第27話 名は体を表す
助けた聖女様達を連れて一旦帰宅することに
馬車には荷物と人で満載なので俺が乗るスペースがない
バイクで走っても良かったけど家に着くまでに少し情報を仕入れたかったので、一度全員に降りてもらう
「?シンジ様、皆降りましたがどうなされるのですか?」
「ちょっと待っててなー。ほいほいほいっと!」
なんか貧相な馬車なのでアイテムボックスに取り込み、俺のスキルで新しく作り直してプレゼントすることにした
アイテムボックス内で製作しているのによくわからない掛け声を出しているが気にしないでくれ、ノリだよノリ
今ある馬車より重くなったけど大きさが1.5倍くらい
車輪と駆動軸を拾った剣や鎧などの金属で補強し動き出しを軽く滑らかに
軸の改造ついでに四輪操舵(昔の日産で言う所のハイキャス)にしたので曲がりも良くなったはずだ
木製の板バネも仕込んだので乗り心地も悪くないはずだと思う
「ええぇぇ!?な、なんですかこれは!?」
聖女様そのように大きな声を出すものではありませんよ
その後ろで
「どんだけー!」「ありえねぇ!」「かっこいい!」「すげー!」
といった歓声?が上がるが、どんだけーとすげーの奴お前ら後で校舎裏来い
荷物を入れ直してやり、俺も同乗する
今いる場所からなら6km前後だと思うから1時間くらいかな?
聖女アラベルさんという爆乳いやさ魔乳(聖なのに魔とはこれ如何に(笑))を正面に見据え、全員の自己紹介が始まる
正直に言うけど目の前で揺れるものが気になってモブの名前なんか覚えられるだろうか?覚えられるはずがない!反語!
「アタイはネル!眠るのが大好きだ!」
馬車の上で弓を構えていたスレンダーな少女が言う、興味がない
「俺はクウ!食べるのが大好きだ!」
槍を構えてたおっさん
うん、好きな事を教えろって言ってるんじゃないんだよ?自己紹介だよ?
「私はソラ、空を見上げるのが大好きだ。」
剣構えてたフツメンの騎士風の兄ちゃん、自己紹介だっつってんだろ?
「オイラはスンゲーノ!すごい事が大好きだ!」
お前のは紹介でもなんでもねぇ!あとお前がすげーすげー言ってた奴だな!
こいつはうめぼしの刑に処す、こめかみをぐりぐりしてやる
痛い痛い叫んでいるが無視する
「…………。……………。うむ。」
いや、しゃべれよ!うむじゃねぇんだよ!
「その方はムウさんです。少し無口な方なんですよ。」
アラベルが教えてくれる
少しってレベルじゃない気がする
「わたしはケリーです。11歳です。皆とは村からやってきました。」
今日イチでまともな子来たわぁ
アラベルは除いてね、まだ性格わかんねーし?
「あっしはテリーでさぁ。よろしくな兄さん。」
御者席の男が答える、こいつも弓構えてたな
見た目かなり怪しい感じの男だがこの中ではまともそうに見えるという異常さ
世知辛ぇ世の中だな
自己紹介も無事に終わり、いい加減腹が減りすぎてぐーぐー鳴ってきたのでアイテムボックスから作り置きしてあるスープを鍋ごとと最近ハマりだしたパン作りの成果を出し食べる
「……じゅるり。」
誰や今の?
顔を挙げると全員が注目している
俺、大人気だな
わかってる、そうではない
だってお目目がパンとスープに注がれている
「あー、まだあるから食うか?」
「よ、よろしいのですか!?」
涎の主はクウかと思いきや聖女様であった
ここでふと思う
聖女の涎も聖水なのだろうか?
いや、そもそも聖女の体液なら全部聖水と考えるのは時期早々ではないだろうか?
そんなくだらないことを考えていたら聖女様の目が怖いっす
「オッケー、今出すから器用意するように。馬車停めて食おうぜ。」
器の時点で聖女様が真っ先にお椀出してきたからね
この子もポンコツな気がしてきたな
「ほら、たーんとお食べ。おかわりもあるからな。」
「うまっ!?」「しかっ!?」「温まるなぁ…」「やべー!」
そこはすげーじゃないんかい!しかの奴はスルーする
最初の一言だけで後は黙々と食べていく
皆2回おかわりしている
聖女とクウは5回おかわりましたけどね
皆欠食児童なのだろうか?
「久しぶりにお腹いっぱいになりました。シンジ様ありがとうございました。」
満足したのかアラベルがお腹を
そりゃあれだけ食べれば腹もいっぱいになるでしょうよ
大丈夫ですか?と俺も素敵な膨らみを擦ってあげようかと手を伸ばしそうになったが、本日はツッコミ要員がいないので我慢する
「んー、ひょっとして満足にご飯食べられないような状況?」
「……そうですね。最近は特に作物の育ちが悪くてどの村もお腹いっぱいになるほど食べられない状況です……。」
もう長い事野菜を育てているんだから今更連作障害って奴ではないだろう
他に原因があるのかもしれないな
まあ作物の知識なんて学校で習うレベルでしかわからないから何とも言えないが
エルルカ達に見てもらえばわかるかな?
何百年も外の国と外交がないんじゃ、新しい農耕技術なんかないだろうしな
全員がごちそうさましたので後ろの席に移りタバコに火を点ける
ムウというおっさんが無言の圧力を掛けてくるが無視だ無視
言いたい事あるなら言葉にしないと伝わらないよ?
「珍しいタバコだな。1本くれないか?」
いやそこはしゃべるんかい!
あとタバコがある世界なんだなと思う
俺は再生タバコを1本取り出し渡して火を点けてやる
並んで座って吸うのはいいけど、おっさん2人並んでタバコ吸うとか
絵面がむさ苦しいことこの上ない
まあ奴と違って俺はイケメンだけどな
御者の男も吸いたそうにしていたがアラベルに話しかける
「荷物が大量にあるが食料ではないのか?」
「確かにそれらは食料や衣類ですが、村をいくつも回ってやっと集められた食料なのです。これがないと街の人達が飢えてしまいます……。」
悔しさを滲ませながらアラベルが言う
よく見ると頬が少しこけている
なのにあの大きなお胸は痩せないのだろうか?
痩せさせる訳にはいかない!守りたいそのお胸!
しかし離れた村々を回るのも大変だし、皆生活が掛かっている
魔物が襲ってくるから文字通り命がけで集めた食料なのだろうな
家に戻れば今育ててる作物が多少はあるが多くの人間の飢えを凌げる程の量はない
……野菜を半分に切断してソニの中に放置したら復活するだろうか?
タバコやシャワーヘッドも再生したからやれなくはないだろうけど、再生に要する時間がわからないし何千何百という人間を賄えるだけの量を確保するのは大変だろう
地道に育てるしかないのかな
ここで俺は思い出した
「肉……、オークの肉でいいなら大量に渡せると思うぞ?」
家の外壁をうろついているオークを定期的に倒して集めてるからアイテムボックスに食いきれない程ある
最初のうちは杭で串刺しにしていたのだが、それだと食べられる部分が減ってしまうとカレンに言われ最近は頭だけを吹き飛ばす様にしていた
毎日15匹~20匹倒してるのでこの1ヵ月ちょっとでかなり貯まっている
しかし最近では毎日オーク肉ばかりで飽きたと食っちゃ寝してるだけの
夜にきっちり教育してやりましたが
「え?オークですか!?倒すのも大変ですのに……。流石は神に遣わされた『旅人』様ですね。」
遣わされてないけど?
スキルの神知らないって言ってたし
創造神ってやつなのかな?
「まあ住人全てに行き渡るかわからないが譲ることは出来るぞ?」
アラベルは目を輝かせているが、果たしてどれぐらいの住人がいるのだろうか
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