第12話 心にダムはあるのかい?
侯爵ファミリーとの食事で精神的な疲れを感じた俺は用意された部屋に戻ると泥のように眠った
目覚めるとカーテン越しにうっすらと日の光が見える
朝になったようだ
しかしそんな俺をじーっと眺めてる人がいる
「おはようございます、シンジ様。昨晩はお呼びになられないので体調が悪かったのでしょうか?」
「おはよう、カレン。というかなぜベッドに入って俺に抱き着いている?」
一糸纏わぬ姿のカレンが俺に抱き着いていた
一瞬混乱したが、その柔らかさに抗えずむしろ堪能するべくカレンの胸に顔を埋める
朝食が用意されたと他のメイドが声を掛けてくるまで、二人でいちゃいちゃしていた
だってそういうの嫌いじゃないし
「やあやあ、おはようシンジ君ー。今日は午前中公務があるから午後からまた車を見させてくれるかなー?というより売ってくれるってことはないかなー?ないよねー?売ってくれるとありがたいんだけどねー?今なら娘も付けちゃうけどー?むぐぅ!」
侯爵は横にいた年配のメイドから口にパンを突っ込まれている
他の家族の方はにこやかにしている
なんだろう、家族から命でも狙われているのだろうか
考えても無駄な気がして侯爵を見ないことにする
「マリアベル、スキルで鑑定って持ってる人っているかな?いるんだったら見てもらいたいものがあるんだけど。」
「か、鑑定ですか?ええ、いますよ。カレンが持っています。」
なぜか顔を真っ赤にしたマリアベルが早口で言う
おお、カレン優秀だな
メイドとしても優秀らしいし戦闘も出来るらしいしエロエロボディーだし
エロだけではないと少し評価を改める
「なら食事が終わったらカレンに付き合ってもらってもいいかな?仕事があるなら暇なときでもいいでけど。」
「カレンはシンジ様のお世話係ですのでいつでもご用命くださって大丈夫ですよ。わ、私も暇ですので……」
何か言っているようだが後半は声が小さくてよく聞こえない
しかし車に乗せてここまで連れてきた程度の事しかしていないのに、なぜ侯爵家の方々と毎度一緒に食事を取るのだろうか
少し勘ぐってしまう
前の会社を教訓に人に使われるのは真っ平御免だ
面倒ごとになったら逃げようと心に誓った
そういえばキャンピングカーを玄関先に置きっぱなしだが、あれもアイテムボックスに入ったりするのか?
出し入れ出来るならいざという時に車体を盾にしたり出来るだろうし、試してみるか
侯爵以外は食事が終わったので皆席を離れていく。
明らかにチアノーゼを起こして紫の顔色をした侯爵を残し、玄関に向かう
途中カレンが居たので鑑定を頼んだ
「それじゃ頼むよ。ちなみに鑑定ってどれぐらい細かい内容がわかるの?」
「私のは名前、性別、年齢、レベル、スキルぐらいですかね。鑑定のレベルが高い人でしたら細かいステータスもわかるみたいですが。」
鑑定はレベルがあるのか
読み取れる範囲で構わないと告げ、見てもらう
結果
ア〇リアモービルsonic 『ソニ』
キャンピングカー
2歳
レベル:-
職業:旅車
スキル:不壊、再生
ユニークスキル:××
「私が見れる範囲だとこのようになってます。」
「ツッコミ処満載!?名前はいいとして、性別がキャンピングカーって何?2歳なの?レベルはあるの?ないの?職業旅車って人間だと旅人だから車だと旅車だってこと?
というより旅客車とかならわかるけど旅車?
スキル不壊ってゴブリン轢いても壊れないのってそういうこと?ゴブリン轢き放題?
ぶつけても轢いても跳ねても壊れないってのはありがたいな。もう何も怖くない!
それと…再生は燃料を再生か?いや消耗品の再生なのかな。
食材置いといたら再生したりしないだろうか?もし再生しても食べる気は起きないが。
あとはユニークスキル。見えないってことは鑑定のレベル高ければわかるのかな?」
ツッコミ疲れてぜーぜー肩で息をする
「そうですね、鑑定レベルが高ければ見えるかと思います。でも凄いですね、無生物にスキルがついているのを初めて見ました。アーティファクトだからでしょうか?」
いつの間にかいたマリアベルが言う
「アーティファクト…なのかなぁ?向こうから一緒に来た普通に販売してる物なんだけどな。
しかしこうなると気になるのが、俺と一緒に来たからそうなったのか、それともソニと来たからこうなったのか…。考えてもわからんな。
あ、あと俺と車がスキルあるってことは着てる服とかもスキルあったりするのかな?そこだけが違うとは言い切れないのが怖い。」
カレンに見てもらった結果、食品などは
ユニークスキルがあったのはソニと外部収納にあった自転車2台
ユニークスキルが付く条件て名称に車が付くことなのかと思ってしまったが、俺の名前にはないしわからないから気にしない事にする
この世界に来て気にしたらいけない事が増えすぎて困る
でもどうしても気になることがあった
それはこちらに来たときに積んであった食べ物と飲み物
あれ、俺達食べてるんだよね…
腐らないってのはいいとして不変て
防腐剤とかはまだわかるが変わらない食べ物なんて問題ないのだろうか
気にしないと怖いことになりそう
でもどうにもならないので心に留めておく程度にしておく
もう俺の心のダムは決壊寸前です
「ありがとうカレン。あとはアイテムボックスを試してみる。」
手に触れないとアイテムボックスに入れることは出来ないみたいなのでソニに触れて頭の中で収納!と念じる
うん、普通に収納出来た
そりゃそうだよね
アイテムボックス(材)には木材が無限にあるのにアイテムボックスの容量に制限があるとは思えない
アイテムボックスから取り出す
「無事にアイテムボックスに入れられるようだ、とりあえずこんな所かな?あとは
カレン、少し広い所とかあるかな?街の外でもいいけど。」
振り向くと目を見開いているマリアベルとカレンがいた
「えええぇぇ!?どことなく非常識だと感じていましたが、本当に非常識なんですねぇ。」
聞けばアイテムボックスは3人に1人くらい持ってるみたいだが、カレンのアイテムボックスは8㎥ぐらいのサイズでアイテムボックス持ちとしては大き目のサイズらしい、マリアベルも同じくらいだとか
対して今俺が出し入れしたキャンピングカーはおよそ61㎥
そりゃ非常識と言われるだろう
「それでは裏の庭に行きましょうか、庭なら結構広いですよ?アイテムボックスのサイズを測るならもう少し入れてみますか?」
「まだ入ると思うけど、入れなきゃいけないものもないからその検証はいいや。裏庭に行こうか。」
4人で歩き出す
ん?4人?
「お兄様はお庭で何をされるのですか?ルイザも見に行ってもいいでしょうか?」
いつの間にか目をうるうるさせて俺を見上げるルイザがいる
この家族は気配もなくいつの間にかいるが、スキル隠密とかあるのだろうか?
ふと何かを感じて建物を見ると2階の窓際にいるリーザ様と目が合った
逃げたい
とてもこの家から立ち去りたい
「いいですよ、ルイザ様もぜひ見にいらしてください。」
俺は肩を落としながら言う
「お兄様!妹に対してそのような口調はダメです!お姉さまに接するようにお願いします!」
「はいはい、なら妹に接するように話すよ?で、ルイザはいつからいたの?」
皆で玄関に来た時からいて柱の陰に隠れていたようだ
これはスキル忍とかあっても不思議はないな
歩いていくと見えてきた庭はとても広くサッカー場1面くらいの広さがありそうだった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます