第3話 それからとこれから

「んじゃ親父、車借りてくから。大丈夫たぶん傷つけないって。ハハッ!…あっぶね!?鉄パイプ投げんじゃねーよ!?」



キャンプ3日前に実家に帰り、そのまま1泊


翌日の早朝親父をからかっていたが鬼のような形相になったのでそそくさと車に乗り込み出発、壁に鉄パイプが刺さっていたのは見なかったことにする


あの親父がバイオレンスなのは今に始まったことではないが…

あれ俺に刺さったらどうすんだろう?

普通に笑ってそうだよな……


背中を嫌な汗が流れるのを感じたが、高速に乗り都内へ向かう



途中お腹が空いたのでパーキングエリアで朝ご飯


ここのパーキングエリアのもつ煮込み旨いんだよね、などと早朝から割と重めのご飯を食べ途中携行缶にガソリンを補充したりしながらキャンプ用品店の駐車場へ


10時になってオープンしたので必要なものを購入、次に割と大き目な駐車場のある24時間営業の食料品店へ


車両と店舗を3往復するほどの物資を買い込み、さぁ帰るかと近所に予め借りておいたトラックでも停められる大きさの駐車場へ向かう


で、いつも通るトンネルを抜けたら…




-現在-



「こうなった訳だね。さて回想も終わったし、右に進むか左へ行くか…。時間は3時、冬だけどまだ日が高い。日が沈む方向に向かってみるかな?てことで左。」


休憩も終わりテキトーな俺はハンドルを左に回し進みだす


うん、右手にちょっとした森が見えるけど左手はまだまだ草原だな


どこまでも続いていくような真っ直ぐな道を進んでいく、なんとなく北海道を想起させる


しばらく走ると道幅が広がり少し綺麗に舗装された道になった


走りやすいのはいいことだ、ちょっと気を抜いた俺は口にタバコを咥え火をつけていた



「やべ、運転してるといつの間にか吸っちゃってるな。ってなんか…あれ馬車か?」



前方に立ち往生している馬車を発見、よく見ると何人かが作業している


やっと人に会えた、聞きたいことあるし近づきながら確認してみるか


向こうの何人かがこちらに気が付いたのか手前にいる槍を構えたおっさんが騒いでいる



「そこの者止まれ!なんだその面妖な…乗り物?御者席はどこだ?ええいとにかく怪しい奴め!出てこい!」



日本語しゃべってる?


どう見ても西洋人だけど、わからないな


近づいてよく見える場所まで来た


あー、車軸折れて車輪割れちゃってるね



「貴様聞こえてないのか!それ以上近づく「聞こえてる聞こえてるよ、ちと道を聞こうと近づいただけだから聞きたいこと教えてくれたら離れるって。こっちは旅のもんだよ。そちらさんは、大変なことになってるね?」…それ以上近づかないなら道ぐらい教えてやる。」



とりあえず街とか村とか人がいるところ聞かないと、他はそのあとで考えればいい


しかし横柄というか攻撃的なおっさんだな、親父ほどではないが



「近くに街とか人がいるとこないかな?遠くから来たもんでこの辺りのことよくわからないんだよ。それとも俺が盗賊にでも見えたってのか?」



「ふむ、盗賊には見えんの。失礼した。この道を真っ直ぐ2日ほど進めばニーズ村がある。さらに2日ほど進むとこのフェートリューズ領一番の都市、リューズがある。」



「なるほど、おっちゃんありがとうよ。」



そうかやっぱり日本ではないのか


もう少し情報が欲しいところだがこれだけ警戒されてるなら難しいだろう


感謝を述べ片手を挙げた俺は馬車を中心に少し遠回りしながら進みだす



「まてまて!貴様聞くだけ聞いてこちらを手伝おうとはせんのか?見たところとんでもない馬車を持っているようだ。タダとは申さん、その馬車を譲ってはくれぬか?」



警戒してるくせにめんどくさいこと言い始めたな


確かに馬車で村まで2日とか大変だろうなとは思うけど俺にとっては所詮他人事



「この車は譲れない、俺の親父のなんでね。それと助けてやれないこともないが、やれることといってもこの車に乗せて村まで行く程度だぞ。当然だが報酬も貰う。」



「ぐぬぬぬ。報酬は出す、しばし待たれよ。」



おっちゃんは馬車の前まで戻り中の人と話してるようだ


…トイレ行きたくなってきたな


おっちゃんが戻ってくる前に済ませておくか



車内のトイレから戻るとあやつどこに行ったと真っ赤な顔のおっちゃんと茶髪のメイドっぽい恰好をした少女と金髪に近い銀色の髪の、とても素晴らしいお胸の美女が立っていた

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