第5話
それから私は日を幾つも跨いでアーシャ様がおられると情報のあったアガルタという都市に着いた。
恐らくハルナ星教会に行けばすぐ会えると思うのだけど、何せハルナ星教会の星巫女様なんだし。
それに会えば分かるとパッシブさんが新たなスキルを構築してくれたのでなんの問題もない。
このスキルは私が星巫女の従者になると決めた日に勝手に生えた。
スキル名を[巫女サーチ]
まんまである。
「こんにちは、ごめんください」
「はーい。ようこそハルナ星教会アガルタ支部へ。この度はどのようなご要件で?
教義、治療、罪の許しはそれぞれ1000スターズになります。建物内の観覧でしたら500スターズでございます」
「あ、すみません。私、星巫女のアーシャ様の同伴の申し付けを受けましたアリス・ラントルクと申します。失礼ですが、アーシャ様はご在宅でいらっしゃいますでしょうか?」
「ふへ?ほ、星巫女様が我が都市にいらして居られるのですか!?」
「え?そうお聞きしてましたが、居られませんの?」
「いえ。私は連絡を受けておりませんが、治療院の先生なら聞いていらっしゃるかもしれませんわね」
「そうなんですか?あの、治療院の先生は今どちらに?」
「マルト様なら、流れの治療師の方と総合治療院に向かいましたわ」
「総合治療院?何処ですの?」
「えっと。今、地図をお描きしますね。少し離れているので」
「ありがとうございます」
こうして、私は地図を頼りに向かう事にした。
ちなみにアレクはこの街に着いた時点で自宅に帰って貰った。
これからは自分の事は自分でやらなければならないのだし、星巫女様のお世話もしなければならない。
いつまでもおんぶにだっこじゃいられないのだ。
◇
「思った以上に遠い」
ハアハアと息を切らしながらも、予想よりも遠くにようやくその総合治療院とやらの建物を発見した。
ここにマルト先生がいるのか。
星巫女様の事ご存知であれば良いのですが、全く初めから前途多難ですわね。
「ごめんくださいませ。何方かいらっしゃいませんか?」
「はーい。ただいまぁー。お待たせしました」
「申し訳ございません。お尋ねしたいのですが、此方にマルト医師がいらっしゃるとお聞きしまして、お会い出来ますでしょうか?」
「失礼ですが、どう言ったご要件でしょうか?」
「失礼いたしました。私はラントルク伯爵家長女アリス・ラントルクと申します。
此方にお伺い致しましたのは私アリスがこの度、星巫女アーシャ様の同伴を申し受けいたしまして合流するはずが、お会いできませんでしたの。
それでハルナ星教会でマルト医師が星巫女のアーシャ様の情報をお持ちなのではとの事で、藁にもすがる思いで此方にお伺い致しました」
「まあ、そうでしたの……あの申し訳ございません。もう一度お名前をお聞かせ願いますか?」
「はい。私はアリス・ラントルクですわ」
「ラントルク伯爵家のアリス様…………せ、聖女様!!」
「うっ!」
「た、大変失礼致しました!た、只今呼んでまいります!」
そう言ってバタバタと駆けていった女性職員と思わしき彼女は叫びながら駆け回っていった。
◇
応接室に通されたアリスは緊張の面持ちでお茶を出す職員と思わしき女性に礼を言うと、はひ!と言ってバタバタと出ていった。
「きゃ〜!本物だよ!本物の聖女様!!」
「サリア良いなぁ〜。私も直接話したかった!」
「近くで見るとやっぱりすっごい美人さんだねぇー」
「聖女お披露目の時はチラッとしか見れなかっし遠くて良く見えなかんだよねぇ」
ヒソヒソ話しているのだろうが丸聞こえである。
コンコンッ!
「失礼します。お待たせ致しました。マルト・ワルトです」
「お初にお目にかかれてうれしく思います。アリス・ラントルクです」
「此方こそ光栄です。まさかあの聖女様にお声を掛けて頂けるとは」
「いえ、とんでもございません。所で早速で申し訳ないのですが、マルト医師は星巫女のアーシャ様をご存知ではありませんか?」
「はて?星巫女様でございますか?私は特になにも……アーシャ?」
「呼びましたか?マルト先生」
通り掛かった1人の女性がとい訪ねてきた。
ちなみに、ドアの外も窓の外も人だらけだ。
「ああ、アーシャ。なるほど同じ名前だからか、いや、大丈夫だ問題ない」
「はあ。でしたら私は引き続き医療書を書かせて頂きますね」
「ああ、済まない」
「今の方は?」
「ああ、流れの治療師のアーシャ殿だ。医療にとても精通されていて、我々の治療知識とは異なった見識をお持ちなので、共同で医学の進歩に協力して貰っている」
「なるほど」
「それで、申し訳ないのだが、私の方としても貴女が探しておられる星巫女様の情報は持っていないんだ。お役に立てなくて申し訳ない」
「いいえ。問題ありません見つけましたから」
「見つけた?」
「はい。あの方が星巫女様のアーシャ様です。どうやらあの方はとても隠蔽体質な方の様ですわね」
「なんだって!!」
「会えば分かるとは確かそうでしたわね。では私も私のするべき事を致しますわ」
応接室を出るとアーシャ様の気配を察知して向かう。
ついに見つけましたわ。
さあ、お友達になりましょう。
アーシャ様!
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