第547話 エルフの来客
フードを深く被ってる客はスフィアの姿を見ると定員の静止をスルーしてスフィアに近づいてきた。
『スフィア!凄く探したのよ!このバカ!』
随分と流暢なエルフ語だ。
そう思っていると、その人は深く被っていたフードを脱いで素顔を晒す。
エルフ特有の色合いの髪と顔立ち。
まあ、言葉で分かってたけどやっぱりエルフだったか。
『……もしかして、メナ?』
そして、スフィアもその相手が誰か分かったのか驚いたようにそう聞き返していた。
『……お知り合いですか?』
『うん、メナさんは私達の故郷のエルフの里のエルフだよ。お姉ちゃんとはお友達だったみたい。私も何度か会ったことがあるんだ』
ソルテとセリアの会話で色々納得もする。
ただ、スフィアはまだ腑に落ちてない表情を浮かべていた。
『探したって、長から何も聞いてないの?私、ちゃんと連絡したはずだよ。セリアと一緒に嫁ぐって』
『セリア?嫁ぐ?』
キョトンとしてから、メナと名乗る女性は近くに座る俺たちを見て、驚いたような表情を浮かべた。
『セリア!嘘!生き返ったの!良かったぁ。っていうか、そこにいる子まさかハーフエルフ?えぇ、どうなってるの?』
『……さては、私が出ていったってロナ辺りから聞いて確認もせずに出てきたわね』
ギクリとした様子のメナ。
ロナというと、確かスフィアの話で何度か聞いたエルフの友人の名前だったか?
かなり世話になったので、結婚式に呼びたいとスフィアは言ってたが……他にも友人が居たのは良かった。
『どうせ、長の話は長いからーって理由だろうけど、長も娘には本当に甘いわね』
『娘?』
『ああ、えっとね。この子はメナ。私の友人の一人で……一応エルフの里の長の次女なのよ』
『へー。なるほど』
何はともあれ、挨拶はしとかないとな。
『初めまして。俺はシリウス。スフィアとセリア、そしてここに居るハーフエルフのソルテの婚約者だよ』
そう挨拶すると、『えっ!?エルフ語!?』とか、『もしかして噂のスレインドの第3王子様!?』とかめちゃくちゃ驚かれる。
落ち着くまで時間が必要かもしれないと、店員に事情を話してから席を移して、ついでに念の為に防音系の魔法も使っておく。
せっかくの他のお客様の憩いの時間を邪魔しちゃ悪いしね。
まあ、防音系の魔法でまた更にメナが騒がしくなるが、他の人の迷惑にはならないし落ち着くまではスフィアに任せるとしよう。
セリアもソルテとそう思ったのか座って落ち着く。
スフィアは少し面倒ながらも色々とメナが知らないであろうスフィア自身のこれまでのあれこれと、その結果として俺の元に来たと落ち着いてから説明していた。
落ち着いたのに更に驚きの連続で時間はかかったが……まあ、事情は話したし納得もされたようなのでそこは良かった。
それに付随して、スフィアが凄く疲れてたので、後で帰ってから労っておこう。
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