第6話
「アーシャ様、ご機嫌よう。お初にお目に掛かりこうしてお会い出来たことは望外の喜びでごさいます。改めてご挨拶申し上げいたします。私はアリス・ラントルクと申します。ここフランク王国に連なりし公族、ラントルク公爵の第1子でございます。本日この時より星巫女アーシャ様の付き人の命を賜りお供させて頂く事と相成りました。よろしくお願い致します」
カーテシーをしてアーシャ様の前へと頭を下げる。
「は?」
突然の事に何やら戸惑っている様子。
はて?
「お聞き頂いてはおりませんか?」
「え?うんって言うか!なんで星巫女の事バラしてんの!」
「え?え?」
「もう、せっかく正体隠してたのに」
「はて?何故でしょう」
「私が星巫女だってバレると周りが五月蝿からね。厄介なのは勘弁なんだ」
「左様で御座いましたか。では私もこれから後はアーシャ様に対して口調を崩した方がよろしいのでしょうか?」
「そうだね。そうして……って!着いてきて良いなんて許可してないよ!」
「はあ、ですが私もアーシャ様の付き人か王太子の妻の2択でしたものでここで追い返されますと望まぬ結婚と国を二分する争いの火種に成りかねませんので、ある意味路頭に迷うといいますか」
「なんでよ?結婚して国、纏めれば良いじゃない」
「いえ、王太子には好いておられる方が既におりまして、婚約も割り込む形になりますので、お相手に対してかなりの罪悪感を抱くといいますか」
まあ、口からの出任せだけど。
相手5歳だし、恋の酸いも甘いもまだ先でしょうね。
むしろ、私の自由の為に頷い下さい!アーシャ様!
「そ、そうなんだ」
ちなみに国を二分する争いのうんぬんかんぬんは実際に私が王太子妃になると起こり得る。
何せ、私が聖女認定されてしまったのだ。
家の公爵家が王族と結び付きが強くなり更に力を付ける事になる。
そうなると王家&ラントルク公爵家VS他の二大公爵家の図が出来上がり今まで三大公爵家でバランスが保たれていたバランスが一気に崩れることになる。
なので、私の取った選択は互いに取ってWIN WINな関係なのだ。
なので、追い返されると悲劇が待っている。
「うーーーーーん」
非常に悩んでらっしゃる。
と言う事はもう一押しかしら?
と言うか何故アーシャ様に話が行ってないのか謎である。
「ここは、私を助けると思ってどうかお願い致しますわ」
「いいわ、分かった」
やった!
「ありがとうございます。それではこれから宜しくお願い致します。アーシャ様」
「ええ、宜しく。後、様はいらないわ」
「はい。アーシャ」
これでようやく本当の意味での私の、いえ私達の旅が始まる。
自由と言う名の旅が…。
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