メガネ姿の幼馴染み
「ふぅー、これくらいで終わっておくか」
今は夕方、自分の部屋で本を読んでいた。だいぶ熱中していたようで、気づくと帰ってきてから、二時間経っている。
雫は友達との用事で今日は来ないらしいから、久しぶりに本に集中出来た。
最近は何故か色々と、雫が俺に話しかけてきたり、一緒に帰ったりと変化が大きかったため、その事を考えるのに時間を使っていた。
あの一件以来、一緒に帰ることはなくなっていた。ただ単純に、俺が雫よりも先に帰っているからだ。
あの時は見つからなかったが、次見つからないとは限らない。それに、起きたらもう学校が終わっているとかも、こりごりだしな。
と、近くにおいてあったスマホが、急に震える。どうやら連絡が来たらしく、スマホにてを伸ばし、確認する。
連絡してきたのは、雫だった。それくらいなら大丈夫だった。しかし、送ってきた内容に、俺はびっくりした。
送られてきたのは、一枚の自撮りの写真と、一言、『似合う?』という内容だけだった。
自撮りで写っていたのは、眼鏡をかけた雫だった。最近、周りでかけている人が増えてきた、丸メガネをかけていた。
シンプルに、白色の丸メガネをかけていたが、それだけでも画になってしまうほど、綺麗な雫が写っていた。
しかし、それをそのまま似合うと返して良いのだろうか。変に気持ち悪いとか思われないだろうか。
俺は自分の気持ちを少しだけ出し、似合っているという事が伝わるように、『良いと思う』とだけ返しておいた。
すると直ぐに既読がつき、返事が返ってくる。
『悠真はこういうのが好きなの?』
『嫌いではないけど……』
『けど?』
『お、俺の事は良いだろ。それより友達は?』
『自分のメガネ選んでるから、まだ大丈夫だよ』
こねメガネの写真を送ってきた理由はそれか。友達の付き添いでメガネやに行き、そのついでにメガネをかけ俺に、自撮りを送ってきたということか。
『友達が戻ってきたから、また今度ね』
『おう、じゃあな』
そう返信すると、返信は返ってこなかった。もう友達の方に戻ったみたいだ。
それにしても雫のメガネ姿、初めてみた気がする。
俺は静かにスマホを取り、さっきの写真を保存する。
少しの罪悪感もあったが、そんなことは気にせず、写真フォルダに雫のメガネ姿を、入れるのだった。
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次の日の放課後、見覚えのあるメガネ姿で雫が、俺の部屋に来た。
そう、メガネ姿で。
どうやら雫は、あのメガネを買ったらしい。そして買ったメガネを、俺の部屋に着けて来たということだ。
「雫、目、悪かったっけ」
俺はあくまで平常心で質問する。
「ううん、どっちも悪くないよ。これは伊達メガネ」
「伊達メガネ?度が入ってないメガネの事だよな?」
「そう。フレームだけ買って、度は入れてない」
メガネか。俺も特には視力が悪いわけではないので、かけたことはないが、気になりはする。
「悠真もかけてみる?」
「え、良いのか?」
「うん、良いよ」
そう言うと、メガネを外し俺に渡してくる雫。俺はそれを受け取り、かけてみる。
「おお~、似合ってる」
「そうか?自分ではわかんねぇな」
雫は自分の鞄から手鏡を取り出し、俺が自分の姿を確認できるようにしてくれた。
いつもは、鏡をまじまじ見ることなんてほとんどないが、自分のメガネ姿に、少し新鮮味を感じる。
「写真撮っていい?」
「えっ、何でだよ」
「良いから良いから、はい、チーズ」
いきなりスマホを向けられ、動揺したが、なんとかピースはしておいた。
「何に使うんだよ、俺の写真なんて」
「な、い、しょ!」
俺はかけていたメガネを外し、雫に返す。
美少女のメガネ姿は需要があるが、俺みたいなやつのメガネ姿なんて、要らないだろう。
幼馴染みとはいえ、まだまだ知らないこともあるんだな。
「じゃあボクは帰るね」
「おう、また明日」
雫が帰る時間になったので、玄関まで見送る。久しぶりに見送ったかもしれない。
「あ、悠真」
「ん?どうした」
普通に会話するような、軽い感じで話す内容は、
「明日、ボク泊まるから」
「へぇー、泊まるのか……、て、何故?!」
全く軽い内容じゃなかった。俺は詳しい話を聞こうとしたが、雫はそのまま帰ってしまった。
また明日から嫌な予感がすると、そんな不安を拭えないまま、俺は一人悩まされるのだった。
甘えてくる女の子が好きと言ってからクールな幼馴染みが甘えてくる @1ya12ma2to
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