第32話 ダーツ?いいえミッドガルです

チグルスから戻って来た翌朝、前日に作っておいたバージョンアップした橋を設置することに

家も建て直すので畑以外を全てアイテムボックスにしまい、全員でソニに乗り込む


家族との相談で家も少し大きく作り直し機能的にした

魔石を使った館内エアコンも設置したので夏も冬も快適に過ごせると思う

大きなガラス窓のリビングも作ったので景色を楽しむ事も出来るだろう

ほぼ草原しかないけど


橋を回収し新しい橋を設置した、今回も円形だ


さらに今回は街も作ることを想定した作りになっている

サイズは変わらず直径10kmの橋、真ん中へ向かう連絡通路が8つ

前と違うのは4kmと3km2km1km地点も円形の連絡通路を作ったことだ

少し違うけどイメージとしてははダーツボード


1kmごとの区切りなので全部で40の区画が出来た

あ、俺達の家を入れたら41だけど



「かなり立派な街が作れそうですわね。農場区画や下水処理施設まで。このような街はどこにもないでしょうね。」



マリーが凄い興奮している

まだ移住者がどれぐらいいるのかわからないけどこれだけの広さなら数十万人は住めるのではないだろうか

絶対建築基準法アーキテクトのレベルが上がれば金属も使えるようになる

高層マンションとか作れる様になったらもっと住めるだろう


またスライム拾ってこなきゃだな

ついでにレベル上げに勤しむとしよう


中央に戻り立派になった家を設置する

なんとなくのイメージで作ったらモンサンミッシェルみたいになった

そんなに人数もいないのでもう少しこじんまりとした建物だが、家というより城になってしまった

部屋数は10あって客室と大理石の浴室、応接間も作った

こんなに広いのにメイドが1人しかいないのは問題だろう

カレンに相談して移住者から募ろうと思う


城の真ん中に高い塔も作ったので景色を眺めるには良いだろうと思われる

螺旋階段を設置したがイメージしてみたらアイテムボックス内でエレベーターが出来たのでそれも設置する

よくわからない構造の歯車が沢山ついているがちゃんとオートメーション化されている

見ていてもまるで理解できないが絶対建築基準法アーキテクトで作った物だから壊れる心配はないだろう

壊れないよな?


ガラスだけで出来た建物も作ったが設置して暫くすると暑すぎるわ酸欠になるわで中にいられなくなったので却下となった



「完成だ!後は移住者を待つだけだな。」



皆笑顔だ、それを見てこの笑顔を守って行きたいと思った



「移住者が来て落ち着いてからの話になるけど、皆は国元から呼びたい家族や知り合いとかいるのか?マリーはあれだが、カレンとかエルルカ達は親を呼んだりしてもいいんだぞ?」



話を聞くとカレンは孤児だったらしく別に呼びたい人はいないようだ

エルルカとエリカは母親とその面倒をみてもらっている近所に住む従妹を呼びたいそうだ

落ち着いたら呼びに行くことに決まった

アラベルも死別して家族はいないみたいなので特にはないらしいが、小さい頃から面倒を見てくれていたメイドを2人呼びたいそうだ



まとめると忘却の国の都に行ってアラベルのメイドを連れてきて、チグルスで建て替え&移住者の移動、落ち着いたらローグナー公国のアラハマ付近の村でエルルカ達の母親と従妹を連れてくる


ということが今後の動きとなる


ローグナー公国ねぇ?

暗いうちに村へ行き話を付けて連れ出したいが何か嫌な予感がしなくもない

何事もなければいいが

どちらにせよ行かないという選択肢は取りたくない

エルルカとエリカは頑張ってるからね

俺は頑張る人は応援してあげたい



「そういえばここに作る街は何というお名前になるのでしょうか?」



アラベルが聞いてきた

名前必要なの?と聞くと皆が頷く

俺がここのトップなのだから名前を付けるのも俺だと言う


俺ネーミングセンスないんだけど?

ただの『街』ではいけないのだろうか?

大体ソニで考えてみてくれよ、sonicだからソニなんだよ?

その程度なんだよ俺は


うーん、うーん



「シムシテ「却下で!」…はい。」



食い気味に言われちゃったよ

そうだなぁ…



「ここを開拓して住んでいくわけだから……『フロンティア』ってのはどうだろうか?」



フロンティアって聞くと開拓者って思う人がいるかもしれないけど、本当は国境とか辺境という意味だ

俺は長らく開拓者だと思っていて、会社のプレゼンで大恥かいたのを思い出した

だってフロンティアスピリットだと開拓魂とかそんな感じなんだよ?

全くもって全くだよ全く!



「フロンティア……。いい響きですね!それで決定です!」



こうして街の名前は決まったがまだ俺達しかいないので街とは言えない村でもない

だが名前が決まっただけで妙にテンション上がるな

苦い思い出に蓋をして少し感慨にふけ



部屋に戻り新しく作り直したマホガニーのベッドに横になる

高級感はあるがこれじゃない感が半端ない、ベッドに適した木材ってなんだろうね?

軽くてそこそこ強くて除湿機能がある……檜とか桐なんかかな?


あらゆる木材がアイテムボックスにあるが俺は材木屋さんでは働いた事がないので一般人が知っているレベルでしか木の名前は知らない

昔調べたから世界一硬いリグナムバイタぐらいは知っていたが木材に関しては素人レベルでしかない

その内確認してみようと思う


で、ここで気になったことがある

俺は今まで地球の木材を取り出していたが、この世界特有の木材もあるはずだ


もしかしてだけど世界樹とかあるのだろうか?

なんかすげードキドキしてきた


チラっと見てみるかなチラっと



……………………あるね。


ユグドラシルって名前で、あるね?



俺のアイテムボックスって苗木だろうが若木だろうが大木だろうが加工した端材だろうが自由に取り出せる

ということはだ



大樹となったユグドラシルの中にってことだ



うわー夢広がる!

ダンジョンとかも作れるな


あ、飛行石!飛行石ありませんか!?

昔アニメで見た空飛ぶ城とか作れるかも?


やべー超テンション上がって来た!

世界樹の雫とかあるのかな?

葉っぱには生き返らせる効果が?


などとベッドでごろごろ転がっていたら部屋に無断で侵入して来たカレンとアラベルが変な顔をしている

それを見て急に冷静になりましたよ


で、2人にその話をしたら2人共興奮している



「シンジ様やりましょう!伝承で聞いたことがありますが本当にあるのですね。」



「うわー楽しみですね!教会の聖書にもユグドラシルのお話がありますよ!」



そんな話で盛り上がりながらその後もイチャイチャと盛り上がった


そして夜が明けた

てーれてれてってってー


まあそんな効果音はありませんがね?

昨夜はお楽しみでしたよ?



しかし城立てなきゃよかったよ

世界樹は街の真ん中にあってこそだと思うんだよね

朝から全員で話し合いをし、街の北側に置くことにした


中腹に別邸を作り城から直接行けるように橋を渡した

歩いて行くのは大変だけど、ソニで行けるからね

これでいつでも素晴らしい景色を見られるはずだ



それにしてもでっかいなぁ

アイテムボックスから出すときにサイズを見てみたけど、高さが5km幹の太さが780mもある

外周じゃないよ直径だよ?

途中雲がかかってたりするし上が見えない


あまりの光景に皆感動して涙流してるよ


あ、そうそうユグドラシルには恩恵があってさ

半径10kmは魔物が寄り付かないらしい

半径だからね効果範囲内に街がすっぽり入るのでここに居れば襲われる心配がないはずだ

これは素晴らしいものを見つけてしまいました


でも他に立てる気はない

というより何本か立てたかったがユグドラシルの項目に『世界に1本しか存在しない』って書かれてて素材としては出せたけど木としては出せなかったからだ

残念だが仕方がない


そしてまた家族会議がありました

街の名を『聖都ユグドラシル』という名前に変更した

その背景にアラベルの強い希望があったのは言うまでもない

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