第6話 END…?
「はぁー。はぁーっ、ひッ、ふ……ゔぅ……」
ヘルメットからプシュー。という音がして、僕の意識は現実に引き戻された。
「あれ……おかしいな……」
息は乱れ、目にはじんわり涙が浮かんでいた。
でもなぜか、どうしてこんな気分になるのかわからなかった。
ぽたり、と涙が一粒零れてきた。
シャツでごしごしと拭ったが後から後から零れてきて拭っても拭いきれない。
「あれ、なんで僕……」
心にぽっかりと穴が空いたようだ。ヘルメットはほんのりと熱を持っていた。そしてなぜか、唇…も。指を当てるといつもよりじんわり暖かかった。
困惑。
ヘルメットの◎ボタンはいくら押しても、押しても、どうやっても何の反応もなかった。
時計の針は大分進んでいて、カーテンの隙間からは真っ赤な夕焼けの光が差し込んでいた。カーテンを開け、日が沈むまで夕焼けをじっと見ていた。
今日も君は教室にはいない。
特に用事もない昼休み。僕は教室の窓から小さく見える海を見つめていた。なんとなく懐かしいような、大事なものを失くしてきた気がするんだ。それがなんだかは分からない、けど。何言ってんだ僕。おかしいな。
白いカーテンが風にはためいて、ふわりと大きく舞う。
窓際にある僕の机の上の、あの日から白紙のままの進路希望調査票も風になびく。
僕はふと、あることを思いついてペンを取り、その紙に書きつけた。
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