第42話 反撃の狼煙

『Boot! Boot! Boot!!』


 ――バシュ! バシュゥゥ……!


 水蒸気のぶ厚い幕があたり一面を覆いつくす。


『タケシ、どうするつもりだ。ここでブラックハウンドは危険だぞ!』


 クロの言う事はもっともだ。

 のブラックハウンドをBootしようものなら、この非常階段どころか、このビル自体が崩壊する危険性だってある。

 そんな事にでもなれば僕とクロはともかく、先輩や綾香あやかが助かると言う保証はどこにもない。


『大丈夫、見て……』


 落着き始めた白煙の中。

 現れ出でたのは堂々たる体躯たいくを持つ三体のグレーハウンドだ。

 まるで主君からの指示を待つ忠実な戦士がごとく、階下から僕の事を見上げているではないか。


『タケシ、これは……』


 驚くのも無理はない。

 クロにこれを見せたのは今回が初めてだからな。


 僕だってこの春休みの間、フラフラとただ遊んでいた訳じゃない。

 自分の能力を知る為に、色々と試行錯誤しこうさくごしていたのさ。


 クロからもらったクロの魔獣核Beast Core

 元々は教団と戦うために一時的に受け継いだ物なんだけど。

 どうやら注入する魔力量を調節する事で、魔獣本体の大きさを自由に変化させられる事が分かったんだ。


 魔力量を小さくすれば、ほぼクロと変わらない子猫程度の大きさに。

 逆に膨大な魔力を注ぎ込めば、大型化したブラックハウンドになると言う訳だ。


 そう言えばクロ自身もどうして自分のCoreから、ブラックハウンドが出現したのか、その理由が分からないって言ってたんだよな。

 恐らく、クロの持つ魔力量ではどう頑張ってみても、ブラックハウンドをBootする事が出来ないんだろう。

 確か、向こうの世界でもブラックハウンドは伝説の魔獣扱いで、実物を見た人は誰も居ないって話だし。

 グレーハウンドとブラックハウンドが同じ系統の魔獣だと言う事自体、クロ自身が知らなかったとしても仕方が無いのかもしれない。


 それともう一つ。

 BootされたCoreないと使い物にならないってクロが言ってたけど、確かにBootしていた時間に比例して、その知能は向上して行くみたいだな。


 いや、おそらく知能自体は元々シッカリ備わってはいるんだろうけど、Core複製コピーした段階で、感情と一緒に自我の一部が抜け落ちるって言うか……うぅん、上手く説明出来ないや。


 とにかく複製コピーした直後はさらな状態になってて、僕の言う事は分かるんだけど、どう動けば良いのか分からない。……って感じなんだよな。


 となれば、四六時中Bootした状態にして経験を積ませ、Coreを育てれば良いって事になるんだけど……。


 ただ、このBoot状態。

 常に魔力が消費されてしまうから、呼び出した人間への負担がかなり大きい。

 魔力量にも限界があるし、そんなに長い間Bootしておく事なんて出来やしない。  

 仮にグレーハウンド程の大きさであれば、クロでさえBoot出来るのは毎日せいぜい数分が良い所だ。


 だけど……僕は、違う。

 ブラックハウンドを呼び出すだけの魔力量が、僕にはある。


 流石にブラックハウンドを何時間もBootする事は出来ないけれど、クロ程度の大きさであれば、二十四時間フルでBootしてたってへっちゃらだ。

 それが分かってからと言うもの、僕はクロの大きさにした魔獣たちを常に屋外で放し飼い状態にしてたのさ。


 効果はてきめん!


 クロ壱號いちごうなんて、ご近所のネコたちを従えて、今ではすっかりボス気取りになるまで成長している。

 まぁ、元々のCoreの持ち主がだからな。さもあらん、さもあらん。


「さぁ、行けっ! ヤツらをらい尽くせっ!」


 ――グロロロロ……


 従順かつ狂暴な戦士たちは低いうなり声だけを残して、次々に階下へと走り去って行く。


『タケシ、いつの間に魔獣核Beast Coreを調教したんだ。しかも、少々小さ目だが、あれはまさしく私自身グレーハウンド。しかも、三体も同時に出すとは……魔力の方は本当に大丈夫なのか?』


『今日は(魔力を)あまり使ってないからね。まだ余裕があると思う。そんな事より……』


 僕は急いで後ろを振り返る。


「さぁ、今のうちに逃げよう! ここからは屋上に出られないから、九階の外の非常階段を使うんだ」


 緊張した面持おももちの先輩と綾香あやか

 二人は壁際で抱き合いながら、僕に向かって何度もうなずいている。


「吉田ぁ! 撃てっ、撃てぇ!」


 ――パンパンッ! パンパンッ!!


 階下では戦闘が始まった様だ。


「よし、僕に付いて来て!」


 僕は他の二人を連れて、最上階の踊り場から慎重に九階の非常扉まで降りて行く。

 その途中……。


 ん? クロ参號さんごうの思念が弱まったぞ。

 やられたのか? 意外と早いな。

 そう言えばクロ参號さんごうは喧嘩っ早いからなぁ。

 たぶん見境なく敵に突っ込んで行ったに違いない。

 それにしても、やっぱり拳銃はバカにならないって事だよな。

 グレーハウンド自体も屋内に合わせて少し小ぶりにしてみたんだけど、それも失敗だったか?


 いやいや、心配したって始まらない。

 それに、まだクロ壱號いちごう弐號にごうは健在だ。


 そんな中、僕たちは九階の非常扉へと到着。

 教団連中は僕のBootした魔獣に追われ、かなり下の階まで撤退したらしい。

 やはり逃げるなら今のうちだ。


 僕は少しだけ非常扉を開けて、九階エレベータホールの様子を伺ってみる。

 静まり返るフロア通路。

 そこでは、夜間用の非常灯だけが薄っすらと輝いているだけ。


 ここは大丈夫だな。


 僕は先に行くようにと、後ろの二人に手招きをする。

 そして、香丸こうまる先輩が丁度僕の目の前を通り過ぎる所で。


「先輩っ、この通路の奥に外の非常階段があるはずです。鍵は手で開けられると思います。外に出られたら有楽町の方へ逃げましょう。向こうであれば人も居るでしょうし、タクシーだって捕まると思います」


「分かったわ。犾守いずもり君は?」


しばらくヤツらの様子を確認してから後を追います。状況は思念で教えて下さい」


「うん、わかった。犾守いずもり君も気を付けてね」


 心配そうに念を押す香丸こうまる先輩。

 僕は微笑みながら、小さくうなずいてみせる。


 とは言え……。


 正直な事を言うと、怖くて、怖くて。とにかく怖くて。

 笑う余裕なんて本当は全然無かったんだ。

 でも……ここで僕が余裕を見せないで一体どうする?

 彼女達は僕なんかより、もっと、もっと不安でしょうがないはずなんだ。

 そんな彼女達を守り、不安を取り除く事が出来るのは、僕だけ。

 そう、僕だけなんだ。


 僕にはがある。

 しかも、そのを行使すると決めた。

 僕の大切な彼女達を守る為に。


 一度そう決めたからには、その責任の全ては僕が負わなくちゃいけないんだ。

 たとえそれが、どれだけ重い結果であろうとも。


 僕は拳銃で武装しているとは言え、生身の人間の所へ魔獣を三体も送り込んだ。

 間違いなくヤツらは魔獣に喰い殺される事だろう。

 

 銃が人を殺す訳では無い。

 問題は誰が引き金を引いたのか……それだけだ。

 その魔獣引き金を引いたのは……まぎれも無い、僕だ。


 僕が殺した。

 そう、明確に殺す……と言う意思を持って……僕が。


『タケシ、私はどうする?』


 クロからの思念。


殿しんがりは僕が務める。ご主人様クロには申し訳無いけど、先輩と 綾香あやかを守って欲しい』


『無論だ。では後は任せた。安全が確保出来たらまた連絡しよう。お前も無理をするな』


 それだけを告げると、クロは先輩たちの後を追いかけて行く。


「キシャァァァァ! キシャァァァァ!!」


 ――パン、パンッ! パン、パンッ! パン、パンッ!


 魔獣たちの雄叫びに加えて、銃声が連続で鳴り響く。


 かなりの激戦だな。

 でも、クロ壱號いちごう弐號にごうに焦りは感じられない。


 どうする?

 このままヤツらにとどめを刺すまで戦わせるか?

 それとも、ここで一旦消して、僕も逃げるか?


 確かに魔獣を放置して逃げる事も出来るは出来る。

 しかし、僕と魔獣の距離が離れてしまうと、僕は魔獣を消す事が出来なくなってしまうんだ。

 仮に僕の魔獣が教団のヤツらを首尾しゅびよく蹴散らしたとしよう。

 すると魔獣は生きたまま、僕の魔力が尽きるまでここに残り続ける事となる。

 だけど、それはそれで大きな騒ぎになってしまうに違いない。

 場合によっては自衛隊出動案件だ。

 それじゃあ、魔獣が教団に仕留められてしまった場合はどうだろう。

 そうなると、殺された魔獣本体が教団側に回収されてしまう可能性が高い。

 教団側にどの程度の分析能力があるのかは分からないけど、僕へと結びつく証拠は出来るだけ残したく無い、と言うのが本音だ。

 やはり、思念の届く範囲で様子を見届け、頃の良い所で消してしまうのがベストの選択だろう。


 僕は更に階下の様子を探る為、クロ壱號いちごう弐號にごうに対して意識を集中しようとした、その矢先。


『タケ……!』


 ――ザザッ


『外は既……に包囲……』


 ――ザッ


『屋上……に……げる』


 ――ザザザッ


 え? 何っ!?

 クロ? えぇ?


 雑念ざつねん?さえぎられ、クロの意思が上手く読み取れない。


 どうしたんだ?

 始めてだぞ、こんなの?

 さっきはあれだけクリアだったのに。

 包囲?

 既に囲まれてたって事か?

 って事は、逃げ道が無いって事?


 背筋に走る冷たい汗。

 緊張の余り、手足が硬直し始める。


 教団の連中、いつの間にそんな戦力を展開してやがったんだ。

 いや、最初から? 最初からって事か?

 まさか、罠!?

 元々僕たちに逃げ場は無いって事?


 一秒、二秒……。

 僕の思考は乱れ、時間だけが刻一刻と過ぎて行く。

 

 どうする? どうするっ!?


 ……くっ! 駄目だっ!


 こんな所で時間を無駄にしてる場合かっ!

 早く皆と合流しなければっ!


 ◆◇◆◇◆◇


 突然の真っ暗闇。


 俺ぁ……死んだのか?


 いや。

 死後の世界なんて、ある訳がねぇ……。

 って事は、俺ぁ、生きてるって事か。


 とりあえず、耳をましてみる。


 ――キィィィィン!


 あぁ、あぁ! うるせぇ!

 全然気付かなかったけど、耳がキンキン言ってるぜ、完全に耳鳴りだ。


 チクショウ、どうなった。

 たしか、俺が階段の踊り場ではいいつくばってた時に、魔獣に飛び掛かられて……。


「……さん……坂さん、大丈夫ですか」


 ようやく収まりつつある耳鳴り。

 その向こう側から、俺を呼ぶ声が聞こえて来る。


「……加茂坂かもさかさん、つかまって下さい」


「あぁ……悪ぃな」


 俺ぁ、言われるがままに、右手に触れた部分をつかんだのさ。


「……」


 うん? 柔らけぇな。これじゃ、頼りなさ過ぎて、つかまりようがねぇ。

 俺は二度三度とつかみ直すが、その不安定さは変わりがない。


「……くぅっ」


「おい、どうなってやがんだ? 明かりはねぇのか、明かりは?」


 ――カチッ


「……懐中電灯……点けました」


「うぉ! まぶしいな。俺の顔じゃなくて、他を照らせ、他をっ!」


「……はい」


 少しずつまぶたを開けてみる。

 一度まぶしい懐中電灯にさらされた両目は、なかなか視力が復活しない。


「チクショウ、見えづらいな……」


「……はい、これで良いでしょうか?」


 やがて、ようやく焦点の合い出した俺の目の前に現れたのは……。


「片岡ぁ……なんでお前は俺の目の前で大股おっぴろげてんだよ」


「……加茂坂かもさかさんが見え辛いとおっしゃられたので」


「いやいや、お前ぇの股間なんて、見たくねぇよ」


「……それ、セクハラですよ」


「いや、セクハラってお前ぇ、マジ、パンツ見えんぞ」


「……いいえ、80デニールなんで大丈夫です」


「いや……いやいや、そう言う事じゃなくてよぉ。なんで股間を懐中電灯で照らしてるのか? って話だ」


「……はい、加茂坂かもさかさんが他を照らせと言われたので」


「いぃや、いやいや。他っつってもよぉ、他は、他にも色々とあるだろうがよ、他とかよぉ!」


「……はい」


 片岡は自分の股間から、今度は自分の顔を懐中電灯で照らし始める。


 いやいや、怖ぇよ。

 顔がめっちゃ怖ぇよ。

 真顔でそんな事やられたら、意外と怖ぇってんだよ。

 って言うか、小学生かよお前は。

 懐中電灯で自分の顔を下から照らすなんて、小学校以来だよ俺ぁよぉ。


「って言うかさぁ……俺ぁつかんでんだよ」


「……チチです」


「だよなぁ……」


「……私の、チチです」


「いやいや、そこをもう一回強調しなくても良いんだよ。それより、何で俺ぁお前のチチを揉まなきゃならねぇんだよ」


「……加茂坂かもさかさんが何かつかむモノを……と」


「そうだよ、おれぁつかむモノが欲しかったんだよ。揉むモノじゃねぇんだよ!」


「……加茂坂かもさかさんが揉みたい……と」


「いや、言ってねぇよ! なんで倒れてるヤツが、いきなり揉みたいなんて言うんだよ。って言うか、お前がつかまって下さい、つって言ったんじゃなかったか?」


「……そうでしたっけ?」


「そうでしたっけ? じゃねぇよ。俺ぁ、お前のチチなんて、揉みたくねぇんだよ」


「……それ、セクハラですよ」


「いや、セクハラって何だよ、お前ぇどっちがセクハラなんだよ。一体どっからがセクハラなんだよっ!?」


「……加茂坂かもさかさんが私のチチを揉みたい……と言った辺りから?」


「何故に疑問形っ! しかも、俺ぁ揉みてぇなんて言ってねぇっつってんだろ!?」


「……はい、そうだったかもしれません」


 いやいや、もう良いわ。

 片岡こいつと話してると、ただでさえ少ない体力が更に削られる。

 俺はコイツのチチから手を離すと、自力で壁にもたれ掛かったのさ。


「そんな事より、魔獣は? 魔獣はどうした?」


「……はい。阿久津さんと私が射殺致しました。その後、リッカルド司教が処分されたのだと思います」


 リッカルド司教が?

 って事は司教たちが間に合ったのか?

 阿久津はなぜ俺に連絡しなかったんだ?


 俺は右のポケットから携帯を取り出してみる。


 チッ、阿久津から何度も電話が入ってやがる。

 俺の方がそれどころじゃ無かったって事か。


「で? リッカルド司教が処分って、どう言う事だ?」


「……はい。阿久津さんと私が仕留めた魔獣を検分しようとした所、なぜか魔獣たちから蒸気が噴出。蒸気が収まった後には魔獣の死骸が消失しておりました。恐らく司教の祝福のお力かと考えた次第で……」


「いや……ワシの力では無い」


 しわがれた声が片岡の言葉をさえぎった。


「リッ、リッカルド司教様」


 片岡の背後より現れたのは年老いた小柄な男。

 俺は慌ててその老人の前へと駆け寄って行く。


「わっ、わざわざお越しいただき、誠にありがとうございます」


 俺は急いでひざまずくと、その老人の手にキスをしたんだ。


「良いよい。神のため、信者のために働く事こそ司教の務め。お前が気にする事では無い」


「はっ、ありがたきお言葉、感謝申し上げます」


 へっ!? 何が神のため、信者のためだよ。

 金のため、権力のため……の間違いだろ?


 もちろん、俺はそんな想いをおくびにも見せない。


「繰り返すが、魔獣が消失したはワシの力では無い。恐らく召喚士により異界へ戻されたのか、あるいは回収されたか……」


 確かに。

 リッカルド司教の持つ「クリストフォロス神の祝福」には、物体を消し去る様な力は無い。

 それに、最近現れた魔獣たちは軒並み、蒸気の中へと溶け込むかの様に消失している。


 チッ、またしても逃げられたか?

 いや待て。

 まだ逃げたとは限るまい。

 どこかに潜んでいる可能性も捨てきれん。


「司教様、如何でございましょう。結界の中に異教徒どもがまだ居りましょうや?」


「そうじゃなぁ。うぅぅむ……」


 うぅぅむ……じゃねぇよ。

 さっさとヤレよ、この爺ぃ。

 エルフのくせにジジイって、お前いったい何歳いくつなんだよっ。

 ホント、このエルフって種族は好きになれねぇ。


 とまぁ、文句を挙げりゃキリが無いが、コイツはアイスキュロスなんかと違って、まだ使い道がある。

 確かにコイツは「クリストフォロス神の祝福」を持っている。その事自体もスゲェが、それよりも何よりも、ヤツの売りは、その無尽蔵の魔力量だ。

 この爺ィが結界に加わるか否かで、結界の強度も範囲も段違いとなる。


 高架橋の時に破られた結界。

 もし魔獣の野郎がまだ近くに居るなら、今回はそう簡単には破らせねぇぞ。


「うむ。加茂坂かもさか、まだ居るな。異様な魔力を放出するやからが我が結界内に潜んでおる」


 よしっ! ビンゴだっ!


「さっ、流石はリッカルド様でございます。現大司教様すら足元にも及ばぬその魔力。次の大司教様はリッカルド様で間違い御座いませんな!」


「ほっほっほ。さもあろう、さもあろう。今の大司教など所詮、ワシが本国に行っていた間の代理の様なものじゃ。ワシが神界に正式に戻りさえすれば、間違いなく大司教の座はワシのものに……」


 ――ドドォォン! ギシギシギシッ!


 突然湧き起こる地鳴りの様な音と揺れ。


 なんだ、地震か!?


加茂坂かもさかさんっ!」


 近くの照明が壊され、ほぼ暗闇くらやみ状態の非常階段。

 そんな非常階段の階上から聞きなれた声が。


「おぉ、阿久津か!」


「ヤツらを見つけました。外階段使って屋上へと逃げた模様です。ビルの周りは警備課の連中で結界封鎖済。どうします? 追いますか?」


「当たり前だっ! 何しろこっちには次期大司教の呼び声も高いリッカルド司教様がいらっしゃるんだぞ。ここで魔獣騒動に終止符を打ったのがリッカルド司教様ともなれば、来年の大司教選挙は当確間違い無しって寸法だ! あははははは! ですよねぇ、リッカルド司教様っ!」


「ほっほっほ。加茂坂かもさかも気が早いのぉ。そう言えば、お前も司祭とは言え枢機卿を名乗る一人じゃったな。その節には、よしなに、よしなにのぉ。ほっほっほ」


 チッ、この狸オヤジめぇ。

 まぁ、来年の事なんてどうでも良い。

 まずは、魔獣を仕留める事が優先だ。


 へっへっへ。ようやく戦力が整いやがった。

 待ってろよぉ、魔獣の野郎ぉ

 よぉしっ! こっからが第二ラウンドだぜっ!

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