第16話 出る杭は打たれる
俺達が入った店『ルシルス商会』はローグナー公国を主体とした、公国第3位の大きさを誇る大店であった
番頭さんが付けてくれた推定Lカップの爆乳少女、エルルカちゃん(16歳)を先頭に食品を選んでいく
2名ほど俺を睨んでいる女性がいるが、決してニヤけた顔などしていないはずだ
視線に出やすいのだろうか?
「俺達3人で2カ月分くらいの食料を買いたい、日持ちする物としない物の両方。それと調味料もどんなのがあるか見せてくれ。」
悪くないだろうと言う決め台詞の芸人さんよろしく、キリッ!と音がしたであろう若干流し目のポーカーフェイスでエルカちゃんを見る
少し慌てて商品の説明を始める
真っ赤な顔してかわいいね!
うんうんと頷きながらパシャパシャと瞼のシャッターを切り脳内フォルダに順次保管していく
「イタッ!」
わき腹を
すんげー痛いんですけど?内出血起こしてるに違いない
「わかったよ、俺は調味料見てるから二人は食材を頼む。」
まさに自業自得なのだがこれ以上は命の危険しか感じない
他の店員を探しながら店内を歩く
「お客様、当店店員と食料品をお探しではありませんでしたか?」
横から声を掛けられて振り向き驚く
な ん だ と !?
『爆乳少女Bが現れた!』
コマンド
はなす
みる
さわる
もむ
俺としては俄然「さわる」からの「もむ」と行きたい所だが、なんでか背中に寒気を感じる
そしてわき腹がジクジク痛む
オーケー俺、落ち着こう
しょうがない、ここは…
コマンド
はなす
みる←
さわる
もむ
無言で見続ける俺と言う名の
「え?あれ?お客様?」
だが俺は答えない
コマンド
はなす
みる←
さわる
もむ
「あのーお客様?何かおっしゃってくださいぃ。」
当然無言の俺
あれ?この子エルルカちゃんにそっくりだな
だが俺は
コマンド
はなす
みる←
さわる
もむ
「あぅー。お客さまぁ。」
涙目になってきたのでこの辺で勘弁するとしよう
ふうとため息をつき、話そうと思ったら後頭部に衝撃を受けうずくまる
「お前にため息だわ!」
お嬢様?お口が悪くあらせられますよ?
それと後頭部にエルボーはおやめください
ほんとマジで
すんごく痛いんで
反省してますからごめんなさい
土下座を決めた俺は何とか女性陣から許してもらう
ちょいとばかし翻弄されたが俺は冷静だ
いい加減真面目に見ていこう
「ごほんっ、調味料はどこにあるかな?」
「こ、こちらですぅ。」
シラける視線に晒されたまま調味料を見ていく
塩、砂糖、カイエンペッパー、コリアンダー、シナモン、八角
って八角?こんなものであるのか
クローブも見つけたので買い足し、にんにくと生姜も貰うことにした
聞いてみるとやっぱり以前『旅人』が持ち込んだものらしい
しかし加工された調味料を持ち込んだならわかるが、種から持ち込んだってことだよな
どういった職業の人だったのだろうか…
「えーと、エルルカちゃんと店員さん。こんなところかな?」
「あ、申し遅れました。私エルルカの双子の妹、エリカと申します。ご購入される商品はご用意するのに少々お時間がかかります。当店裏側に倉庫が御座いますのでそちらでのお引渡しとなります。馬車などはお持ちでしょうか?もし御座いましたらこちらで積み込みも行いますが?」
なるほどエルルカちゃんの妹さんでしたか
色々と納得
「アイテムボックスに入れるからそのまま置いておいてくれればいいよ。お金の受け渡しもそのときでいいのかな?」
大量買いしたので店先ではなく割符をもらい1時間後に倉庫にて受け渡しとなった
時間が空いたので街ブラでもするかと思い店を出たら、ガラの悪い男達に声をかけられた
「おいおい兄ちゃんよ。随分羽振りよさそうじゃねぇかよ?綺麗なねえちゃん達も連れて羨ましいねぇ。ねえちゃんよ俺らと一緒の方に来いよ、そんな兄ちゃんといるより安全だし色々楽しいぜ?」
テンプレきたー!
こんな広い大通りに面した目立った場所で6人の男に囲まれた
まだ他にもいるかもしれないが
俺は何もなかったのかのように店に戻ろうとする
「てめー聞こえてんだろ?無視してんじゃねーよ、こんガキャー!そこの女と金とアーティファクトを置いていけって言ってんだよ!」
いや、羽振りがどうこう言ってたが女しか言ってない
しかしこの手のヤカラはなぜ全てが思い通りになると思っての行動を取るのだろうか
人の話聞かないし逆ギレするし、当たり前のように強奪しようとするし
そういう呪いなのかな?
それにしてもキャンピングカー狙いだったか、目立つからしょうがないにしても欲をかきすぎだな
「ちょっと何を言ってるのかわからないな。この2人は俺の女だ、絶対にやらんし金が欲しければまともに働け。そもそもこんな真昼間に男が徒党を組んでぶらついている時点で働いてないんだろ?人が多い街なんだから仕事ぐらいあるだろうよ。そこそこ治安のよさそうな街だと思ったが間違いだったか。こんな低レベルな阿保だらけだったら世界が滅びるな。」
俺の言葉に男達が逆上する
煽り耐性なさすぎだろ…
「あんだぁてめー!いいからよこせっていってんだよ!」
セリフが全てひらがなになったな
学がないのはいいとしても、お粗末すぎんだろ
店を出てすぐだったので何事か心配したのかエルルカ・エリカ姉妹も見ている
マリーは不安そうだがカレンは…マリーの護衛をしててもらおう
ちょっとやる気だすかな
「お前らがふっかけてきたんだろう?衛兵とか自警団を呼ぶぞ?暫く臭い飯でも食って己を見つめ直してこい。」
俺のセリフが終わる瞬間に殴り掛かってきたので軽く避け足を出して転ばせる
その間に3人が手に持った棍棒で殴りかかって来る
俺は溜息をつきアイテムボックス内に作り出した樫の木で出来た六尺棒を取り出し、棍棒を持つ指を素早く突く
「ぎゃあああ、指が指がああぁ!」
「痛いだろうな?痛いようにしてるしな。問答無用で飛び掛かってくるような相手だ。容赦しないぞ?」
俺は子供の頃から親父の教育で、ある程度の武道を修めている
素人相手ならこの程度は朝飯前だ
特に棒術は免許皆伝なので、そこそこ強い相手でも後れを取ることはない
「大人しく帰るなら終わりにしてやるけど?まだやるって言うなら立てなくなるぐらいは覚悟しろよ?」
俺に転ばされた男とまだ何もしていない男2人がナイフを抜いた
「てめー、もう勘弁なんねぇ。ぶっ殺してやるよ!」
ふう、面倒になったな
さっさと打ち据えて終わらせるかな
飛び掛かって来る男の鳩尾を突き、顔が下がった所を横から払う
横から来た男の鼻に突きを入れ、逆から来た男の顎を下からかち上げる
あ、感触でわかるけど顎砕けたな
指を潰された男が逆の手でナイフを投擲してきたので真上に弾き、落ちてきたナイフの柄を払い投げた男に向かって打ち返す
綺麗に右肩に刺さる
「ぎゃあああ、痛てぇ痛てえよぉ」
指を潰された残り2人は戦意を失くしたようで目が合うと土下座した
「俺達が悪かったからもう勘弁してくれえぇ」
確かにこれ以上やるとなると大ケガだけでは済まないだろうな
「そこで倒れてる男達を連れて去れ。次に見かけたらトドメをさすぞ?」
俺は別に暴力的ではないが危害を加えてくる相手には容赦しない
顎を砕かれた男には過剰防衛になるかもしれないが、こういった奴等は二度と歯向かわないようにしなければ何度でもやってくる
本来ならトコトンやっておきたいがこれ以上はマリー達には見せられない
周りで見ていた人々が歓声をあげる
「兄ちゃんすげーな!」「あいつら最近やってきて色んなとこで迷惑かけてたんだよ」「ざまーねーぜ!」「きゃーすてきー!」
最後のは女性かと思ったら内股でクネクネしてるひげ面のおっさんだった
おいやめろ、おっさんに興味はない
振り返ると安心したのか泣きそうな顔をしたマリーと素敵です!って顔をしたカレン
ぽーっとした表情の双子の爆乳姉妹がいた
惚れたか?
ったく罪な男だぜ
「騒がせてすまなかったな。そういえば日用品なんかも探してるんだがおすすめの店とかあるかい?」
うるんだ瞳で俺を見ている双子が隣にある商店をすすめてくれた
よし見てみますかね
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