第21話 あの日のこと僕はわすr(ry 家、完成

車内に流れる曲を口ずさみながら進んで行く

メイガイアを出発して今日で5日目だ


見える景色にもまるで変化がないのがつらい

運転も飽きてきたので1時間走ったら休憩というのを繰り返している

トリップメーターを見ると


”874km”


1日の走行距離は200kmほど

今日を入れて3日あれば着くかな?


しかしこのカテラ大草原というのはおかしい

あまり高低差がなくたまに木々や小さな森が見えるがほぼ平坦な場所

川もなければ山もない

当然内陸なので海もない


そしてに魔物はいないのに停まったり車から降りると突然湧いてくる


魔物の気配がないので休憩がてら表に出てみたら1分もしないうちにどこからかやってきて囲まれてる

どこかに人間感知センサーでもあってポップするのだろうか?


でも面白いのが人間がいる付近には湧いてこないってことだ

これは街を作るのに助かる

ある日突然街の中に魔物が湧くということがないからだ

いきなり家の中に魔物が現れたら焦るよな


なんだかカテラ大草原の異常性を垣間見た気がする



2日後の昼ようやくトリップメーターが”1450km”になった

おそらくこの辺りがカテラ大草原の中心だと思う

多少東西にずれているだろうけど方位磁石を見ながら進んだし誤差の範囲だろう



「ここらがカテラ大草原の中心かな?すぐ壁とか作ってみるけど何かないか周りを見ていてくれ。」



俺は車内からソニを中心に『リグナムバイタ』の壁を並べていく

サイズとしては高さ6メートル、横幅10メートル、厚さ10メートル

俺のスキル絶対建築基準法アーキテクトレベル1で作れる最大のサイズだ


ゆっくりやってるとすぐ魔物が来るのでどんどん置いていく

と言ってもアイテムボックスから出すだけだから楽なもんだ


ちなみに俺のアイテムボックスから物を取り出す場合、取り出す位置が指定出来る

最大で100メートル先まで出し入れ可能だ

なので木で囲う範囲は直径200メートルの円になる


魔物がポップする前に作れたので一安心

でも何かあったら怖いのでソニはそのままにして家を作っていく

移動中の夜寝る前に皆で簡単な設計図を作り、建物の大きさやら部屋割りやらを部品ごとに作り出してある

5人で住むには俺が作れる大きさだと狭いので4分割にした



まず皆で草刈りをしざっと整地し、非常に腐りにくい木材『ウリン』で基礎工事をする

次に床下の通風孔を作ったり、排水穴を掘ったり


生活排水は汚れや匂いが気になるのでどう廃棄するかマリーに相談したら、そこは異世界あるある

スライムを置いておけば匂いのない綺麗な水にしてくれるらしい

なので近いうちにスライムを探してこなければならない


排水に関しては街の敷地を周りより高い位置にしたのでそのまま街の外に流れていく事になる

水が溜まるであろう場所はとりあえず様子見

そのうち工事が必要になるかもしれない、人口の排水池とか

人手が必要だな



10日掛けて排水の穴を掘り『ウリン』のパイプと大きな枡形を埋めていく

枡形には捕まえてきたスライムを放ち蓋をして土を戻す

排水関係が終わったので後は家だ

問題が出たら都度対処すればいい


ささっとアイテムボックスから4分割した部屋を取り出し組み合わせる

隙間が出来ないよう作ったが繋げ合わせる部分はほぞを合わせてがっちり組んでいく

俺にそういった知識はなかったが某アイドルが家を建てる番組でやっていたのを思い出した


3日掛けて完成

繋げるだけなのと屋根を少しやっただけだから短い期間で済んでよかった



完成した家を改めて見ていく


縦横20メートルで高さ6メートルの2階建て

玄関は3畳分の広さがある

やっぱり日本人なので裸足やスリッパで生活したい

そこを全員に納得させるのに時間がかかったけど……


1階部分には広めのリビングダイニング、キッチン、トイレ、洗面所、風呂、応接間

水が流れる部分は魔物から出る魔石を使用する

俺はよくわからないが魔力を通すと簡単にお湯や水が出るらしい

まあ最悪ソニで用を足せばいいので気にしてない


2階にはそれぞれの個室とトイレと洗面所がある

当初エルルカとエリカが部屋はいりませんとかカレンは俺と同じ部屋がいいとか騒いだが、毎日だと疲れそうなので(ナニがとは言わない)エルルカ、エリカ姉妹は相部屋で1部屋カレンも1部屋与えて落ち着かせた、というより土下座して勘弁してもらった


女性のパワーってすげーなって思った

俺身長180cmあるのにカレンに押し倒されたからね

目が血走っててかなり怖かったよ


逆に何も言ってこないマリーが気になったがそれだけに留めておく

触らぬ神になんちゃらだ


風呂場は広めに作った、浴槽は総檜で2畳分の広さがある5人全員が入るのは難しいかもしれないが入れなくもない

洗い場は3畳ほど

シャワーが欲しかったので再生するか実験ついでにソニから持ってきた

1時間後見てみたらシャワーヘッドが再生してたので2回ほど繰り返し風呂場に取り付ける


その要領でトイレと洗面台も同じことをした

ちなみにトイレは親父が改造していてウォシュレットタイプだ

普通のキャンピングカーではそんなことはしない、水を使用しすぎるから


キッチンもソニから持ってこようかと思ったが小さいしあれは車に設置されてるから使いやすいのであって、通常のキッチンとしては使いずらいので流し台は『ウリン』で作った


各部屋にベッド、タンスを設置し完成



「分割しなければもっと簡単に作れたんだけどな。5人で住むにはちょっと広いけどいいのが出来たな。」



全員いい笑顔だ


家を調整している間エルルカとエリカには畑を耕してもらっていた

敷地内の半分を使ってもらったが範囲が広いので心配だったがエルルカ達は実家にいた頃、農作業をしていたので大丈夫です!と張り切っていた

放っておくと延々と作業していたので1時間起きに休憩を取らせた

温まるようにと作っておいたクラムチャウダーが大人気だ


特に作業もせず、ずっと車内で味見していたマリーには晩飯抜きを宣言しておく

何か叫んでいたが人数が少ないのにサボってる奴が悪い

夜もイジメてやろう……


カレンは俺について手元作業をしてくれてたから問題なしだ



家は終わったので外壁を確認ついでに建て増ししていく

今の所外壁を乗り越えてくる魔物は居なかったが6メートルだと不安なので倍の高さにした

ついでに階段を作り外壁の上に防護柵もしておいた、気分はド〇クエビルダーズ

マ〇クラではないド〇クエビルダーズだ


外壁の上から外側を見てみると魔物がちらほらいる

『リグナムバイタ』で作った杭を打ち込んで倒していくのが結構楽しい

いちいち下まで降りなくてもこの距離なら余裕でアイテムボックスに収納出来るので助かる

レベルも上がったし後で確認しよう

オークを回収しながら思う



「てことで今日はBBQにします。」



やっとキャンプ飯っぽいことが出来るので嬉しい


そうそう、俺のアイテムボックス(材)だが、検証した結果りんご、みかん、桃などの所謂いわゆる”果樹”が苗木でも実が育った状態でも出せる事が判明した

ぶっちゃけ樹木ならなんでもありみたいだ

柘榴も植えたのでたまに齧り付いている、あのちょっとすっぱいのが病みつきになる

口の周りを真っ赤にしてマリー達を見たらすげー引いてた


それと俺は四季を大切にするタイプなので家の周りには梅、木蓮、桜、紫陽花、もみじ山茶花さざんかを植えた

きっと季節ごとに色とりどりの花を咲かせて目を楽しませてくれるはずだ

と思っていたんだが、アイテムボックスから桜を取り出すとき「花が散らないと綺麗なのにな」と思いながら出したら花をつけた桜が出てきた

3週間経っても散らないので鑑定してもらったら1年中咲き誇る桜らしい

真冬にソメイヨシノって綺麗だけど散らないのはそれはそれで風情がない気がしないでもなかったが女子達が凄く気に入っていたのでそのままにしている



ここに来て1ヵ月

冬でも育つ作物ということで玉ねぎとじゃがいもを植えた

どっちも芽は出ているがどうなることやら

土がどんななのかよくわからないからね

育ったら触手とか出てきたら洒落にならんよ



そして2月に入ってまだまだ寒い日の昼、俺はいつも通り外壁の上を散歩していたら遠くで魔物が何かを追いかけてるのを見つけた

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