第149話 戦闘への衝動

 白を基調とした明るい室内。

 窓枠や壁際などの要所には金細工が施され、その豪華さをいやが上にも引き立てている。

 流石は『腐っても鯛』と言う所か。

 多少手を入れた……とは聞いていたけど、以前の荒れ果てた様子を知っている身としては、信じ難い程の変わり様にも思える。


「それにしても。すっごく変りましたねぇ」


 感嘆のため息をもらす僕を見て、来栖くるすさんが満足そうに頷いてみせる。


「だろぉ。組の金を自由に使えるようになったからな。先代の会長が酒や女にツッコんでたほんの一部を使やぁ、この程度の事は朝飯前よぉ」


 狭真会きょうしんかいを牛耳った途端、その金を勝手に使い込み始める来栖くるすさんの度胸と手腕を褒めるべきか、それとも先代の会長が遊興費として使っていた金の一部を使うだけで、これだけの事が出来てしまうと言う事実に驚くべきか。

 少々悩んだあげく、今回は前者の方を選択。


「いやぁ、流石は狭真会きょうしんかい若頭カシラですね。ヤル事が素早い」


「そうだろう、そうだろう。まま、飲めのめ。新しいエスプレッソマシンも導入したんだよ。すげぇだろ? なんとコイツは、あの有名なコーヒーチェーンでも使われている一品でなぁ……」


「ははぁ……」


 僕は来栖くるすさんの終わらないコーヒー談義を軽く聞き流しつつ、窓の外に広がる緑の芝生へと目を向けた。


 ここは奥多摩にある廃ゴルフ場のクラブハウス。

 バブル崩壊の余波を受け、運営会社はあえなく倒産。

 狭真きょうしん不動産が二束三文で買い叩き、今ではデスゲームのホームグラウンドとしてされている。


 しかし、この場所にはもう一つ裏の顔があった。

 それは、来るべき教団との全面戦争に備え、戦力を秘匿すると言う役割である。

 クラブハウスのすぐ横。

 電動カートや、多くの備品が保管されている倉庫のような建物。

 その中には本国より転移させて来た数十匹にも及ぶレッサーウルフが飼育されていた。


 窓の外に広がる牧歌的な風景。

 しかしその実情は、多くの人命と流血によって創り上げられた、対神専用の最前線基地だったのである。


「ところで来栖くるすさん。最近の状況ってどんな感じなんですか?」


 僕は来栖くるすさんの話をさえぎるようにして、言葉を差し挟む。

 学校が休みの日にわざわざこんな山奥まで来たのは決して来栖くるすさんのコーヒー談義が聞きたかった訳では無いのだ。


「おぉ、そうだったな。まずはその話から始めるか」


 僕は来栖くるすさんに促されるまま、ロココ調で統一されたソファーへと腰を下ろした。


「ウチは、幹部連中を中心に、既に七名の被害が出てる。幸い死者は出ちゃいねぇが、瀕死の重傷を負ったメンバーは何人かいるな。他の組員もビビっちまってなぁ。表稼業の方はなんとか続けちゃいるが、裏稼業の方は壊滅的な状態だ」


 来栖くるすさんの話によれば、狭真会きょうしんかい組員を狙った襲撃事件が既に三件発生していると言う。

 その手口は、どれもが一般人による暴行で、組員数人が縄張りを見回っている最中に襲われているそうだ。

 中には渋谷の街中にもかかわらず、小中学生の集団に取り囲まれ、スタンガンにより身動きできなくなった所を刃物で滅多刺しされると言う凄惨な事件に発展したケースもあるらしい。


「最近じゃ五、六人の集団で見回りを行うようしてるからな。被害の発生は抑えられちゃあいるが、いつまた同じ手口で襲われるかは分かったもんじゃねぇ」


 厳しい顔つきのまま、限りなくブラックに近い濃褐色の液体を口へと流し込む来栖くるすさん。

 寄せられた眉根の原因は苦みの強いエスプレッソの所為だけでは無さそうだ。


「それから、組事務所が襲われたのは最初の一回キリだな。例の鉄砲玉が来た時だけだ。コイツは皆藤かいどう組長が殺された一件で、頭に血が上った組員が暴走しただけだろう。それ以降の犯行とは恐らく別モンだ。それに、組員の自宅や隠れ家が直接狙われたって言う話も聞かねぇ。これも推測だが、襲ったヤツらは然したる情報ルートも無く、どっちかってぇと、行きあたりばったりで襲ってる感じがするな」


「って事は、組織的な犯行ではなく、単独犯的な感じ……って事ですかね」


 僕の指摘に、来栖くるすさんが軽く頷き返した。


「恐らくそうだろう。それぞれの犯行は多少の違いはあるが、手口が同じ上に同時には起きちゃあいねぇ。って事は狩人ハンターは単独犯、もしくは少人数のチームだと考えて間違いねぇだろうな。もちろん、わざとそうカモフラージュしている可能性も無くはねぇが……」


 もちろん、この時僕たちが話題にしている狩人ハンターとは実行犯の事では無い。それぞれの襲撃は全て警察沙汰になっており、一部の例外を除いてその被疑者たちは全員逮捕されているのだ。

 僕たちの言う狩人ハンターとは真犯人、つまり今回の事件を裏から操っているの事を指している。


狩人ハンターか……」


 思い起こせば前回のファミレスでの事件。

 店内の従業員や客を使って僕たちを襲わせた能力者は、最終的にファミレスの中へとガスを充満させ、店ごと爆破すると言う暴挙に打って出た。

 その驚愕の手口に、思い返すだけで背筋に冷たい汗が滴り落ちる。

 幸いにもあの時、僕の体内には十分な魔力の蓄積があり、瞬時に壱號いちごう具現化Bootする事に成功。

 僕は壱號いちごうに護られる形で、瓦礫となった建物の下から無事生還する事が出来たのである。

 もし体内に十分な魔力の蓄積が無かったら、ガス爆発とそれに続くコンクリートの瓦礫に埋もれ、命を落としていたかもしれないのだ。


 狩人ハンターに関する有効な手掛かりもないまま、重苦しい雰囲気に包まれる室内。

 そんな、どんよりとした空気を一瞬のうちに吹き飛ばす、二人にとって救世主とも言える人物が部屋の中へと乱入して来た。


「はぁぁ! スッキリしたわ! 例の事件以降神々の終焉ラグナロクも自粛されちゃってるしさぁ! しかも、ここんとこ中間テストで忙しかったから、結構溜まってたのよねぇ!」


 白いバスローブに身を包み、両手を広げて清々し気な笑顔を振りまくこの女性。

 一部のアングラ格闘マニアの間では血まみれのマリアブラッディマリーとして名を馳せた格闘家であり、かつ某私立高校に勤務しつつも、とても人に言えないような特殊な性癖を持つ変態教師でもある彼女。


「誰が変態やねん」


 突然、彼女が僕に食って掛かる。


「止めて下さいよ。僕そんな事言ってませんて」


 僕は怪訝な表情を浮かべ、言い返しはしたのだが。


「いやいや、犾守いずもりくんの顔にそう書いてあったよ」


 何の根拠もなく、飄々と言い放つ彼女。

 そう。この妙に勘の鋭い女性こそ、学校内では常に眉間に皺を寄せ、生徒達より陰真いんさなと陰口を叩かれる陰険教師。真瀬美里さなせみさと先生その人であった。

 

「じゃじゃーん!」


「いや、だから。効果音そう言うのいらないんで」


「そんな事言わないでよぉ。せっかくスッキリした所なんだから。あとそれからアノ犾守いずもりくん二号だけどさぁ。今回のヤツ、また復活したらバックアップ取っておいてよね。結構良い感じに仕上がって来たから」


「ホントそれも止めて下さい。僕のBootした体をラブドールみたに言うのは。って言うか、今日も壊さなかったんですね。最近、調子良いんじゃないですか?」


 陰真いんさな先生の性癖はかなり特殊だ。

 いや、特殊と言うか、仕方が無いと言うか……。

 最初は単なるスプラッター好きなのだとばかり思っていた。

 いや、確かにスプラッター好きで、三度のメシより他人の流血を見るのが好きな彼女ではある。

 ではあるのだが……でも、どうやらそれはちょっと違うようで。


 陰真いんさな先生は先天的な祝福持ちだ。

 それも、身体強化を得意とするアレクシア神の祝福。

 拳銃程度の弾丸では彼女の肌を傷つける事すら能わず、彼女の拳は容易にコンクリートの壁をブチ破る。

 そんな最強の彼女にとって、世の中の全てはあまりにももろく、はかない。

 当然一般人とは異なる生活を強いられる事となる彼女。

 特に不自由するのは……そう、夜の営み。


 ボールペンやティーカップなど、壊れやすそうなものは細心の注意を払う事で乗り切れる。伊達に三十年余りをこのヤワな世界で生きて来た訳ではないのだ。そう簡単に壊す事は無い。

 しかし、の方はそうも行かない。

 何気に気分が乗ってくれば、その体は本人の思うように動かなくなる事もしばしば。それは一般人とてそう違いのある話では無いだろう。

 となれば、自身が『達した』時にどうなるのか……おのずと結果は見えてくる。

 本人が望むと望まないとにかかわらず。

 結果的に相手のじり切ってしまう事になるのである。

 つまりを切断するのは、決して趣味な訳ではなく、あくまでも結果でしか無かったのだ。


 そんな欲求不満を神々の終焉ラグナロクに参加し、なみいる強敵を叩きのめす事でさを晴らしていた彼女。

 そんな中、彼女は遂に自分の最も欲していたモノオモチャを手に入れたのである。

 壊れそうで壊れない。

 しかも、高度の自動修復機能が搭載された、安全・安心のラブドールオモチャ


 つまり……僕だ。


 ただ、最初のウチこそ僕自身をラブドールオモチャ代わりにしていた彼女であったのだが、ある時ハタと気が付いたらしい。


「これって、Bootした犾守いずもりくん二号でも良いんじゃね?」


 と……。


 流石に教え子本人に対して自分の性癖を全開放する事も出来ず、少々気まずい想いを抱いていた彼女は、このアイデアを僕に相談。。

 毎回彼女に呼ばれて瀕死の重傷を負い、バックアップから戻す事に疲れ果てていた僕は、彼女のアイデアを即時了承する事に。

 こうして、二人の利害は完全に一致。

 結果、僕のバックアップレパートリーに陰真いんさな先生御用達の犾守いずもりラブドールオモチャが加わる事になったのである。


 最初の頃こそすぐに壊してしまい、毎回最初からやり直しとなっていた彼女であったが、最近では簡単に壊す事も無くなり、自分好みのラブドールオモチャを創り上げようと連日張り切っている真っ最中なのであった。


 ……なんじゃそりゃ。


 ちなみに、今日は香丸こうまる先輩が大学の都合で捕まらず、陰真いんさな先生の車に乗せて来てもらったのだが、僕と来栖くるすさんが話している間、暇な先生は新しくなった別室にて犾守いずもりラブドールオモチャの調教を行っていたのだ。


「良い所に来たぜ、なぁ、先生よぉ。例の狩人ハンターの件なんだが、何か気付いた事ぁ無ぇかなぁ?」


「あぁ、その件ねぇ……」


 そう言いながら、彼女は手に持っていた洋モノの瓶ビールを一気に飲み下した。


 いやいやいや。

 あなた後から車運転するでしょうに。

 大丈夫なの、少なくとも教職にある人が飲酒運転なんて……。


 え? なに?

 この後、もう一回戦して、更に風呂に入ってから帰るから大丈夫って?


 ……。


 あそー。

 それなら仕方が無いね。

 まぁ……そう言う事ならね。

 でもなぁ……。


 え? なになに?

 それまでに、ラブドール犹守くん二号を治しておけって?

 えぇぇ……それはちょっと……。


 え? この前の中間テスト?

 赤点ギリだったけど?

 下駄履かせてくれるって?


 ……


 かしこまりました。

 即刻修復致します。

 お気兼ねなく、存分にお飲みくださいませ。


 僕との闇取引が成立し、満面の笑みで僕のはす向かいにあるソファーへと腰を下ろす陰真いんさな先生。


 えぇぇ……。

 先生。

 見えてますよ。

 いろいろと。

 貝っぽい所が。

 えぇ、かなりグロイヤツが。


 ……。


 グロイって言うなって?

 そんな事言うヤツは赤点だって?


 ……。


 大変申し訳ございません。

 謹んで訂正させていただきます。

 先生、イキイキとした赤貝のような部分が、チラリホラリと垣間見えておりますが、よろしゅうございましょうか?


 ……。


 はい?

 あぁ……ついさっきも?

 見せたばかりだから、今更関係無いって?


 いやいや、それって僕じゃないし。

 って言うか、僕なんだけど、結果的に僕じゃないし。


 え? 大差ないって?

 まぁ……ねぇ。

 大差無いっちゃ、大差ないかもだけど……。


 そんな他愛無いやり取りをこなしつつ、思案にくれる陰真いんさな先生。

 やがて彼女はバスローブより零れ出した生足を無造作に組み替えつつも、ようやく話し始めてくれたのだ。


「そうねぇ。まず第一に、今回の集団的に人を操れる祝福って言うのは聞いた事が無いわ。だから狩人ハンターが何処の教団に属しているのかも私には全く見当もつかない。それから第二に、結界内の人間を何らかの方法で操るって事になると、相手と敵対した時は、結界の張り合いになるって事でしょ? それって、貴方達にとってはかなり不利よね。なにしろ、メンバーには結界を張れる人がいないものね。あぁ、確かレッサーウルフを使えば同等の事は出来るかもだけど。渋谷の街中にレッサーウルフを召喚して御覧なさいな。いきなり日本中が大パニックよ。折角ここまで積み上げて来た準備がぜんぶチャラ。流石にそれは難しいわよねぇ」


 さも残念そうに何度も頷く陰真いんさな先生。


「それなら、結界を張れる先生が僕たちの仲間になってくれれば……」


 そう言い掛けた所で、陰真いんさな先生は僕の言葉を遮るように、右手の人差し指を掲げてみせた。


「それは無理。私の所属は今も昔も皆藤かいどう組よ。それに私自身、正式な組員って訳でも無いしね。内部抗争に首を挟むつもりは全く無いわ。とは言え、貴方達と敵対するつもりも無いから、安心して」


 ここまで簡潔に断られると、逆に清々しい気持ちになる。

 これ以上の無理強いは無粋と言うモノだろう。

 恐らく同じ気持ちの来栖くるすさんも、幾分残念そうにではあるけど、首肯しているようだ。


「しっかし参ったなぁ。先生にも分からねぇって事になると、打つ手が全く見つかりゃしねぇ」


 真瀬さなせ家と来栖くるす家は古くから能力者を排出する家柄として、互いに認識はしていたようで。神々の終焉ラグナロクを通じて何度か顔を合わせる内に、色々と情報交換はしていたらしい。

 そんな経緯もあってか、来栖くるすさんは真瀬さなせ先生の言葉や情報に全幅の信頼を置いている様に感じられる。


「あぁ、そうだ。もう一つ新しい情報があったんだ。実は昨日の事なんだが……」


 来栖くるすさんは二杯目となるエスプレッソを淹れながら話し始めた。


 一旦は収束するかに見えた狭真会きょうしんかい組員をターゲットとした襲撃行為。

 しかし昨日、今度は狭真会きょうしんかい配下の風俗店に対する嫌がらせがあったと言うのだ。

 客のフリをして風俗店より嬢を呼び出しこれを殺害。

 客自身もその場で自殺を図ったと言う事件で、警察の方は痴情のもつれ……との見方となっているそうだが、実際の所そうでは無いだろう。

 来栖くるすさんとしては、これまでの組員への直接攻撃から、今度は狭真会きょうしんかいのマネールートを潰しに来たと見ているようだ。


「こっちが籠城決め込んだからな。兵糧攻めに切り替えたたって事だろうよ。狩人ハンターの方もなかなかの軍師じゃねぇか」


 来栖くるすさんは冗談交じりにそう話してはいるのだが。

 当面は表の稼業である不動産関連の収入で食いつなぐ事が出来るにせよ、早晩ジリ貧になるのは間違い無いだろう。

 若頭カシラとしては、頭の痛い問題である。


「ちなみにね。ウチの組……あぁ 皆藤かいどう組ね……結局ウチの組も同様に被害を被っているらしいわよ。ウチの組はオヤジられちゃってるからねぇ。若い衆は完全に頭に血が上っちゃってて、悪いのは全部狭真会きょうしんかいの新執行部だ! って事になってるみたいだし」


 なるほど。

 話を総合すると、どうやら狩人ハンター狭真会きょうしんかいを完全に二分させる事で、互いにつぶし合いをさせようとしているように見える。


「そうなると、得をするのは?」


 僕の素朴な疑問に、来栖くるすさんが険しい表情を見せる。


「誰になるんだろうな。広域暴力団を摘発したい公権力か、敵対する組か、はたまた渋谷の権益を狙った海外マフィアって線も捨てきれん……。まぁ、この業界長くやってりゃ敵なんて掃いて捨てるほどいるってこった。特定なんて出来んよ」


 確かにその通りだ。

 今現在の情報だけで、黒幕を特定するのは難しいだろう。

 となれば、やはり直接犯人を捕まえて、依頼者を吐かせるのが最も早い。


「わかりました。要するに、僕たちをターゲットとしている狩人ハンターをあぶり出せば良いんですよね」


 僕の突然の宣言に、来栖くるすさんと陰真いんさな先生が驚きの表情を浮かべて見せる。


「まぁ、確かにそうだが、そう簡単には行かねぇだろ? だいたい、相手は次に誰をターゲットにしようとしてるのか、さっぱり分からねぇんだぞ」


「そうよ。それに、相手は結界を使って来るんでしょ。そうなった時の対処も考えておかなきゃだし……」


 心配する二人を後目に、僕は更に言葉を付け足した。


「とにかく僕に任せて下さい。何しろ今回は秘密兵器もありますんで。本来は、対教団戦を想定して温存しておく予定だったんですけど。相手が能力者って事であれば、実戦投入せざるを得ませんから。まぁ、良い練習になると思いますよ」


「練習って、お前ぇ」


 尚も不安そうな顔の来栖くるすさん。

 僕はそんな来栖くるすさんに向かって親指を立てながら、不敵な笑みを浮かべて見せた。


 大丈夫。

 何も問題は無い。

 何百人と人間を使役したとしても、所詮は烏合の衆だ。

 僕のブラックハウンドには及ぶべくもない。

 結界だって、万全の魔力を保持した状態の僕であれば、何の支障にもならないはずだ。


 ――ドクン、ドクン……


 高鳴る鼓動。


 ヤル。

 やってヤル。

 僕が、全部……殺してヤル。

 僕は強い。

 僕こそが最強だ。

 この世界で最強なのは、僕ただ一人なんだっ!


 来栖くるすさんの為、狭真会きょうしんかいの為、そして仲間たちの為……。

 そんな目もくらむような輝かしい大義名分の影には、利己的な『戦闘への衝動』と言う名の『ドス黒い炎』が潜んでいる事を、この時の僕はまだ知らなかったのさ。

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