第549話 メナの目的と理想
『それで?わざわざ里の外に出て旅までしてたのは、勘違いして私を探しに来ただけなの?』
色々と照れさせられつつも、和やかな空気になってから。
スフィアがふと、メナにそんな事を聞く。
『それが理由の七割かな。三割は私自身のため』
『メナさん自身のためって?』
『えっとね、少し恥ずかしいんだけど……私ね、結婚したいの!』
スフィアを探すついでに婚活ということか。
それでも自分よりもスフィアの非率高めなのはいい子なのかもしれない。
『長が相手用意するって言ってなかったっけ?』
『お父さんの相手って同族でしょ?絶対ダメ!私は外の人と結婚したいの!』
『具体的には?』
『えっとね』
メナの要望としては、エルフ以外……出来れば人族で、かつ偉すぎない立場(でも仕事出来る人はあり)で、仲良くなれそうな姉がいて、自分たちの子どもが継げそうな仕事があって、出来ればスフィア達とも会える距離に住んでる、筋肉質気味な穏やかそうな人がいいとのこと。
ふむふむ、なるほど。
『あと、出来れば会って運命的なものが感じる人ならなおよし!』
『運命的なもの?』
『赤い糸ってやつだよ。スフィアにとってのシリウス様みたいな人のこと』
運命で赤い糸。
……あれ?なんか凄く当てはまる人が居るような気が。
具体的には俺の婚約者の弟で、忍としての技を持ち、隠密の仕事をしていて、この性格のメナと仲良くなれそうな茜という姉がおり、スフィア達と会える距離どころか一緒の領地に住んでいて、かつ筋肉質気味(本人として望まぬスパルタの結果)で穏やかそうな人。
俺の領地で運命の人と出会うと占い師に言われていて、赤い糸で結ばれた人を探してる人。
『……才蔵くん紹介した方がいいかな?』
『才蔵さんですよね?』
『才蔵よね?というかそれしかないわよね?』
三人も同じ人物が浮かんだのかこっそりとそう答え合わせしてくる。
そう、俺が思い浮かべたのも才蔵だ。
くノ一茜の弟で、優秀な忍の技を持つ俺の頼れる隠密隊長。
条件としては当てはまる。
まあ、流石に運命的なものとかを感じるかは会わせてみないと何とも言えないが、紹介だけはしておくべきか。
『メナ。せっかくだしスフィア達が住んでる俺の領地に来てみる?良い人に出会えるかもしれないし』
『本当ですか?是非お願いします!』
ここでストレートに才蔵のことを話してもいいが、運命的なものを欲してるようだし会わせてみるのが手っ取り早い。
聞けば、スフィアを見つけた以上後は自分のお相手探しだけらしいし、スフィア達が住んでる場所も知りたいとのこと。
あまりお見合いおじさん的な感じになるのも良くないだろうが、条件といいこの様子からして才蔵との相性も良さそうに思える。
まあ、うちの領地なら他にも相手になれそうな候補がいるかもしれないし、気に入ってくれたらスフィア達の息抜きに遊びに来てくれるかもしれないし、それでスフィアが喜んでくれたら俺も嬉しい。
そんな打算ありき内容を了承してから、美味しそうに頼んだスイーツを食べ尽くして俺たちは領地へと転移するのだった。
色々見て回れたし、デートの続きはまたの楽しみに取っておくことにしたのもある。
次の約束もより楽しみになるものだしね。
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