第4話

 何だかんだいってあれから手続きが終わるまで1ヶ月程掛かっていた。

 お陰で巫女様と合流する為の準備は粗方終わり所謂、身辺整理と言うやつが滞り無く終えられた。


「それでは、お父様お母様行ってまいります」


「ああ、気を付けてな」

「巫女様にご迷惑かけないようにね」


「心得ておりますお父様お母様」


「お嬢様お忘れ物はごさいませんか?」

 アレクが確認してくる。


「ええ、メアリーと一緒に確認したから大丈夫よ」

「アリスお嬢様…」


「メアリー。一生の別れでは無いのよ。きっとたまには顔を出せるわ」

「お嬢様…」


「改めて行ってまいります」


「ああ、アレク、アリスを頼む」


「かしこまりました。旦那様」


「行ってらっしゃい。体には気をつけてね」


「はい!行ってまいりますお父様お母様!」



 こうして私は旅は始まったのだ。


 この先どんな事が待ち構えているのか今は分からないけれど、兎に角巫女様との合流が先ね。


 相性の良い方である事を願って。



 ◇


 しばらくアレクが走らせる馬車に揺られながら巫女様との合流すべく待ち合わせの街までのんびりする事にした。


 何でも噂では、巫女様は街や村を渡り歩いては重度の病気や怪我を負っている人や治療を受けるお金が無い人々を癒して回っているとか。


 流石は星神の巫女様と言うところか。

 きっと御心の優しい方なのだろう。


 その分規律に厳しく自分を律する方かもしれない。

 初めから砕けた口調の接し方は辞めた方が良いかもしれない。


 兎に角、第一印象は良く思われないと今後の旅を却下される恐れもあるし気をつけなければ。


 徐々に親しくなれば砕けた口調の会話も気にしないでいてくれるかもしれないし、まあどちらにしても本人に会わなければ全て分かる訳だし今は考えるだけ無駄だね。


 ふふ。

 早く着かないかな。




  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る