第33話 岩塩、名前はピンクだ?
この街の名前は『聖都ユグドラシル』と決まり今日は都に行きアラベルのお世話になっているメイドさんを連れに行く事になった
都の名前は特になくそのまま都というらしい
少し大きくなってきた作物をエルルカ達に任せ、今日はマリーも加えた4人でソニに乗り込む
都までチグルスから馬車で1週間
そこそこの距離があるようなので日暮れまでには着かないだろう
そもそもが地図がない
なので俺はチグルスまでの橋を作ることにした
移住する住民の安全な移動方法を模索した結果がこれだった
チグルスまでの距離はおおよそでならわかっているのでピッタリサイズより短くなるように作っていく
なぜ街から聖都ユグドラシルまでの橋をピッタリで作らないのかと言うと、チグルスとの往復したときに多少蛇行しながら走っていたからだ
真っ直ぐに進む場合と蛇行しながら進んだ場合では距離が変わってしまう
例を出すと正四角形の対頂点まで進むと考えた場合、二つの辺を通って対頂点に行くのと辺を通らずに真っ直ぐに行く場合では全くもって距離が違う
距離の出し方は中学の時に習った√(ルート)ってやつだったと思う
ひとよひとよにひとみごろだっけか?
俺は数学が苦手だったので計算方法など忘れたが
苦手というより授業で教わる公式を覚えるのが不得意で独自の計算式を作って答えを導き出していた
計算方法が独特だしそもそもが暗算で答えを出せたのでテストは式を書かずに答えだけ書いては怒られ(答えは正解だったが)、怒られたから独自の式を書いて答えを出しては怒られ(習った式以外使うなと言われた)たりしたので、数学に苦手意識を持ってしまったのだ
後に大学の同期がその話に興味を持ち独自式を書いて見せたら学会で発表出来るぞと興奮していたが興味はなかったので勝手に発表していいぞと言ったら4年に1度選出されるナントカ賞とか言う数学の世界で権威のある賞をもらったみたいだ
それからその同期から毎年高級なフルーツが届くようになったが…
まあそんなこんなで1度やる気を失うと興味がなくなるわけで、それからの数学のテストは10点以下しか取ったことしかない
何の話だったっけ?
ああ、正確な距離と方向がわからないってやつだったな
そこで何となく「チグルスまでの橋、少し短めに」とアイテムボックスで創造したら出来てしまった
って出来るんかーい!
同じように「都までの橋」とやってみたがそれは出来なかった
ある程度の距離と方向がわからないと作れないのかな?
検証する気はない
そして外周の橋まで移動し「チグルスまで!」ってアイテムボックスから出して見たら勝手に方向修正をして橋が完成してしまった
チートすぎるだろう……
すげー楽でありがたいですが襲われる心配がなくなったので魔物が倒せずレベルアップ出来ないではないか
サイクロプス辺りなら襲ってくるかもしれない
期待して待っておこう
チグルスまで続く橋を走って行く
決してギャグではないと思いたい
ここでふと思う
よくカクヨムとかで異世界に行くと「ここはほにゃららという世界」って言うけど、なら逆に地球に転生してきたら何て言う世界っていうの?
そこに凄く疑問を感じるんだよな
テラ?アース?ガイア?
むしろ世界に名前ってあるの?みたいな
ひょっとするとこの世界というのは星の名前を指しているのかもしれないな
作者の方に聞いてみたい
そして勘違いしてもらっては困るのだが決してディスっているのではない
至極当然に語られるので疑問に思っただけだ
ちなみにウィキで世界と調べると「地球上の人間社会のすべて」と一行目に出てくる
これをそのまま解釈すると世界という言葉は地球以外の星では使わないことになるのだが……
などと危ない事を考えていたらあっという間にチグルスに着いたのでミーナさんに伝言を残し都へ向かう
伝えてもらったのは橋が出来た事と都へ向かってから戻って来る事だ
ここからは都までの道があるのでそこを走って行く
さすがに整備はされていない
馬車が通ったであろう車輪の跡と草が踏まれて倒れている程度の道だ
お昼になるまで走って行き、途中で停まって昼食と休憩を取る
今日はキャンプでやろうと持ってきていた低温調理が出来る機械を使って夜中にセットしておいたローストポーク、正確にはローストオークですが
それとポテトサラダとオニオンスープだ
クルトンは予め作ってアイテムボックスに入れてある
カレンに切り分けてもらい食べる
ローストポーク美味いな
ジューシーかつ肉の甘みが素晴らしい
ヒマラヤ岩塩が凄くマッチする、ピンク色の塩がローストポークのピンクと合わさってピンクだ
胡椒もピンクペッパーを使った、でもピンクペッパーってピンクではなく赤いんだけどね
まあとにかくピンクだ
そんなピンク料理に舌鼓を打ちつつオーク肉の素晴らしさを噛みしめていく
お米も以前訪れた街で購入出来たのが嬉しい
稲も手に入れたので春になったら植えたいと思う
日本から持ち込んだお米は60kgあるがまだ食べていない
俺はお米は好きだけどパンも好きなのでそれのみでも生きていける
結構調理してるからそろそろ職業かスキルにそれっぽいのが生える気がする
余ったお米とローストポークで肉巻きおにぎりを作ってアイテムボックスにぶち込んだ
いつでも食べれるようにしておくのも大事
昼食も終わり1時間程仮眠してから走り夕暮れになったので今日はここまで
明日も晴れるかな?
朝起きてみると今日も快晴
そういえばここに来てから1度も雨も雪もない気がする
カレンに聞いてみるとローグナーは降るみたいだけど降る前に国を出たから見てないだけみたい
アラベルによるとカテラ大草原は冬は全く降らず夏前と冬前に雨期があるらしい、梅雨か?
それ以外ではあまり降らないみたいだが、湿度がないわけではないのできっと地下水が豊富なのだろう
1年中草原は枯れないみたいだし謎のままだが
寝汗が酷かったのでシャワーを浴びて出てみるとカレンとマリーが料理をしている
マリー料理出来たの?
「おはようございます、シンジ様。今日の朝食はマリー様が是非手伝いたいと頑張ってくださっています。」
手つきをみていると危なっかしい
カレンに習いながら調理している
アラベルが来てどうやら危機感が芽生えたらしい
それがプラスに働くのであればいい事だなと思う
まあお嬢様なんであまり無理をしないでもやれる事をやればいいと思う
食っちゃ寝は困るが
朝食を終え出発する
予定では午前中に都に着くはずだ
ただ都に近づくと馬の死骸やら馬車の残骸やらが増えてくる
都大丈夫なの?
2回程休憩を挟み走って行くと大きな外壁が見えて来た
遠目に見てもわかるぐらい外壁が高い、チグルスの2倍くらいあるか?
きっと前に来た『旅人』が頑張った結果なのだろう
近づいていくと何やら大騒ぎしている
大量の魔物に襲われているみたいだ
外壁に取り付いているオークが見える
不謹慎だがレベルアップチャンスだな
しかし魔物の群れから火柱が上がり火が消えると魔物も消えている
「高威力の魔法ですね。あ!外壁の上に居ます!」
カレンが言うので見てみると頭まですっぽりとローブを被った人影が見える
あの人が撃ったのだろうか
火の魔法の範囲にいなかった魔物が慌てふためいている隙をついて門から兵士が出てくる
先頭を走る軽鎧と真っ赤なマントを纏った兵士が馬上から号令を発している
「勝ったな……。」
一度言ってみたかったセリフをなぜかこのタイミングでぶち込んでみた
俺が戦った訳ではないのにな?
ものの5分程で500はいたであろう魔物が1匹も漏らすことなく
なんつーか
これ今行ったら攻撃されないかな?
さりげなくフラグ回収をしておく
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