第544話 エルフとお出掛け
本日は、エルフ姉妹のスフィアとセリア、ハーフエルフのソルテの三人とスレインドの王都に来た。
このメンバーで出かけることはたまにあるし、個別デートも多いのだが王都にこのメンバーで来るのは初めてかもしれない。
「うわ、流石王都だね。こんなに人が多いとはぐれちゃいそうだよ」
そう言いつつ楽しそうに俺の腕に抱きついてくるセリア。
「ほら、お姉ちゃんもソルテも。シリウスくんとはぐれちゃダメだからね」
『そうですね』
その言葉にピタリと俺の後ろに張り付くソルテ。
ソルテは俺の後ろのこの位置が最近お気に入りのようで、そのポジションにソルテが着くと残る枠は俺のもう片側の腕となる。
「もう、セリアはもう少し慎みを持ってもいいんじゃない?」
そう言いながらセリアと反対側の俺の手をしれっと握ってくるスフィア。
「お姉ちゃんだって楽しんでるくせにー」
「……うるさいわね。ていうか、あんたとソルテには負けるわよ」
「あはは。確かにねぇ」
チラッと二人が俺の後ろに視線を向けると、サッと俺を撮っていたカメラを素早く隠してから嬉しそうに視線を向けてくるソルテの姿が。
隠し撮りなんてしなくても、好きに撮ってくれていいのだが、カメラの魔道具自体がまだ広まってないのもあってその点も配慮してくれてるのかもしれない。
『多分、そういうのじゃないと思うわよ』
『だねー。ソルテはシリウスくんの自然な姿を撮りたいんだと思うよー』
『そうなの?』
エルフ語で聞くとソルテは『無意識に撮ってしまって』と少し照れつつ答える。
『でも、ご主人様はカメラを向けるとすぐに気づくので難しいです』
『あ、それは分かるかも。シリウスくんって自然体なはずの時でさえ無意識にでも色々察知してそうだし』
そうかな?
まあ、常に気を抜けない状態が前世では長く続いてたし、癖が抜けてないのかもしれない。
『でも、お屋敷では外よりも落ち着いてるので少し撮りやすいです』
『分かる!ちょっと笑顔が柔らかくなって可愛いんだよね!』
そこから何故か俺のあるあるトークで盛り上がり出すセリアとソルテ。
エルフ語だから周りの人には聞こえないけど、分かる俺はちょっと照れるので出来れば席を外したくなる。
まあ、両側と後ろで挟まれてるので抜け出せないし、抜けだす気もないけどね。
「全く。二人ともそういう話はほどほどにね」
そう言いながらも二人の様子を俺と一緒に微笑みながら見守るスフィア。
一度は失ったと思った妹のセリアと、もう一人の妹のような存在のソルテの幸せそうな様子につい笑みが浮かんでいる。
まあ、それだけでなくちょいちょい話の内容に頷いてるので更に照れくさくなるが……楽しそうな三人の姿が見れるだけで俺としては多少の照れは許容範囲です。
エルフ語なので周りに大きく聞こえてないのもポイントだけど、それはそれ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます