※6当番日、非番日※

井上はあの後、起床後から20分ほどかけて仮眠室を出ると救急車の資機材整理と清掃作業を行った。

あ24時間の1当務が終わる朝には出勤してくる反対番と人員を入れ替えるため、使用した資機材や運用した車輌の整備•清掃を欠かさず行うのが通常であった。



井上は救急車の清掃をほどほどに退勤の時間の8時30分までに残されている書類の作成のために2階にある事務所に向かった。





40人前後の座る座席とパソコンが設置されち事務所はまだあまり、電気も付いておらず、着席している職員を2、3人ほどであった。

この時間帯はあまり、事務作業等をせずにしてくる反対番のために1日の出来事の申し送りであったり資機材の清掃等々で時間を使うのが常であった。



「•••おはようございます。」


そんは閑散とした事務所の一角、車両が止めてある車庫に続く階段に一番近い位置に設置された5人の事務席があった。

その一番末席に座る中村が声小さく言った。


その目線はチラッとこちらを見たがすぐに開かれているノートパソコンに移り、器用にキーボードを打つ手と連動をし始めた。



「おはよう•••。疲れたなぁー中村は寝たの?」


井上は中村の向かい側の席に座りあくびをしながら聞いた。



「寝てないです。なんか、あのタイミングで寝ると逆に辛いんで。それより、残業しないで早く帰って休みたいです。」


中村は軽くそう答えた。



「そうだよなぁ。」


井上は頭をポリポリかきながらログオフされている自分のパソコンを起動した。



「••••終わってない書類ある?半分もらうよ。」



井上がそう、声をかけると中村は黙って1事案ずつの書類をまとめたクリアファイルを渡してきた。




(•••夜中の事案か。なにかよく覚えてないなぁー)



そんな事を思い出しながら書類の作成を始めた。



時間は6時50分。



そろそろ他の係員も車庫から2階の事務所に上がってるくる時間帯。



(•••このペースなら残業しなくて帰れるかな。このまま、出場が何もなければいいな。)



そんな、事を思いながら仕事を続けた。


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