第35話 メイド in ソニ ソニ on ブリッジ

教会に人の気配を感じられないから危険が迫っているのかと思ったらただの勘違いだった

恥ずかしいね?


ということでアラベルの目的の人を1人発見した

セディーナという女性でシスターであり聖女の教育係であった

メイドじゃないのかと思ったら元々はメイドとして働いていたのだという

歳の頃は30前半、俺と同じくらいかな

女性として1番美しい頃だ

だから?と聞かれても特に何もない



「セディーナ、ノエルは居ますか?2人揃ったら詳しいお話をします。」



セディーナさんがもう1人を呼びに行き、しばし待つと女性を連れて来たので多分ノエルさんという方なのだろう

20代後半くらいだろうか?成人女性にしては背が低いがスラリと伸びたやや筋肉質な手足と独特な歩き方が高水準の武術を修めた人物だと思われる

俺も棒術で免許皆伝や色々な格闘技をかじったが日本に居た頃に戦えば無事でいられないだろうと感じた


身だしなみがきっちりしていて、若干吊り上がった瞳が意思の強さを感じるがアラベルの顔を見た瞬間に笑みを浮かべた



「アラベル!よく無事に戻って来た!しかし私達に置手紙だけ残して行ってしまったのは減点だ。後でお仕置きするから覚悟するようにな。」



そう言われたアラベルの顔が引きつっているとノエルさんがこちらを向いて悪そうな顔になる



「あんたがアラベルをここまで連れて来てくれたのかい?へぇ、なかなか強そうじゃないか。ちょっと私と殺合しあってくれよ?」



殺合しあ

いやいやどんだけ殺伐としてますの?



「どうも。試し合いならまだしも殺し合いはちょっと……。」



試合とか練習なら嫌いではないし最近では女性の格闘技者も結構増えたのでそこに違和感はないが命のやりとりは勘弁願いたい



「ふーん?あ、ベッドの上での勝負でもいいよ?そんじょそこらの男共では相手にならなくてねぇ。はーっはっは!」



なんつー豪快な人だ

俺に棒術を教えてくれた師匠せんせいにそっくりだな

嫌いではないが面倒な人に目を付けられたっぽい


ふと師匠せんせいの言葉を思い出した

「基本を極めたものが1番強い。小手先だけの技に囚われるな!」

師匠の技や流派の教えは全て覚えたが、覚えた後はただひたすらに基本の繰り返しだった

小学生の頃から雨の日も雪の日も台風の日も高熱が出た時も屋外で毎日突きと払いばっかりしていたなぁ


……いかん、涙が出てきた



「もうノエル!シンジ様がお困りです、それにシンジ様は『旅人』様です。ケガをするのはノエルの方ですよ!」



復活したアラベルがそう言ったが、うん、煽らないで欲しい

目がギラギラしてて怖いったらありゃしない



「ほぉー、『旅人』様かぁ。……楽しめそうだな!」



「やらないですからね?」



なぜかむくれているが本来の説明をアラベルに任せる

早々に話は決まり2人は俺の城まで来ることになった


俺の城


字面は恰好いいが文字通り城なんだよなぁ

そういえば教会を作るべきか聞いてないな

移動中に聞くとしよう


アラベル達は荷物をまとめアイテムボックスに入れていく

入りきらない分は俺のアイテムボックスに入れる事になった

ノエルさんが袋を持ってきて俺に見せながら「下着だから」と俺のアイテムボックスに入れさせられたが、一体どうしろというのだろうか?

俺は下着フェチではないのでそのままアイテムボックスにしまうと何が面白くなかったのか肩パンしてきて拳を痛めていた

俺の防御力ヤバいからね



教会にはシスター長や他のシスター達もいたのでアラベルがちゃんと説明した

聖都ユグドラシルに教会を建てますと意気込んでいるが建てるのは俺ですよね?

良いように使われ始めてきたが絶対建築基準法アーキテクトがあるからしょうがないのかもしれない

……毒されてきたのか?


教会の人達に別れを告げ都の外に出る

ガルドがまた居たので門番に絡まれないでよかった


何人かがセシルを閉じ込めた箱の前で格闘しているがまだ脱出出来ていないようだ

1人の兵士が角から端っこを剣で削り取っている、あいつが1番頭がいいな

次回は物凄い固い石で作ってやろう


ここでまたしても思ったが金属はまだ出せないけど金属を含む石とか出せるのかな?

昔の人は採掘した石を溶かして中から金を取り出したりしていたが、その理屈で行くと金属も石なのではないか?宝石に至っては殆どが石なんだけどな?


お金を必要とする生活をしていなかったから気が付いてなかったがアイテムボックスを見てみたらダイヤモンドとかルビーとエメラルドもありましたよ

鉱石なら行けるっぽい

てかさ、何となくで創造してしまったけどフルダイヤモンドの小屋を作ってしまった

火に弱いけどこれアカンやつじゃ?

今晩辺り天界に呼ばれる予感するわー


気持ちがブルーになりながらソニに乗り込み教会で暇だった時に作っておいたチグルスまでの橋を設置する



「ガルド、今からチグルスまでの橋を置くが出入り口はどの辺にすればいい?」



「橋…ですか。さすがは『旅人』ですな。スケールが違いすぎる!そうですなぁ設置されるのは構いませんが場所を移したり移動したりは出来るのでしょうか?」



何か警戒されたかな?



「ああ、出来るよ。安全面を考慮してのことなら500m先を出入り口にしてもいいぞ?なんなら都の外壁に沿ってL字にしたっていい。」



ガルドと急ぎ兵士が呼んだ参謀みたいなおっさんとあーでもないこーでもない言いながら若干作り直し設置する



「おおぉ!これがあれば危険も少なくチグルスまで行き来出来るようになりますな!」



「そうだな、チグルスまで行けば俺が住む場所までの橋も出来てるから殆ど戦闘なく来れると思うぞ?ちゃんと出入り口に門も付けてあるから魔物に襲われることはないはずだ。」



聖都までの橋を作っても良かったが面倒ごとも多くなりそうだったのでそれはやめておいた

セシルが絡んで来そうな予感がするしな



「んじゃあ行くわ、橋を走り始めたら箱を回収するからあそこの将軍にもよろしく。」



走り出して箱を回収する、横目に下を見たらぐったりしてセシルが倒れてた

空気穴あったけど真っ直ぐではなくぐるぐる回してたからな、酸欠気味に見える

真っ暗闇の中身動きも取れず暴れてたんだろうな、ごくろーさん



「チグルスに行くぞ。と思ったけどちょっと走ったら昼飯まだだしご飯にしよう。」



新規のメイド2人が凄く静かなのが気になった

そういえば何の説明もなくソニに乗らせたし目の前にでっかい橋を作ったし驚かないわけないか



「くっくく。シンジ様よぉ、最高じゃねぇの!『旅人』様ってやつぁ規格外過ぎて開いた口が塞がらなかったよ!」



「神のお導きに感謝致します!」



ノエルさんとセディーナさんて対照的な2人だなぁなんて場違いな事を考えていた

本当に元メイドなの?セディーナさんはともかくノエルさんて掃除とか出来そうにない

料理なんてさせたらぶつ切り野菜を鍋に突っ込んで味付けは塩だけとかそんな予想が出来る

すげー失礼な想像だけど


30分程走り昼食にする

今日はオーク肉とじゃがいものハニーマスタードソース

俺流はじゃがいもを蒸かした後サイコロ状に切り軽く揚げておくことだ

ソースの絡み方が良くなり口当たりも軽くなる

仕上げに温玉を乗せると極上だ


俺とマリーはご飯で他の人はパンで食べていく



「うおぉ!?なにこれ!?美味しすぎる!」



ノエルさんが吠えている

しかしノエルさんて荒々しいイメージだが口はそこまで悪くない

何となくこの手の人って男口調というイメージがあるから、早めにイメージの修正しないとだな


ご飯も終わりチグルスへと走って行く


日も傾いて来た頃、真新しい外壁が見えて来たのだった

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