第548話 メナという子
『そっか。色々あったんだね。何にしても、セリアが生き返ったのは本当に良かった』
凄く疲れた顔をしてるスフィアから色々と聞き、落ち着いてからメナは本当に良かったと頷く。
『セリアが亡くなってから本当に酷かったからね。まさか姉妹揃って里の外で男見つけて嫁ぐとは思わなかったけど……なんか安心した』
『安心?』
『二人が無事で、しかも里に居た頃より幸せそうだからね』
『……心配かけたわね』
『私もテンパって結局何も出来なかったし気にしないで。ていうか、ハーフエルフのその子は大丈夫なの?お父さんは気にしないとは思うけど……』
チラリと不思議そうにソルテを見て聞いてくるメナ。
悪意はなく、きっと世間一般やエルフ内でのハーフエルフの立場の悪さを知っての言葉だろう。
『大丈夫。シリウスの周りってそういう小さな次元じゃないから』
『どういう意味?』
『後で話す。絶対今話したらまた煩くなるし』
……そんなにおかしいかな俺の周り?
まあ、ハーフエルフだからとソルテを害するような輩は居ないし、亜人などへの差別意識も国レベルで薄くなってるのは間違いないけど。
そんな世界は認めないからね。
ソルテが笑って暮らせる世界がないならするだけというだけだし、フィリア達の時からその気持ちは何も変わってない。
だから特に不思議なことはないが……メナはこうして仲睦まじくしている俺たちの姿を見て不思議そうな顔をしてから、くすりと笑った。
『よく分からないけど、凄い旦那様だってスフィアが自慢してるのは分かったよ』
『……まあね。世界一カッコよくて可愛い人だから』
……スフィアさんや。照れつつそう言われると俺も照れてしまうやが……。
『わぁ、スフィアが乙女の顔してる。あ、っていけかエルフ語で大丈夫ですか?なんか自然とこれで話しちゃってるし、王子様も分かるみたいだけど……ここって人の世だし、必要なら人語に変えますけど』
ふと、そんな事を尋ねてくるメナ。
スフィア程ではないがそれなりに旅して人語の方も話せるようになったらしい。
『気にしなくていいよ。ここいる俺たち以外はエルフ語使える人は少ないけど、軽くなら分かるし』
『そうなんですか。それなら良かった。人語で無作法とかしたら取り返しつかなそうだったし……』
『シリウスくんはそういうの気にしないけど、確かに正しいかもね』
『ご主人様はお優しいですから』
『……そうね。凄く優しくて温かくて……こっちも守りたいって心から思える人ね』
そんな三人の言葉にメナは『ほへー』っと、特にスフィアを見て驚いたような表情を浮かべてから俺を見る。
今見られるのはちょっと……照れが隠せないかも。
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