第137話 抗争激化の糸口
突然のカミングアウトに、先生の言葉の意味が理解できない。
「どう言う事も何も……ねぇ。そう言えばアナタって
少し呆れた様子の
「他のメンバーが来るまでまだ時間もあるし、折角だから色々と教えてあげるわ。アナタだって何も知らないでこんなゴタゴタに巻き込まれるって言うのも納得が行かないでしょうからね」
「え? 他のメンバーって?」
「あぁ、その件は一旦置いておいて。うぅぅんと、何処から話そうかな……」
自分が
結局の所、
舎弟頭である
イメージとしては本社の社長人事に、グループ会社の社長が異を唱える事が出来ないのと同じか。
とは言え、
次代の会長として立花を推す事自体に不満は無いが、せめて事前に相談の一つもあって良いのでは? との不満が
そこに来てだ。
残念ながら
最近では
彼の野望としては、自分の息の掛かった二番手、三番手の中から、次代の
不満に思った
それはそうだろう。
その頃には既に真田元会長はレッサーウルフの腹の中。
いや、既に排泄されて汚水処理場で綺麗なお水になっていた頃かもしれない。
つまり、
そりゃ話が通じる訳がない。
でもこの事は絶対に秘密。
命を助けていただいた
ちなみに、
ようするにだ。
「って事でね、
「え? だった……? ですか? 過去形?」
「そう……だったの。過去形」
って事は、今は違うって事?
「こういった内輪もめのゴタゴタってさぁ。あって無いようなもんだけど、一応守るべきルールやしきたりってモノがあってね。例えば互いの組員は殺さないとかぁ、双方の屋台骨が揺らぐような経済的な損失は与えないとかぁ……。後はお巡りさんみたいな国家権力の介入はご法度とか」
あぁ、なるほど。
それで微妙に関係を持っている私たちが狙われたと言う訳か。
ヤクザなんだから、もっと直接的にドンパチするのかと思ってたけど。
そう言う訳じゃないのね。
って言うか……あ!
そう言う事か。
小競り合いで済ませたいなら、互いの構成員に危害を加えちゃダメって事なんだよねっ!
もし危害を加えちゃったら、小さな小競り合いで済まなくなっちゃって、本格的な抗争に発展しちゃう……そう言う事なんだよねっ!
「それでもって、今回は
「はい……。でも、でもですよ! 私、ヤクザ者に危害を加えたって言っても、無理やり『しゃぶれ!』って言われたから、思いっきりチ〇コ噛みちぎっただけで、別に殺すつもりだった訳じゃないんです! そうです、これは不可抗力って言うか、当然の正当防衛って言うか! それに、そのヤクザ屋さんは病院に行ったんですよね。まだ死んでないですよね。だから大丈夫ですよねっ!!」
いや……無理やり『しゃぶれ!』とは言われてねぇな。
私から口でスルって言ったんだっけ?
ありゃ、忘れたなぁ。
まぁいっか、そんな細けーコト、誰も覚えちゃいねぇだろ。
「あぁ、ごめんごめん。そっちはたぶん大丈夫。チ〇コ食い千切られたのはアイツが馬鹿だからだもんねぇ。その事については一切お
おぉぉ。良かったぁ……。
知らない男のチ〇コを
だどすると……コッチかぁ……。
「ボ……ボビーを……殺っちゃった……コト……ですかね? でも、Bobyは正式な構成員じゃ無いですよね。用心棒なんですよね。って事は、今回のルールに照らし合わせると、ギリセーフって事に……なりませんかね?」
閻魔大王の目の前で最後の審判を待つ亡者の如く。
私は泪目になりながらも
「……」
「……っ」
「……」
「……っ!」
「……ファイナルアンサー?」
「ふぁ、ファイナルアンサー!」
「……」
「……くっ!」
「……セーフっ! おめでとー! Bobyの件はセーフでーす。御指摘の通り、Bobyは用心棒枠で
長ぇよっ!
マジ
そんだけ溜めが長かったら、魔貫光〇砲だって打てちゃうよっ!
「ふえぇぇ……良かったぁ!」
まぁ、
「って言うか、Boby死んでないし」
「え?」
「だぁかぁらぁ、Bobyは死んでないって。ちょっと気絶してるだけだし」
「えぇっ! マジですかっ!」
「マジマジ。アナタの魔獣ちゃんにチ〇コ噛まれて、気絶してるだけだから」
またもやチ〇コかよっ!
まぁ、出てたけど。
ボロンと出てたけどもっ!
「えぇぇ! でも首元から大量の血が
「あぁ……アレね。後で向こう側に行ってみれば分かるけど、アレってチ〇コ噛まれたBobyの血尿だから。恐らく気絶した前後で失禁したんでしょうね。チ〇コが長すぎて首元に血だまりならぬ血尿だまりが出来るって、ちょっと引くわよねぇ……」
いやいや、それをさも楽しそうに話すアナタの方がドン引きですよ。
「それに、チ〇コ噛まれたぐらいで気絶するなんて、駄目な男よねぇ。そう言う意味だと、アナタがチ〇コ噛み千切ったヤクザの方がよっぽど立派だったわよねぇ」
いやいやいや。
立派かどうかは知らんけど。
そんな事どうでも良いけど。
とにかく。
とにかくBobyが死んでなくて、マジ良かったぁぁぁぁ!
「えぇぇ……それじゃあ、ナニがどうダメなんですか? 私、他には誰も殺してませんよっ!」
だとすると、他に何の問題が?
何か他のルールに抵触したって事?
なんだ、なんだ?
ナニがマズかったんだ!?
AV野郎どもか、問題はアイツらって事なのか?
それとも照明さんか? 監督かっ!?
かあぁぁぁぁっ!
どうせ
これまでの流れをもう一度思い返してみても、マズそうな事象がこれっぽっちも思い浮かばない。
「実はさぁ……」
焦る私とは対照的に、
そして、ものの数秒もしない内に、どこかで見た事にある
「せっ、先生……それって……」
「ホント、困っちゃうわよねぇ。ちょっと気絶させようと思って小突いただけなのにぃ……。って事で、コレ、アナタがヤッたって事にしてくんない? お願いっ!」
手に持っていたモノを無造作に床へと放り投げ、小首を傾げて両手を合わせるお茶目な
「いやいやいや、駄目ですよ。流石にそれはヤバいですって!」
「えぇぇ! だってさぁ、アナタの命を救ったのはこの私なのよぉ! このぐらいのお願い聞いてくれたってバチは当たんないと思う訳よぉ。だってコレがさぁ、
おいおいおい。
ナニ逆ギレしてんだよ、この
「ねっ、ねっ! 後生だからっ、ねっ! お願いっ!」
私の目の前で何度もなんども手をこすり合わせる彼女。
そんな彼女の足元に転がっていたのは、既に死相の浮き出た
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