第6話 初めての…そして2回目も

おっさんを置き去りにし走り出すア〇リアモービルsonic

白の車体が夕日に照らされてそれは綺麗なことだろう、車内からは見えないが…



「本当に馬なしで走るのですね。それとこの麺、塩味が効いてて美味しいです♪」



ソファーでマリアベルお嬢様は嬉しそうに麺を食べている、流石はサッ〇ロ一番塩ラーメン

俺はカップ麺ではなく袋麺派だが大人数キャンプ用として買っておいた

離れた席でメイドのカレンもご満悦



「食べ終わったら流しの下にゴミ箱あるからそこに捨てておいて。うん、それそれ。スープ残ってるなら流しに捨ててね。あとこれ道なりに進めばいいんだよね?まずはニーズ村だっけ?

マリアベルは食べ終わったらベッドででも休んでてよ、カレンは助手席に来て道案内して欲しい。」



「道なりでニーズ村まで2日ですよ?道案内は暫く必要ないと思いますが…。」



「整備された道だからそこそこ速度出せるよ。真っ暗になったら流石に速度落とすけど日が沈む前なら60㎞/hぐらいは出せる。大体馬車の12倍くらいかな?2時間ぐらいで着くと思うよ。」



昔ネットで調べたことがあるが、通常時の馬車の運行速度はおおよそ5㎞/h

ちょい早目でも7㎞/hほど、駆け足なら11㎞/hぐらい


そもそもが馬1頭だから1馬力

1馬力とか2馬力で原付より馬力がないのに、オール木製馬車が競走馬並みの速度で走れるわけがない

生き物である限り疲労も溜まるし



「そんなに早く着くのですか!?やっぱりアーティファクトは凄いのですねぇ…。」



そういえば何の気なしに時間を言って通じてるってことは時計とかあるのかな?

しかしアーティファクトとやらはそんなに優秀なのだろうか

日本語訳だと遺物だろ?縄文土器とかハニワとかさ

ふと頭の中を着ぐるみの某ハニワが踊り狂っていた


……話を戻そう

ということはこの世界には過去にそういった文明でもあったのだろうか

そんな事を考えながらタバコを口に咥え、火をつけようと一瞬目を離したとき


ドンッ


衝撃が来て車を停止させた

やべー、何かぶつけちゃったか?車傷つけたら半殺しじゃ済まされないんですが



「何かにぶつかったようですね。人だったら大変です!確認しましょう。」



などと真面目なカレンちゃんが言いだした

正直確認したくない

車体の傷の有無だけ見てそのまま走り去りたい

大体60キロで走ってるトラックのような車と衝突したらほぼ即死ではないだろうか

あまりにもカレンがせかすもので仕方がなく車を降りてみることに



「あそこ!何か倒れてますよ。あ、ゴブリンでしたね。魔物なので殺しちゃっても大丈夫です。」



「ゴブリンなんているの?まぁ轢いちゃったものはしょうがないか…。」



随分と物騒なこと言うなカレンちゃん


緑のあんちくしょうは地面を緑の体液で染め、すでに息絶えていた

軽い吐き気を感じたので見ないようにする


ん?レベルアップとか出たんですが



「なんかレベルアップとか出たんだけどわかる?」



カレンに尋ねながらフロントと下回り足回りを見ていく

良かった全くもって傷一つない、とりあえず命拾いした

でもゴブリンが持っていた棍棒も当たったはずなんだけど傷がないってどういうこと?



「レベルアップされたのですね。おめでとうございます!もしかしてレベルアップされたことがないのでしょうか?一般的に魔物を倒すと経験値が取得され一定値貯まるとレベルアップし肉体が強化されるのです。」



うん、よくあるRPGまんまやね

そういえばステータスにもレベル表記されてた


ついでだから後回しにしていたステータスチェックをしてみよう




タカムラ シンジ

男、異世界人

30歳

レベル2

職業:建築家、旅人

称号:異世界トラベラー、轢き逃げ犯(NEW)


HP:180

MP:99999999

攻撃力:43

魔力:99999999

防御力:83260000

素早さ:51

器用:66


スキル:アイテムボックス、言語理解


ユニークスキル:絶対建築基準法アーキテクトレベル1



な?おかしいとこ数か所あるだろ?

まず建築家、今まで色んな職業に就いてきたけど建築関係の仕事はやったことがない

それとやたら高い、というかカンストしてるであろうMPと魔力

異様に硬そうな防御力

何処を目指せっちゅーねん

そりゃスルーしたくもなりますよ、魔法使えるのかはわからないけどこの防御力

ちょっとやそっとじゃ死なないと思うよ


それと今取ったであろう称号『轢き逃げ犯(NEW)』ってなんだよ

逃げてねーよ、嫌々ながら確認したでしょうが!


そしてユニーク過ぎるユニークスキル『絶対建築基準法アーキテクトレベル1』

これはあれかい?職業に付随してるのかな?

子供の頃、家を建て直すのに大工さんの仕事を見ていたことはあるが、さっきも触れたけど職業として経験はない

当然、建築基準法の内容は知らない

しかもレベル1ってレベル上がるんですか?

一体何が出来るんだろうと意識すると出来る事が頭の中に流れ込んできた



絶対建築基準法アーキテクトレベル1:木造建築



ふむふむ、木材を使用して2階までの建造物なら一瞬で建てられるようだ

何それ一瞬で建てたい放題とかそういう仕事で食いっぱぐれないじゃん

あ、材料必須なのね

木材集めるの大変だなとそんなことを思っていたら、思いついた様にアイテムボックスに新しい項目が増えた



スキル:アイテムボックス(材)



なにこれ?スキルは俺に何をさせたいの?

(材)ってツッコミ処しかない


…ツッコミ疲れたし、後で確認すればいいや



「問題ないようだから出発しよう。今の時期どれぐらいで日没か知らないけど明るいうちには村には着きたい。」



「ですね。シンジ様、何かお疲れのようですが大丈夫でしょうか?」



大丈夫、大丈夫と適当に答え俺はいつ飛び出してくるかもしれない魔物に注意しながら再度進みだす



「出発していきなり出鼻挫かれたけど、ここからは慎重に行こうと思う。急ぎたいのはわかるけど人を轢いたら目も当てられないからね。ちょっと速度落とすよ。そういえば冷蔵庫に…って冷蔵庫わかるかな?キッチンの所にあるんだけど。そうそれ、そこ開けるとデザート入ってるから二人で食べてよ。そこの棚にスプーンもあるから

そうそうそれ!」



ドンッ


サイドミラーを見たら緑色の奴だったので放置することにした


……ちゃんと前向いて運転しよう……

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