。ルッテ様をお一人にして……」


騎士の一人が尋ねた。


「よくはない。だが、ルッテ様は日々公務に身を捧げ、一人で心安らぐ暇もないのだ。せめてこのくらいの気安めがなくてはお辛いことだろう」


「私のような一介の騎士はあまり考えたこともありませんが、我々には想像もつかない激務なのでしょうね……」


「うむ。この辺りは山賊やモンスターが出たという話も聞かない。それに湖の景色はたいそう美しいと聞く。きっとルッテ様も今の気分を改めるのに良いと思われたのだろう。だが我々は警戒を怠ってはならぬぞ。湖の周辺を警備して、もし不審者がいれば捕らえるように皆に伝令を回せ!」


「はっ」



◇◇◇◇◇



ルッテは湖の畔にある切り株に腰を下ろした。

ここは彼女にとって思い出の場所だった。

まだ駆け出しの冒険者だった頃にレオ・バロウと一緒にこの湖畔こはんで野宿をしたことがあるのだ。

いつかお金を貯めて、アットルムの郊外に二人の大きな家を買おうと夢を語り合ったものだ。

あの頃と変わらない静かな湖面が今も深い森に抱かれている。

日没前の太陽の黄金色の光が水面全体に満ち溢れて美しく輝いている。

いつになく切ない気持ちがルッテの胸に込み上げてきた。


レオ・バロウ様……。

もう一度会いたい……。

偽物ではなく、本物のレオ・バロウ様に……。


いつもの彼女なら気がついただろう。

遠い森の高木の枝の上に弓を引き絞る怪しい影がいることに。

そして、すぐさま攻撃魔法で反撃したに違いない。

だが、今日のルッテはいつになく心が感傷的になり弱り果てていた。

モンスターの敵意を察知する基本的な探知魔法すら彼女は発動させていなかった。


レオ・バロウ様……

どうすれば私はもう一度貴方に会えるのでしょうか……?

私はいつまでこの世界で貴方の代わりを務めればよいのでしょう……?


木の枝に立つ黒い影は矢を放つ。

その矢は静かに空気を切り裂き――


ズドッ


鋭利な金属がルッテを背中を抉り、鈍い光が胸の先に鮮血を纏って覗き見えるほどまでに刺し貫いていた――。

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